「眼科にまつわる噂の検証」

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2015年関西懇話会講演
「眼科にまつわる噂の検証」

 高槻赤十字病院 佐藤孝樹先生(現大阪医科大学講師

 私たちにとっては考えられないような噂があるのですが、その中でも代表的なものについてお話したいと思います。

 受診される患者さんの中には、私たち医師の話より、近所の友人の話を信じる方が少なくありません。今回、眼科にまつわる噂、外来でよく聞く噂について検証を行いたいと思います。
1. 目薬を点眼した後、瞬きを繰り返すと良くない? 目薬は、夜寝る前に点眼したらダメ?
 瞬きはあまりするとよくないです。しかし寝る前にするのは問題ありません。瞬きをするという事は、瞬きによるポンプ作用で、涙腺から分泌された涙は目を潤した後、涙道を通って鼻に流れて行きます。

 点眼後頻繁に瞬きをすると、速く鼻のほうへ目薬が流れて行ってしまい、目薬が眼の表面に留まりにくくなって、効果が出にくくなります。

 ・ 点眼液が溜まっている時間が短いと、効果が不十分になることがある。

 ・ 瞬きをし過ぎると鼻の方へ排出されてしまう可能性あり。

 ・ 複数点眼するときは、前の点眼が次の点眼で流されないよう浸透を待って、5分以上あける。
2. 寝る前の目薬はダメではない!
 ・ 就寝中は涙液の流れが停滞、薬剤の滞留時間が長くなる。

 ・ 使用されていた添加物が原因で、昔はダメだったのはチロメサール(殺菌剤で水銀製剤)

 就寝前に点眼すると、角膜などに吸着して悪影響を及ぼします。

 硫酸亜鉛配合点眼剤は眼の中に長く残ることで、組織障害が起こる恐れがあり、昔はダメでしたが、今はそういう添加物は使われていませんので、どの薬でも大丈夫です。

 ただ緑内障の目薬は、皮膚に付着した状態で寝てしまうと、皮膚が色素沈着を起こしたり、睡毛が伸びてきたりという副作用を起こすものもあります。寝る寸前に点すという事で悪化するわけではありませんが、見た目の美容的変化を起こす薬もあります。

 そういう目薬は寝る前に点すより、お風呂前に点して、目の外側の皮膚に付いたものを流してから寝てくださいと説明しますが、原則的に今はどの薬も、寝る前に点すことに問題はありません。
3. 涙がいっばい出るのは涙腺が詰まっている?
 涙腺というのは、涙を作るところで、涙が流れるのは、涙道です。涙道が詰まっていることで、目の表面に溜まった涙が鼻のほうに流れて行けなくなり、涙が溜まって涙っぽくなるということが起こります。正確には、「涙道が詰まって涙が溜まるのでしょうか?」と言うのが正しいです。

流涙の原因

 ・ 涙道閉鎖
 ・ 眼瞼疾患(内反症、外反症など)
 ・ 結膜弛緩症
 ・ 結膜炎
 ・ ドライアイ
 ・ その他

 涙が出るのは、涙道が詰まって起こることだけではありません。

 涙の流れる流涙の原因としては、涙道の閉鎖、瞼の病気の内反症(睡毛が内を向いたり、外を向いたりして、その刺激で涙が出る)、結膜弛緩症(白目の結膜が弛んで、搬鐵になる病気)など年齢性の変化によって涙が出ます。

 また結膜炎という炎症、ドライアイで涙が出る事もあります。

 涙道が閉鎖していれば、通す手術をします。瞼も手術します。結膜炎は点眼治療です。

 結膜弛緩症により下眼瞼との境界に弛緩した結膜が占拠するため、涙液流路障害が生じます。手術は白目を縫い縮めてピンと張ることで、目の表面がツルッとして、涙の乗りが良くなり、涙っぽい感じが減るという手術を行います。

ドライアイの3大症状

 ・ 目が乾く(89.7%)
 ・ 目が疲れる(75.4%)
 ・ 目がゴロゴロする(57.8%)

