若い人達の網膜剥離

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2002年総会グループディスカッション
「若い人達の網膜剥離」竹内忍先生 構成:大内秋子
【格子状変性と言われて】
 17歳の娘が最近左眼に影が見えるというので、近くの病院へ行ったら、右眼の方が格子状変性による網膜剥離の恐れがあるということで、たくさん光凝固をされました。1週問くらい後に右眼が腫れ、1ヶ月後に測った視力が2段階くらい下がってしまいました。光凝固の影響でしょうか。娘は0.08くらいの近視です。
 光凝固はレーザーで網膜の周辺部の視力と関係ない部分を焼くので、あとで視力が落ちることは無いと思います。たまたま視力検査の時に具合が悪かったのではないでしょうか。眼が腫れたのも別の原因だと思います。

 近視がある人が14・5歳を過ぎると、硝子体が濁って黒いものがチラチラ見えることがあります。それで診察を受けたら、網膜の端の部分が薄くなっていることが発見された訳ですね。そういう例はよくあります。網膜の周辺部、眼球でいうと赤道部の変性を格子状変性といいます。

 確かに、網膜が薄くなって孔があく、若年性の剥離を起こす原因にはなりますから、以前は予防的措置として光凝固をして孔を塞ぐ処置をしましたが、最近はあまりしません。
なぜかというと網膜の周辺部に変性のある人が非常に多いことと、変性のある人でも網膜剥離を発生する率が少ないことがわかってきたからです。例え裂孔があっても剥離を起こす人の方が少ないのです。

 また、光凝固の効果を証明するためには、膨大な数の症例を光凝固をした人としない人に分けて、10年くらい経過をみてから比較して立証しなければならない訳ですが、現実には症例を長期問フォローすることさえ困難で、現在も確実な検証はされていません。

 病院ごとに数百人程度を経過観察していて、変性がある眼でも10年以上変化が無いという例がバラバラと報告されているだけなので、それぞれの医師が経験から判断して処置しているのが現状です。

 私に関してはほとんど光凝固していません。近視とか格子状変性とかは体質的なもので、避けて通れないものだし、年齢によって硝子体も変化していくのですから、定期的に診察を受けて経過を把握しておくことが一番大事で、それさえやっていれば、日常の生活を制限したりする必要は全くありません。

 100%確実な予防法がある訳ではないから、特に若い人で外傷ではない場合、あわててはいけない。網膜はそんなに急には剥がれないし、孔があいても剥がれないことも、剥がれていてもくっついてしまうことさえあるから、じっくり様子をみていて処置をしても大丈夫です。定期的に診察を受けることは忘れないようにしてください。
     
子供の生活にどんな注意を】
 子供が1歳半の時にこの会に入会しました。片方は見えなくて、もう片方は幼稚園の年中組の時0.3、今は矯正視力0.5まで見えるようになっています。教室では一番前に座って勉強していますし、友達とテレビゲームをしたり、サッカーをやったり元気に遊び回っています。

 まだ10歳なので、今後の生活面で注意することがあれば、伺いたいのですが。頭をぶつけるようなサッカーのヘディングとか飛び込みは禁止しているのですが。
 低視力のお子さんだからといって、いろんなことができるのだから、行動を制限しなくてもいいんじゃないですか。リスクは匿我をすることくらいだから、格闘技はやめた方がいいという程度で。

 片方見えないとしても、勉強もテレビゲームもできる視力があるのだから、その能力を生かしたほうがいいと思います。何かあったら、その時治せばいい。要心のために、お子さんの生活を制限し過ぎないことの方が大事だと思いますよ。
     
【剥離の前駆症状の判断は】
 先天的な眼軸性の強度近視で子供の時に片目を失明していますが、日常には不自由なく30年以上経過しています。見えている方の眼は子供の時からいろんな形の飛蚊症がありますから、この年齢になって剥離の前駆症状の飛蚊症とどう違うのか見分けがつきません。どういう自覚があったら危険ですか。幕が下りて来たように見えなくなるというのは本当ですか。
 そういう症状が出たら、網膜が完全に剥がれてしまった状態だから、視力の回復という点では、できれば事前に発見しておきたいですね。ただ、網膜の状態は人によっても違うし変化もするので、いつ剥離を起こすか予告はできません。経過を観察していて判断するか、患者さんの「何かいつもと違う」という感覚が案外正確だったりします。自覚的に急な変化があればすぐ眼底を診察してもらえばいいと思います。
     
【アトピーから剥離になって】
 今まで7回くらい手術をしています。中学2年の時アトピーから白内障になり、手術をして眼内レンズを入れたのですが右眼は外れてしまい、コンタクトレンズで矯正しています。網膜剥離の硝子体手術もして今は順調で視力は1.5あります。

 問題は左眼で、白内障の手術をして眼内レンズを縫いつけてあります。高校2年の時に網膜剥離の手術をして、数年後再び剥がれた所が発見されたのですが、進行しないので周りを光凝固で固めただけでそのままにしてあります。今年大学を卒業して就職することになったので、複数の先生に診ていただいて意見を聞き、それぞれ違うご意見だったので、自分で考えて手術はしないと決断しました。

 進行していない剥離の場合、どの時点で手術をするのがいいでしょうか。下の方が3分の1くらい薄く剥がれているそうです。また、疲れたりアルコール類を飲んだりすると、視野の中に水のようなものが上がってくるように見えたりするので、不安にもなるのですが。
 アルコールなどで血管が拡張すると網膜が刺激されて自覚症状が現れるだけで、剥離が広がる訳ではないでしょう。
本当に網膜剥離が進むようなら、やっぱり手術をするべきですが、剥離の範囲が現状で固定していて広がらないようなら、手術をしないのも選択肢の一つです。

 たくさんの人を診察していると、本人は何も気がつかないうちに周辺部が網膜剥離になって、そのままくっついてしまっているケースは少なくありません。中心部まで剥離が進まなければ、視野に影響しないので気がつかないのです。

 そういう例を知っているので、あまり変化のない剥離がある場合、定期的に眼底写真をとっておいて、進んでいるのが分かった時点で手術の予定をたてます。

 剥離の周辺部を光凝固で押さえているというのは、根本的に病気を治している訳ではないので、そこを越えて剥離が進行すると、光凝固の癩痕が大きな裂け目になって手術を難しくする危険もあります。
今はどこの病院にも光凝固のいい器械がかるので、多用しがちなのはいいことではないと思います。

 アトピーの眼の二大合併症は白内障と網膜剥離で、皮膚症状が治まらないと、寝ている間にも眼をこすったりして、眼内レンズがはずれることもよくあるし、剥離は外傷と同じ症状を起こします。せっかく手術で治しても皮膚症状があれば何回も再発する ことがありますね。

 確かにリスクを抱えた眼ですが、病気を恐れて引っ込み思案になることはない。仕事も遊びも普段の生活をして、それで剥離が進行するようなら手術をすればいいと思います。
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