緑内障の恐怖

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東海懇話会講演
緑内障の恐怖

   アイケア名古屋理事長 安藤 文隆先生

 
 私は網膜剥離のような網膜疾患が専門ですが、このところ緑内障が非常に多くなってきています。

 日本人の場合、以前は糖尿病網膜症が中途失明のトップでしたが、2年くらい前からは緑内障がトップになりました。加速度的に緑内障の患者さんが増え、緑内障に罹って失明に近い状態になっている方が多いです。

 緑内障には色々な種類がありますが、一番多いのが自覚症状が何も無い緑内障です。自分で見えなくなったからと思って眼科に来られて、それが緑内障で見えなくなった場合は、もう手遅れです。

 そういう意味で、今年は「網膜剥離友の会」ではありますが、「緑内障」をテーマに取らせていただいて、専門ではないのですが、臨床でたくさんの患者さんを診させていただいた経験をもとにお話ししたいと思います。

 

【眼球の構造について】
 前の方に角膜があり、茶色目があり、レンズ(水晶体)があります。網膜というのは後ろの方にありまして、網膜に写った像は視神経を通って、眼の後ろの方から頭の後ろの方に行きます。ここに知覚する神経の元があります。(眼の構造図

 網膜の前の空間には硝子体というドロドロとした組織がありまして、これが眼球の大きさを保っていてくれます。眼の中の圧力というのは、毛様体の部分から眼の中を栄養する房水という水が分泌されていて、その水が瞳のところを通って眼の前の方に出てきて、茶色目と角膜との境目の隅角から眼の外へ漏れていくという形で眼の圧力は一定に保たれています。

 網膜というのは鏡のような物で、透明なガラスの部分は網膜の細胞や神経です。その外側の、鏡で言う塗料に匹敵するのが色素上皮という茶色い組織です。眼底を見たときには、ちょっと赤味のある眼底が見えます。網膜の中は、血管が中側だけにあります。外側の神経があるところに血管がありますと、これが邪魔して見えませんので血管がありません。

 そして外の色素上皮(鏡の塗料)の外側に脈絡膜という血管層がありまして、ここに血液がきてそこから網膜の外側は、酸素や栄養をもらいます。

 網膜剥離という病気はこの網膜が色素上皮から剥がれることによって起こる病気です。網膜剥離になった場合、網膜を栄養している血管は、中側は流れていますが、外側からの栄養が来なくなってしまいますので、物が見えなくなりますし、神経もそのままだと死んでしまいます。

【緑内障について】
 緑内障というのは、以前は青底翳(あおぞこひ)と言いまして、何故青底翳と言うかというと、眼の圧力が高くなりますと、瞳孔のところは普通黒く見えていますが、これが青く見えてきます。それで青底翳と言っていました。緑内障の緑も同じです。緑内障は眼圧が高くなって見えなくなる病気です。

 正常眼では、眼を栄養する液(房水)が隅角から眼の外に出て行きますが、隅角が水を通さなくなると、眼の中で分泌された水が眼の中に溜まって、眼の圧力が高くなります。眼の中の圧力(眼圧)が高くなると血液が眼の中に入って来られなくなるので、見えなくなっていくわけです。そうすると、黄色だった視神経の真ん中が傷んで、白くなってしまうというのが緑内障の眼底の特長です。

 視神経が白くなっているということは、血液の流れが悪くなっているからで、神経が機能しなくなってくるために、見えなくなっていきます。その場合全体が見えなくなってしまうのでは無く、横の方の視細胞が一番初めにやられますので、視野は内側が少しずつ見えなくなっていきます。

 緑内障は色々な種類がありまして、頻度は多く無いのですが、先天性緑内障というのが有ります。先天性青底翳は、牛眼と言いまして、赤ちゃんのときから眼圧が上がるため、眼球が大きくなります。牛の目のようにかなり大きいので牛眼と言ったのです。

 また10歳くらいまでに、緑内障になる人がいます。この場合は、若年性緑内障と言います。緑内障には急性緑内障と慢性緑内障があります。

 急性緑内障は眼圧が高くなります。慢性緑内障は眼圧が高くなるものもありますが、正常な眼圧のものもあります。特に日本人には、正常眼圧緑内障が多いことが最近判ってきて、診断が非常に付き難いということになります。10年ぐらい前の日本では、中途失明は糖尿病網膜症が18%、緑内障は12%で白内障も同じくらいで、糖尿病網膜症が一番でした。

 今は糖尿病網膜症で失明する場合もありますが、硝子体手術がかなり進歩しましたし、内科でも糖尿病の患者さんに眼科の受診を勧めますので、比較的早くから失明を防止できます。2年ぐらい前からは糖尿病網膜症は18%で変わりありませんが、緑内障が23%でトップになってしまいました。
【緑内障の種類】
○先天性緑内障・・・牛眼

○若年性緑内障・・・10歳ぐらいまでに発症した緑内障。若い時に緑内障を発症して眼圧が非常に上がると、なかなか手術が効かないので、失明しやすい病気ですが、頻度は多くはありません。

○開放隅角緑内障・・・正常眼圧緑内障も含まれます。(後記)

○閉塞隅角緑内障・・・急性緑内障、青底撃と呼ばれていて、昔は多く、急に眼圧が上がりますので、眼が痛くなり吐き気があり、一晩で失明する恐ろしい病気です。

 症状としては、眼が痛い、頭痛、吐き気、嘔吐があるので、内科に行ってしまい原因が分からずに一晩で失明することがありました。房水の出口(隅角)が狭い人が起こりやすく、一般的には眼球が小さい遠視の人です。日本人に多い近視の人の眼球は大きく、水の出口も広くなっていて閉じることは少ないです。しかし、遠視の人は眼球の前後が短いので出口が狭くなっています。

 レンズ(水晶体)は人間の体の中で一生成長するので、年を経て行くと大きくなって厚くなります。レンズが厚くなると虹彩(茶目)を前に押すので、水の出口が狭くなって、急性緑内障を起こし易くなると考えられています。従って若い人には起きません。年をとった人でも白内障を手術すると起きません。レンズが大きくなっていても、白内障を手術して薄い人工レンズを入れますので、隅角は広くなり急性緑内障は起こらなくなります。

 急性緑内障の予防策が今は取られています。それは房水が虹彩を後から前へ押し、隅角が狭くなって閉じ、眼圧が上がるので、後房に房水が貯えられない様に手術で虹彩に孔を開けます。今はレーザーを使って小さい孔を開ける虹彩切開術を行い、緑内障を防いでいますので、最近は急性緑内障は減っています。

 或いは、白内障があれば、白内障手術を早めにして、レンズの大きさを、小さい人工レンズにしてしまえば予防できます。外来で診させていただいた際に、前房が浅くて怖いと思うとき、患者さんに説明してレーザーで穴を開けるようにしています。患者さんのご負担もありますが、一晩で失明してしまうということがあってはいけないので予防的にやっておきましょうとお話すると、大抵の患者さんは、お願いしますと言って下さるので、現在は急性緑内障の発作は少なくなっています。

○続発性緑内障・・・開放隅角緑内障/閉塞隅角緑内障/血管新生緑内障

 続発性緑内障の原因となる疾患には白内障手術やぶどう膜炎などがあります。ぶどう膜炎は眼の中の脈絡膜に炎症が起こって、血液の中の成分が血管から漏れ出して来ます。この分泌された物質が房水の出口の網目になっているところに詰まって房水が外に流れ出にくくなり、緑内障になることが多いと考えられています。

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