知っておくべき眼疾患

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第12回関西懇話会講演
「知っておくべき眼疾患」

   大阪医科大学 植木麻理先生

 眼は人間にとってカメラにあたるところです。人は外界の情報を、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感から得ていますが、このうち80〜90%を視覚から得ているといわれています。逆に言うと、このカメラが故障してしまうと、情報の大部分が手に人らなくなってしまいます。本日はこの人間にとってたいへん大事な眼について、

 @ものを見るという仕組み
 A世間でよく聞く眼の病気
 B白内障について
 Cわが国の失明原因疾患(緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性)

という順序でお話ししたいと思います。
【眼の構造】
   眼球の構造とものを見る機能眼球とカメラは、作りも大体同じようなものです。まず一番前に角膜といって、目の中と外を区別する透明な膜があります。その後ろに茶目があり、真ん中に穴が開いています。茶目を虹彩といい、真ん中の穴を瞳孔と呼びます。

 瞳孔は明るいところで縮み、暗いところで開くことで、目にはいる光の量を一定にする絞りの役目をしています。瞳孔の後ろに水晶体があります。これはピント合わせをするレンズです。このレンズが曇ってくる病気が白内障です。そして一番後ろが網膜といって光を感じる場所、すなわちフイルムに当たるところです。(眼の構造図

 光が眼に入ってくると角膜を通過し、虹彩の真ん中の穴、瞳孔を通って、水晶体に到達します。水晶体では光を網膜に集めるようにピント合わせを行います。網膜に到達した光の情報は、視神経細胞で電気の刺激に変えられ、視神経線維を伝わって眼球から出ていきます。そして視神経を通り、脳の中の視交叉というところで、左右の眼球から得た情報を合わせます。

 その後、右の眼で見た情報は左の脳の中を、左の眼で見た情報は右の脳の中を縦断し、脳の一番後ろにある後頭葉というところまで伝えられ、そこでどんなものを見たかが認識されます。
【世間でよく聞く眼の病気】
さかさまつげ、涙目

 これらは一体どんな病気なのでしょうか。さかさまつげには、まぶたそのものが内側に入ってしまう眼瞼(がんけん)内反症、腱毛だけが内側にむかっている睡毛(しょうもう)内反症、腱毛がバラバラな方向に生えてしまう睡毛乱性症があります。睦毛は抜いてもすぐ生えてきますので、根本的な治療は手術による眼瞼の整復、毛根の除去などです。

めいぽ、めばちこ

 これには麦粒腫と霰粒腫の二つがあります。麦粒腫は、まぶたのふちにあって涙の油分を分泌するマイボーム腺の感染性炎症です。霰粒腫は、マイボーム腺の慢性炎症により、肉芽腫を形成するものです。

 麦粒腫は痛みを伴って、急激にまぶたが腫れてきます。治療法は抗生剤の投与です。霰粒腫では、消炎治療や手術による切除が行われます。霰粒腫では基本的に痛みはありませんが、感染を起こすと痛みがでることもあります。

はやりめ

 これは流行性角結膜炎のことです。アデノウイルス(8型、19型、37型、54型など)の感染によって起こる結膜炎で、いうならば眼のインフルエンザです。結膜の充血や眼脂(めやに)、流涙、時には痛みを伴います。感冒のような症状を伴うとも多いです。感染性が強いので、この病気にかかったら、学校などは出席停止となります。

なみだめ

 涙は眼球の耳上側にある涙腺というところで作られています。眼の表面を潤し、汚れを流して、まぶたの鼻側にある涙点を通り、涙小管→涙嚢→鼻涙管を経て鼻腔へと排出されます。涙点から始まるこの経路を涙道と言います。

 涙道が閉塞すると涙が排出できなくなり、眼に涙がたまるようになります。涙道閉塞では閉塞部位を解除する手術が必要になりますが、閉塞部位や涙嚢炎の有無によって、やわらかなチューブを挿入する場合と、鼻と涙嚢の間に新しい経路を作る場合と、二つの異なる手術があります。涙の排出は良好なのに、結膜弛緩症、ドライアイ、アレルギー性結膜炎などが原因で、涙がたまっている感じがする偽流涙症も多いです。

