網膜の病気〜重症化を防ぐために

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〈2011年総会講演〉
「網膜の病気〜重症化を防ぐために」

   要町やまもと眼科 山本禎子先生

 
 私は、8年間東邦大学佐倉病院で竹内忍先生のもと網膜硝子体手術を学び、一緒に働かせていただきました。その後山形大学に移って、6年間網膜硝子体手術を中心に治療を行ってまいりました。

 このたび高齢化した私の両親が帰ってきてほしいと望んだため、昨年の秋、一大決心をして、実家のある東京に戻ってまいりました。今後の自分の進路についてかなり真剣に考えたのですが、研究や学問よりも、地域の患者さん一人一人に対して、立場やお気持ちを大切に診療をしていこうと開業することを決めました。できれば今まで培ってきたものを総動員して、皆様の眼をみていきたいと考えております。

 本日は、自覚症状を生じてから治療まで、私が特に専門にやっている網膜の疾患について、わかりやすくお話をしようと思います。
【快適な待合室】
 その前に私の診療所についてですが、この写真は診療所の玄関のところです。
私の母は病院通いをしていまして、一時期は歩けないことがありました。それで私は、毎週山形から戻って母に付き添いました。

 皆様も体験されているかもしれませんが、大きな病院では2時間も3時間も待たされます。しかも待合室は快適ではなく、看護婦さんは冷たくて、私は今まで患者さんたちにこんなに苦労をさせていたのだとしみじみ思いました。そして私は正直に言って、病院通いがトラウマになりました。

 一度私が山形からどうしても帰れないことがあり、母を一人で行かせたのですが、一人で行って3時間位待って、ようやく順番がきて先生の前に座ったときには、疲れ果てて何も言えず、ただ診て貰うのがやっとだったということでした。

 そんなこともあって、診療所を作るときには、まず待っている間のむなしさがないように、とにかく患者さんにとって気持ちのいい空間を作ることが私の念願でした。それで私の診察室よりも、他のどの部屋よりも、待合室にお金をかけて欲しいと、設計屋さんにお願いしました。

 雰囲気は「目指せネイルサロン」をスローガンにして、例えば間接照明をメインに使用することなどを考えました。とにかく待っている間、気持ちが少しでも和らぐようにと設計をお願いしました。私が目標にしていた診療所にかなり近いものに仕上がったと思いますが、残念なのは、眼科だと思われず、「美容室だと思った」といって通り過ぎるおじいちゃんがいらしたりすることで、眼科という認知度が高まらないのが悩みといえます。

 場所は地下鉄有楽町線やJR副都心線の[要町]で下車して2番出口に出ます。歩いて4〜5分で左手に大きなビルが見えてきます。上階にはフィットネスクラブが入っていますが、そのビルの1階にあります。環境は小学校などもあってよい場所と思っています。

 診療は、月曜日から木曜日が午前9時から12時まで、午後は14時から18時までです。金曜日は、竹内忍先生の診療所で、月に1回お手伝いさせていただいております。他に聖路加国際病院や健康医療センターなどに、手術をしに行ったり若い先生の指導に行ったりしています。残念ながら私のクリニックはまだ手術場が完全に整備できていないので、手術が必要な場合は、この三つの病院にお連れしてやらせていただいております。

 網膜剥離で手術をした後の患者さん、または飛蚊症などが生じて手術が必要かどうか不安だけれど、どこへ行ったらよいかと思っておられる方がいらしたら、是非私の診療所へいらしてください。もしも網膜剥離が見つかった場合は、一番信頼しております竹内先生の所に紹介して、私も一緒に手術をさせていただこうと思っております。
【網膜剥離が起きる前】
 前置きが長くなりましたが、網膜の代表的な病気としての網膜剥離についてお話する前に、まず病気になる前の状態はどんなものかを、お話いたします。

 網膜剥離は、皆様ご存知のように網膜に裂孔という裂け目ができて、網膜が剥がれていくという病気です。ここで大切なのは、無症候性の網膜裂孔というものがあり、網膜に裂け目ができても網膜が必ず剥がれるわけではないことです。

 網膜剥離に至らない裂孔も多々あります。それに対しては一般にレーザー治療があるのですが、極端な話、レーザー治療をしなくても網膜剥離にならぬまま一生を終える方も珍しくはありません。

 ではどのような裂孔が網膜剥離に発展するのかといいますと、症候性の網膜裂孔が非常に危険であるといわれています。症候性の網膜裂孔の症状は、飛蚊症、光視症です。症候性網膜裂孔の33%から35%が網膜剥離になるといわれています。ですからこれらの症状が非常に大切です。

 網膜剥離になりやすい因子はもう一つあって、片方の眼に手術をしたことのある人が、もう一方の眼に症状がでた場合は網膜剥離に発展しやすいといえます。

 それから網膜格子状変性巣があると可能性が高いといえます。また白内障の手術の後、あるいは白内障の手術後人工レンズを入れた袋が濁り、視力が低下したときに、ヤグ・レーザー光線をあてて光の通り道をあけるのですが、このように眼に治療を加えることによって眼球に何らかの侵襲が生じ、網膜剥離などになりやすくなるといわれています。

 もう一つ、女性よりも男性の方が網膜剥離になりやすいということがあります。

 これらのうちの二つ以上の因子があると網膜剥離になりやすいといわれています。

 先ほどからお話に出てきた網膜格子状変性巣ですが、このように網の目のような形で、白線化した血管が続いています。この変性巣の先端にある赤いものが網膜裂孔で、この周囲が網膜剥離という状態になるのですが、格子状変性巣の辺縁には、硝子体という眼の中にあるゼリー状の物質がしっかりとくっついています。

 ですから硝子体がゆるゆる動くことによって、格子状変性巣に強い牽引力が加えられ、網膜が剥がれてくるというわけです.この網膜格子状変性巣は、裂孔原性網膜剥離の30%から50%に関係があるといわれています。

 格子状変性巣は生まれつきあるものではなく、幼少児期から青年期にかけて形成されることが多いようですが、全人□の5%から6%が有するといわれています。近視眼はより多く10%、強度近視は20%に格子状変性巣があります。格子状変性巣のふちは硝子体と強く癒着しているのでそこが裂けやすいのです。生まれたばかりの赤ちゃんの硝子体は、眼球の中にぴったりと満たされています。眼球の中に隙間なくあるのですが、年齢が進むに従って液化してきます。
ですからゼリー状のものが液体状に変わってきます。

 こうなると眼球の動き、体の動きによって眼の中でゆらゆらゆれます。すると格子状変性巣に硝子体がしっかり付いていますので、ゆらぎと共に網膜が硝了
体に引っ張られて裂け目が生じます。裂け目ができると、液化した硝子体の水分が網膜の裏に人り込み、網膜は剥がれてくるのです。網膜剥離の原因の一つは硝了体の液化です。

 これは年齢が加わるにつれて進み、硝子体のゆらぎによって網膜が引っ張られ、裂孔ができるということになります。ある程度年齢がいったときに硝了体が液化しますから、60歳前後に、一番網膜剥離がおきやすいといわれています。近視のかた、特に強度近視の方は、この硝子体の液化が早めに起きてきますから、やはり網膜剥離になりやすいということです。

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