「全身病と目の関係A」

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2017年関西懇話会講演
「全身病と目の関係A」

 大阪医科大学眼科学教室教授 池田恒彦先生

○眼の知識の収集
 冒頭から、ちょっと余談になります。個人的意見ですが、このような知識を収集する会は他にもありまして、お役に立つかなと考えましたのでご紹介します。

 まず、私が評議員をやっている日本眼科学会というのがあります。ここでは毎年春に日本眼科学会総会、秋に日本臨床眼科学会を開いています。そして、その学会の都度、市民公開講座を開いて、一般の人に講演を聞いて頂いています。学会は毎回テーマも違いますし、全国で開かれますので、毎年大阪で開かれるということではありませんが、数年に一度は大阪で開かれます。

 次に、開業医の先生方と、我々のような勤務医がやっている大阪府眼科医会というのがあり、私は参与を務めています。そこでも毎年1回、市民公開講座を開催していまして、府内5大学の眼科学教室の教授陣が持ち回りで講演しています。

 ただ、一般の方にどの程度アナウンスが行っているのかな、という点には疑問があります。それぞれホームページを開いて頂ければ載っています。今はネットの時代ですから、ホームページをご覧になって来られる方が多いようです。例えば、大阪府眼科医会の場合は、毎回大体300人ぐらいの方がお越しになります。一般の方々がこうした情報をより広く得られやすいように、我々も考えていくことが必要だと思います。
○本日の講演の進め方
 それでは、今日の本題「全身病と眼の関係A」に入りたいと思います。
Aとしたのは、以前、同じテーマでお話ししましたが、世話人の方からのご要望もあり、網膜剥離以外の他の病気の方にもお聞き頂けるよう、前回のバージョンアップをしました。

 色々な病気が出てきますが、年齢を経るとこういう病気もあるのだなとお分かり頂ければと思います。
1. 眼科検査
視力検査は、ランドルト環と言う丸い輪で検査します。

 眼圧検査は接触型眼圧計と言って、直接眼に触れて眼圧を検査します。これは段々減ってきています。今は、空気が飛んできて検査する非接触型眼圧計で検査することが多くなってきました。

 眼圧が高いということは、緑内障という病気を見つける為に非常に大事なものです。他にも眼圧が上がってくる病気は沢山あります。ですから、こういった眼圧を図るというのが、ルーティンの検査です。

 こうした検査を受けて頂いた後に、診察室に入って頂いて行う診察を行います。
 写真@は細隙灯(さいげきとう)顕微鏡で見ているところです。我々医師の方からどういうふうに見えているかと言いますと、白内障の方の写真ですが、黄色く濁っているのが分かります。

 今は、高齢化社会になって、白内障の方が激増しています。昔は視力が0.2くらいまで手術は待ちましょうと言っていたのですが、今は高齢者の方でも自動車を運転されますので、普通免許取得には片眼で視力は0.7以上必要ですので、それを割りますと手術をしてほしいと、病院に来られます。

 倒像鏡(とうぞうきょう)というレンズに光をあてて眼底を診ます。おそらく皆さんもこれを受けていると思います。

 

   これには、単眼倒像鏡と双眼倒像鏡があります。どちらも眼底を診る検査ですが、単眼倒像鏡では立体視はできません。私は、写真Aのように眼の前に帽子みたいなものを被って、双眼倒像鏡を使って診ています。これは両眼で診ていますので、立体視できます。

 網膜剥離の方はあまり受けたことはないと思いますが、造影剤を注射して、眼底の写真をとる蛍光眼底造影検査という検査で、糖尿病の方の眼底写真ですが、血管が詰まっているところがいっぱいあって、白く濁っているところは、本来あってはならない新生血管があり、その新生血管が破れて大出血を起こしています。この検査では、こういったことが分かります。
 写真Bは、もう最新とは言えなくなりますが、眼科学の診断学を一変させたと言われている光干渉断層計(Optical Coherence Tomography OCT)という器械です。光のエコーを使って網膜の断層を撮る器械です、今は解像度の高い素晴らしい器械が沢山出ています。

 OCTで撮った正常黄斑部の断面の写真では、真ん中(中心窩)が陥凹(かんおう)と言って、少し窪んで、綺麗な層状構造をしているのがよく分かります。

 こういった写真を短時間で見ることができる素晴らしい器械です。開業の先生でも、この器械を備えている眼科が増えています。この器械が出るまでは黄斑の部分を見るのは大変で、時間をかけて診ていたのですが、この器械が出来てからは、短時間で見落としなく見られるようになりました。
 
 光干渉断層計で糖尿病の方を撮ったものでは、黄斑の真ん中の部分が張れ上がる黄斑浮腫が起きているのがよく分かります。黄斑に穴が開く黄斑円孔も分かります。黄斑上膜といって、網膜剥離をした方にも起きますが、黄斑の上に膜ができているのがよく分かります。黄斑上膜ができると、ものが歪んで見えるといったことが起こります。

 視野検査計には、2種類あって、検査員の方が行うゴールドマン動的視野検査計と、検査員なしでコンピューターが自動的に測るハンフリー静的視野検査計があります。測れる範囲はゴールドマンの方が広いのですが、鋭敏さとか客観性を見るのには、ハンフリーの方が優れています。両者には一長一短ありますので、病気によって使い分けています。緑内障の方に受けて頂くのが一番多いです。

 写真Cは、超音波Bモード検査計です。

 プローブ(電極)を眼瞼の上に当てて調べます。例えば、白内障が強くて眼底が全然見えないといったときに、眼底を診るために使います。

 白内障の方で眼底は大丈夫かということで眼底を診てみたら、網膜剥離が見つかったりすることがあります。

 この検査も非常に大事で、硝子体出血しているときに網膜剥離の有無や、どれくらいの量の出血があるのかといったことが、この検査で分かります。

○日本の視覚障害疾患の推移
 1991年、2006年、2013年の視覚障害原因疾患の推移ですが、昔は糖尿病網膜症が1位だったのですが、今は緑内障が1位になっています。これは、糖尿病が減ったというよりは緑内障が増えたということです。

 昔は眼圧の高い人だけを緑内障と言っていたのですが、眼圧は正常な範囲なのに緑内障になっている方が多いということが分かってきました。日本人の場合には緑内障の3分の2くらいの方が正常眼圧内で、「正常眼圧緑内障」と言っています。昔は原因不明とされていた視神経萎縮の多くの方が、緑内障と診断されるようになってきました。緑内障の方が増えたので、糖尿病網膜症が減っているということではありません。

 以上、眼科での検査と視覚障害の推移について説明しましたので、これから、それぞれの病気について説明しますが、これらの説明を頭の片隅において頂いてお聞きください。

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