ドライアイ

 眼の表面は粘膜なので、常に涙でおおわれていることが必要です。涙が少ないことで不快な症状が起こり、角膜にキズができる疾患がドライアイです。治療はまず、点眼による涙液の補充ですが、重症の場合には涙の排出口である涙点に栓をするという治療が行われます。最近では涙の分泌を増加させる点眼薬もでてきました。

近視・遠視

 近眼は眼球が長いために、網膜よりも手前にピントが合う状態で、遠視はその反対に、網膜の後ろでピントが合う状態です。近視ではピントを後方にするために、凹レンズが必要ですし、遠視では凸レンズが必要になります。しかしこれは、身長に低い高いがあるように、一人一人の眼の性質の違いです。メガネをかけて視力がでるならば、近視や遠視は病気とはいえません。

 
【白内障ってよく聞きますが・・・】
 「・・・内障」という言葉がつく眼の病気には、白内障、緑内障、黒内障があります。

 白内障は目の中のレンズである水晶体が混濁し、瞳が白くなる病気です。

 緑内障では眼圧が高いことにより、目と脳をつなぐ視神経線維が障害され、視野が欠損します。眼圧が非常に高くなると角膜が浮腫を起し、茶目や黒目が青っぽくみえるため、緑内障と言われています。

 黒内障は、脳虚血や眼底疾患によって見えなくなる病気です。外から眼を見ても、見えなくなった原因がわからないものを言います。
【白内障について】
 白内障は眼の中のレンズである水晶体が濁ってしまい、光が網膜に届かなくなる病気です。けがや他の病気から起こることもありますが、ほとんどが加齢によるもので、早い人では40歳ぐらいから発症し、80歳ではほぼ100%に認められます。

 まぶしい、目がかすむなどの症状ではじまり、徐々に視力が低下します。点眼や内服で改善することはあまりなく、視力改善には手術が必要になります。

 白内障手術は、水晶体を包んでいる袋を残して中の濁りだけを除去し、新しい人エレンズに入れ換えるものです。わが国では年間約120万件が行われています。白内障手術は安全性の高い手術ですが、視力低下を来す眼内炎や、水庖性角膜症などの合併症もあります。

 特に後発白内障は、水晶体の袋が、残存した水晶体細胞により混濁することで、再度見えにくくなる合併症です。頻度が高く3年で50%程度にみられるといわれています。

 後発白内障は、レーザー光線の衝撃波により、濁った水晶体の袋を切開することで視力を回復させることができます。外来で、点眼麻酔のみで出来る治療です。
【多焦点眼内レンズ】
 以前の眼内レンズは、焦点が合うところが一つしかありませんでした。例えば遠くにピントを合わせれば、近くは老眼鏡が必要になりすまし、手元を見やすくすれば、遠くを見るときに遠用の眼鏡が必要でした。しかし最近、多焦点レンズという遠近両用眼内レンズが出てきました。ただ現在はまだ保険が使えません。

 自費で36万円ぐらいを支払えば、このレンズこのレンズは、まだちょっと改良の余地があると思うので、私は自分の患者さんには使っていません。「近くも遠くも見えますよ」と言いますが、若い時の自分の眼に戻るわけではありません。近用のレンズと、遠用のレンズの度数が、分けて入っていますので、30cmのところと5mのところは見えるのですが、間の2m、3mのところはぼやけます。

 また小さなレンズの中に、近用のところと遠用のところがまだらに入っており、レンズの構造が複雑なために、焦点が一つしかないレンズに比べると、暗所で光が散乱し、光の周辺に輪が架かって見える現象や、コントラストの低下が起きる場合があります。どうしても眼鏡を掛けたくないという方には選択肢の一つですが、手術の前によく相談されるのがよいと思います。

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