網膜剥離とは

ホーム お知らせ 友の会とは? Q&A 講演録 協力医訪問

第1回中国四国懇話会講演
網膜剥離とは

   みなもと眼科院長 皆本 敦先生

     
 司会者 お待ちかねの皆本先生の講演にうつります。まず先生のご紹介をさせていただきます。

 皆本先生は生粋の広島人(じん)でありまして、広島大学医学部を卒業された後、大学の付属病院だけでなく済生会呉病院、庄原赤十字病院などに勤務、吉田総合病院では眼科部長、広島大学では眼科学助教授を務められました。

 またイ ギリスのケンブリッジ大学に1年半留学し、その後アメリカのクリーブランドのクリニック・コール眼研究所に、文部科学省の在外研究員として派遣されておられました。2006年に広島大学を退職され、現在、「みなもと眼科」を開業されています。それでは皆本先生、お願いいたします。

 
 ご紹介いただきました「みなもと眼科」の皆本敦と申します。2年前まで広島大学病院の眼科で網膜硝子体の病気を担当しておりました。

 私が医者になったのは1986年で当時網膜剥離の患者さんは術前術後、ベッドから動けませんでした。食事もトイレもベ ッド上でした。手術のあとには、砂枕で頭を動かないように固定され、私達も安静を保った患者さんを移動するために上腕が鍛えられたという感じでした。それから22年で網膜剥離の治療は変化しています。

 それではまず眼の説明からはじめたいと思います。
 
【目の組織】
 眼科で眼といいますと眼球だけではなくまわりに付属しているものも含めます。一つの眼には6本の筋肉が付いています。網膜剥離の手術では、この筋肉も関係してきます。

 はよくカメラに例えられます。
光は前から入ってレンズを通り、眼の底に写ってものが見えるということです。テレビカメラのようで、コードにあたるのが 視神経で脳へとつながっています。

 これは丸い眼球の底、眼底の写真ですが、体中で血管をこんなふうに写真に撮ることができるのは眼底だけです。眼底に至るまでの組織が透明で、外からの光が通過するのでこういった写真が撮るのです。

 網膜はこれだけの範囲の全体がまったく同じ役割をしているわけではありません。視力を司っているのは、網膜の中心部にあたる「黄斑部」です。また暗い中を歩いたり、映画館などに入ったりしたときに、初めは足元がよく見えなくてもだんだん見えるようになりますが、このように暗い所でも順応する機能はむしろ網膜の周辺部にあります。

 このように網膜は場所によってそれぞれ機能を分担しています。眼に入った光は網膜に写った像となり、視神経を通って脳に達し、見えるということを意識します。
【硝子体】
 外界から入る光が網膜に達するまでの間に透光体という部分を通ります。たとえば水晶体と呼ばれる透明な場所が濁ると光が通りにくくなります。また眼の中で大きな容積を占める硝子体は、透明なゼリーのような物質でできています。このゼリーは網膜剥離発症に大きく関係してきます。

 この硝子体はどのような組織かといいますと、99%は水でできています。残りは透明な蛋白質でできています。そして光を通しながら眼の形を保っています。中央部分には胎児の頃には血管が走っていて、それがこれより前にある組織の栄養をつかさっています。

 そして生まれる前に、この血管からの栄養で組織ができあがったあと、吸収されて姿を消します。ときにはそれが吸収しきれないで残る場合もありますが。

 水晶体も硝子体も正常な状態で透明な場合は意識することがありませんが、病気のために、また加齢による変化で存在を意識されるようになります。硝子体の線維は整然と並んでいるのですが、年齢と共にだんだん乱れてきます。それと共にゼリーが、水分と、線維が集まったゼリー状の部分とに分離してきます。それから水がゼリー状の部分から後ろにまわって、形のある部分が前に偏位します。

 この現象を「後部硝子体剥離」といいます。後部硝子体剥離を生じると飛蚊症が自覚されます。
【後部硝子体剥離と網膜裂孔】
 
 若いときは、このゼリーは弾力があって眼球内部の全体に満ちていますが、後部硝子体剥離がおこると前や下にずれたり、しぼんできたりします。硝子体と網膜が一部くっついていたりすると、後部硝子体剥離が起ったときに、その部分が引っ張られてしまい、網膜に裂け目を作ることがあるのです。

 これが網膜裂孔です。裂孔ができ、次いで水の部分の硝子体(液化硝子体といいます)が、その穴から網膜の裏側にまわって網膜を剥がすと、「裂孔原性網膜剥離」の発症ということになります。この患者さんの場合は上の方しか剥がれていませんから、まだ視力は良いのです。ただこの部分の視野には変化が生じます。

 上の方の網膜は下の視野を担当していますから、この場合は下の方から黒い幕が上がって見える範囲H視野が欠けてきます。これを「視野欠損」といいます。そして剥離が視力にとって一番大切な黄斑部まで達すると、視力がガタンと落ちて見えなくなります。
【飛蚊症】
 また網膜に穴ができたときに網膜の同じ場所に血管があると、血管も千切れてしまって出血します。すると眼の中に血液が舞いますから飛蚊症を生じます。飛蚊症の程度は出血した量によって違います。

 ただ飛蚊症は網膜に穴があいていなくても生じるわけですので、自覚症状だけで網膜の変化を判断するのは難しいことです。
【網膜剥離発生年代のピーク】
 先ほど世話人の星野さんが網膜剥離のピークは20代と60代にあるとおっしゃっていましたが、今までお話した網膜剥離は、若い方ではなくて60代あるいはその前後の場合に当てはまります。

 若い人の網膜剥離は近視の人に多いのですが、特に強い近視の場合は眼球が後ろに伸びていて、そのために網膜が薄くなっています。

 その薄くなった網膜の一部に小さな丸い穴があくことがあります。若いときの硝子体はしっかりしているのですが、近視が強いと液化が生じていることがあります。すると徐々にですが液が少しずつ網膜の後ろにまわって網膜剥離が起こってきます。しかし硝子体が六十代、七十代のように変性していませんからまだゼリー状態がしっかりしているので、急激に剥離することはなく、ゆっくりと進行します。

 同じ網膜剥離でも20代がピー-クになっているタイプと60、70代がピークのタイプとは症状の程度、進行具合など違いがあることを知って欲しいと思います。

NEXT  BACK


Copyright(C) 2001-2017 網膜剥離友の会 All rights reserved.