糖尿病黄斑浮腫の成因に関する研究

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2014年総会講演
「糖尿病黄斑浮腫の成因に関する研究(続編)」

 大阪医科大学眼科 池田恒彦先生

 
 
 大阪医科大学の池田と申します。私は手術を専門にやっていますが、出来れば手術をしないで、予防的に病気を治せないかと、いろいろな研究をしております。今日は糖尿病網膜症の中でも、目の中心の黄斑部に水膨れを起す糖尿病黄斑浮腫について、研究の成果をご報告したいと思います。

 ここ数年取り組んできた研究では、網膜の中心である黄斑部に、幹細胞様の未分化な細胞があるのではないかという仮説を唱え、検証して参りましたが、ようやく英文の論文ができ上がりまして、今雑誌に投稿しております。この論文は黄斑部の未分化な細胞がヒアルロン酸結合蛋白を産生して、そのヒアルロン酸が周囲から水を引き寄せて浮腫が生じるというものです。

 まだ受理されてはいないのですが、この論文が通れば、世界中の方に成果を見て頂けるのではないかと思っています。

 この研究は、浮腫がなぜ黄斑部に生じやすいかという疑問から始まったものですが、これとは別に、糖尿病黄斑浮腫が糖尿病網膜症の一つのタイプであるという観点から、その成因について研究しておりまして、こちらも現在別の雑誌に論文を投稿しております。本日はこの研究についてお話したいと思います。
 
 
【糖尿病黄斑浮腫とは】
 
 まず最初に病気の説明から始めたいと思います。ご存知のように眼球の断面図の前の方から、角膜、水晶体、硝子体、そしてずっと後ろに網膜があります。糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症の中でも、細小血管障害と言われるものの一つで、網膜の細く小さな血管が傷んでくることから起こる病気です。

 糖尿病の患者さんは、最近急増していまして、2013年に厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査」によれば、全国の推定糖尿病人口は950万人と言われています。日本人の12・13人に一人は糖尿病ということになりますから、本当に多いです。

 糖尿病網膜症は、約10年糖尿病を患っていると、そのうち3割から4割の方に何らかの形で発症するといわれています。
 

図1

   

 最近眼科の診断学を大いに発展させたものに、光干渉断層計 (OCT)という器械があります。

 網膜の厚さはわずか0.2ミリしかありませんが、その断面を写し出し、中にある層状の構造をはっきり見ることができる優れた検査器械です。

 これはOCTを使って撮影した黄斑部の写真です(図1)。

 正常な黄斑部はこのように凹んでいますが、糖尿病黄斑浮腫を起すと、網膜の中に水が溜まって膨れ上がってきます。

 OCTを使うと、違いが一目瞭然ですので、我々にとっては診断が非常に楽になりました。
 

 
 糖尿病黄斑浮腫とはどのような病気かをまとめますと、

○糖尿病網膜症の一つのタイプである
○黄斑部に水膨れが生じる
○近年日本で増加傾向にある

ということができます。
 
 

 次の図は網膜の断面を拡大したものです(図2)。

 網膜の血管には、水を外に漏らさないようなバリア機能がありますが、糖尿病の方は血管が弱くなっているために、水が容易に滲み出してしまいます。

 血漿成分(血液の中の液状の成分)が滲み出して網膜がふやけたような状態になり、ものが見えにくくなってきます。

蛍光眼底造影検査は、蛍光剤を注射して写真を撮る検査です。

 正常な眼底では蛍光剤が漏れることはありませんが、糖尿病黄斑浮腫の方では、血漿成分といっしょに蛍光剤が漏れてきて、白く写ります。

 

図2

 
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