 以外に涙が出るというのも多く(35.5%)目の表面が乾くことで障害されて、反射性に分泌が増加します。

4. 視力が良い人は早く老眼になる? 近視の人は老眼になりくい?
 これも良く聞かれますが、両方とも間違いです。

調節力

 ・ 遠くを見るとき

 毛様体筋は緩み、水晶体は薄くなる。

 ・ 近くを見るとき

 毛様体筋が緊張して、水晶体が厚くなる。

老眼の原因

 ・ 年齢と共に調節力が低下し、近くを見るのが困難になった状態。

 ・ 人の調節の大部分は、水晶体前面の曲率の変化(増加)によって起こるのですが、加齢とともに水晶体が堅くなり、レンズの厚さが変化しなくなる。

 老眼の原因というのは前面の曲率の変化が起こらなくなることで、ピントの合う幅が狭くなることによって、老眼が出てきます。若いときはレンズが柔らかくて、厚くなったり、薄くなることがスムーズにできますが、堅くなることで、レンズの周りの筋肉が引っ張っても、縮めても動かなくなって、ピントの合う幅が狭くなるというのが老眼です。

老視

 ・ 調節力は10歳から低下する。

 ・ 45歳の調節力2〜4D(ジオプター)

 ・ 50歳の調節力1D以下

 近くを見るのには約3D(33cm)の調節力が必要。つまり老視の症状はだいたい45歳ぐらいから認められる。近視の人も見にくくなるのは立派な老眼の症状です。

 近視の方は眼鏡が無い状態だと近くにピントが合っているので、老眼が無いように感じているだけで、遠くの眼鏡で近くが見えないというのが、立派な老眼の症状です。近視は老眼が起こりにくいということではありません。
5. 「魚の目玉」「ブルーベリー」は目に良い?
 どちらも身体に良いとされる成分があります。

 ・ 魚の目はビタミンB1、DHA、EPA
 ・ ブルーベリーはアントシアニン

加齢による眼の病気の研究:AREDS(Age Related Eye Disease Study)

 抗酸化剤ビタミンC、E、A(βカロテン)、亜鉛、銅の投与による効果について検討した結果は、白内障の進展には何の影響も与えなかった。つまり、白内障にはサプリメントは効かないということが分かり、また加齢黄斑変性の進行は遅らせることができることが分かりました。

AREDS 2

 AREDSで有効性を認めた成分のうち、肺がんのリスクとなるβカロテンを除いた成分を加えてルテイン、ゼアキサンチンエイコサペンタエン酸(EPA)ドコサヘキサエン酸(DHA)AMD(加齢黄斑変性)進行への影響を検討。

 結果として、ルテイン、ゼアキサンチンの追加は重症AMDの発症リスクを10%減らし、有効性があることが分かりました。ただEPA、DHAの追加投与では効果は示されませんでした。ただ単独では30%進行抑制の効果ありとの報告もあります。現在までの研究では、魚の目玉に多く含まれる成分は目に良いことが分かっています。

加齢黄斑変性に関連して

 福岡県久山町で調べられた久山町スタディ(加齢黄斑変性を調査)の非喫煙者と喫煙者を比較すると、喫煙者のAMDのリスクが四倍に上昇します。

 この結果から計算すると、AMDの発症者のうち六割は喫煙に起因すると推定される報告がされています。煙草は本当に良くないので、周りで吸っている方に対しては、強く禁煙を勧めてください。

 加齢黄斑変性を治療していて、コントロールしにくい方に「煙草吸っていますか」と聞くと、吸っている方が多いです。煙草は末梢血管が収縮してしまって、血流がわるくなります。血流が悪化すると、活性酸素のような老廃物が溜まり易くなり、病気が起こり易くなります。煙草は絶対ダメです!

ブルーベリー(アントシアニン)の作用

 ・ ロドプシンの再合成を助ける。
 ・ 活性酸素の除去(抗酸化作用)
 ・ 毛細血管の促進、強化。末梢の血流が良くなる。

ロドプシンとは?

 ・ 暗いところでものを見るときに働く色素体です。
 ・ 網膜にあるロドプシンは、加齢によりだんだん減少する。
 ・ 光刺激によって次々に分解と合成を繰り返す。再合成が間に合わなくなると、神経の伝達物質なので、それが減ってものが見えにくくぼやけた感じになったり、疲れ眼の原因になります。

まとめ(ブルーベリーについて)

 ・(ブルーベリー)アントシアニンを摂取するとロドプシンが増えて見ることが楽になる。
 ・ 活性酸素の除去で病気の予防になる。

 これだけ摂取していればいいというのではなく、ビタミン、ミネラル分も効果があるので、バランス良く食事を摂ることが大事です。

「何を飲んだら良いでしょうか」と聞かれるのですが、色々なものが広範囲に効くので、バランスの良い食生活と、プラスアルファとしてサプリメントで補給することです。

 最近では、黄斑変性に対するサプリメントとして、ボシュロムのオキュバイトであったり、参天製薬から出ているサンテルツクスなど、データに基づいて作られたサプリメントがあります。

 それでもまずは、食生活をしっかりするという事がだいじです。
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