白内障手術について

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2002年総会グループディスカッション
「白内障手術について」 伊野田繁先生 構成: 山田由紀子
【再手術は可能か?】
 6年位前に仕事で海外(タイ)に行っていた時に発病しました。
健康診断で網膜剥離になる可能性があるから精密検査をうけるようにいわれていたのですが、海外の仕事で検査はうけずにいました。現地で異常を感じて病院に行った時は半分くらい見えなくなっていました。重大な病気なので治療をタイでやるか日本でやるかすぐに決断するようにいわれて、タイでも剥離の手術は盛んだとのことでしたが、言葉の間題があるので日本に帰りました。知人の紹介で都内の大学病院で裂孔原性網膜剥離ということで手術をうけました。

 1回目の手術の時は見えていたのですが、2回目の手術のあと見えなくなって、今ではまっくらな状態です。反対側の眼も剥離のおそれがあるということでレーザー治療をうけています。

 現在3ヶ月に1度定期検診で通院していますが、大学病院のためでしょうか、行くたびに先生がかわります。入院中も2回目の手術のあとそれまで診てくれていた先生方がいなくなって、ほとんど入れかわったということがありました。最近は見えている方の眼の白内障がすすんできているといわれています。現在の視力は0.7くらいですが、0.5くらいになったら手術を考えた方がいいといわれています。

 このような経過をたどった眼は再手術が可能でしょうか。また反対側の眼の白内障手術はうけても大丈夫でしょうか。するとしたらいつ頃がいいでしょうか

 手術の結果は別にして、入院中に医者が入れ替わったりして不安に思われたことと思います。多分その時期は教授の交代で眼科医局の構成が大きく変わった頃だったのだと思います。企業でもそうかもしれませんが、大学でも上の人が変わるとスタッフも大幅に移動する ことがあります。ちょうどそんな時期だったのでしょうね。

 まず、見えなくなった方の眼が今からでも再手術で何とかなるだろうかということについてですが、診察をしてみないとわかりませんが、 光を感じる能力が残っているかどうかがある程度のめやすになります。

 眼は幸いなことに2つありますから片目が見えなくなっても普通の生活ができますが、その後の人生で良い方の眼が悪くなることが絶対な いとはいえません。そんなとき、悪い方の眼が全く見えないか少しでも見えるかは大きな違いがありますら、少しでもなおる可能性があれば再手術について考えます。

 ただ当然のことですが、手術はすればするほど複雑に難しくなるし、患者さんの負担も増えてきます。ですから再手術をして剥がれた網膜をくっつけることができるかを考えると同時に、手術に成功して視力がどの程度回復するかも問題になります。解剖学的にはなおせても有用な視力の回復が見込めない場合、再手術にかかる負担に見合うかどうか苦慮するところです。

 次に良い方の眼の白内障手術についてです。白内障手術は以前は見えなくなってからするものといわれていて、私自身もそういう教育をうけてきた世代です。現在では眼内レンズ挿入の手術が比較的簡単にできるようになって、その人の生活環境にあわせていつでもできるといっていいと思います。
【白内障手術、視力の目安は?】
 視力が0.5というのは手術の目安でしょうか。
 視力の目安というのは特にないと思います。私の患者さんでもタクシーの運転手で仕事上不便になったからと0.7以上の視力で手術をした人もいるし、片方の眼が白内障の手術のあと網膜剥離になって失明したので、反対側の眼が白内障になって最近ではだいぶ見づらそうなのですが、仕事は息子にゆずったし自分のことは何とかできるから、まだ手術したくないという人もいます。白内障手術の時期については本人の希望でよいと思います。
 私も片目だけでしたので、その眼が白内障になったとき、剥離が心配で手術をうけるのをずいぶん迷ったのですが、手術をうけて本当に良かったと思っています。
 手術を決断したのは何だったのでしょうか。
 残った眼は近眼でコンタクトレンズを使っていたのですが、白内障が進行してコンタクトを作りかえても眼鏡を使っても、時計が見えなかったり買い物に行っても値段がわからなかったり、日常生活がだいぶ不自由になったので。
 すいぷん我慢されたんですね。
白内障の手術がいくら安全になったといっても手術ですから、リスクのある眼に対して医者の側も慎重になります。いちがいにはいえませんが、白内障を専門にしている眼科医は手術をすすめることが多く、網膜・硝子体を専門にしている医者は慎重かもしれません。

 また少し気にかけておいて欲しいのは、白内障の手術がどんなに上手にできてよく見えるようになっても、その眼が剥離になりやすいということにかわりはないのですから、眼底が見にくくなるような手術はうけてほしくない。そのためには白内障だけを専門に手術をしている所よりも、網膜剥離などの眼底の病気にも経験のある医者を選んでほしいと思います。

 病院をかえることはできるでしょうか。
 できると思います。
 その場合、事情を話した方がいいでしょうか。
 話した方がいいと思います。他の先生の意見も聞いてみたいといえば紹介状を書いてくれると思います。最近は医者の側もそういう傾向にあります。あなたの場合は片方しかない眼で心配なのでと遠慮なくおっしゃってみてください。医者に悪いなどと思わないであなたの大切な眼なのですから。
【時々現れる暗点】
 どちらの眼かはっきりしないのですが、マッチ棒の先のような暗点が時々出てとても気になるのですが。
 それは具体的にいうと、たとえば明るいところで新聞を読んでいるときに暗い所がみえるとか。
 いいえ、プツンと暗点がでてすぐ消えてしまいます。飛蚊症のゴミのようなものではありません。
 いつも同じ場所にでますか。また移動しますか。
 1、2ヶ所くらいありますが同時にでることはありませんし、移動しません。
 眼科で神経の障害をおこす緑内障がないか、視野の検査などうけましたか。
 眼圧が時々21くらいになることはありますが、視野の検査では今のところ問題ないだろうといわれています。
 何が原因なのかお答えするのは大変むずかしく正直にいってわかりません。しかしこういうものが見える理由として考えられることは、綱膜のレベルでいえば部分的に光を感じない所がでてきたということがあります。どうして感じなくなったかというと血液が十分流れなくなった血流障害があります。

 二つ目は網膜から脳につながる神経のある部分が一時的に障害されたということです。もう一つは眼の問題ではなくて、頭の中の問題かもしれません。ものが見えるというのは眼だけの問題ではありま昔ん。眼の中に入った光は網膜の視細胞が感受し、その情報は視神経を通して脳に伝わって頭の中で処理されるのです。

 網膜に異常が見つからないとすると神経レベルの問題になって、神経内科とか脳外科の分野になるのかもしれません。病気はある時期まで正常だったものが変化しておこるのですが、自覚症状があって病気の始まりかというわけでなく、いろいろな検査をしても異常が見つからないこともあります。特に自覚症状が一時的だとさらに難しくなることが多いと思います。現時点で診断がつかなくても、今後年1回でも定期検診をうけながら経過をみていったらどうでしょうか。

【予防的なレーザー治療】
 十代の若い人が穴があく心配があるからレーザーをといわれたそうですが、予防的なレーザーはどんな場合にするのでしょうか。またレーザーのあと眼がはれるということはありますか。
 レーザーではれることはないと思います。関係あることとしては、まれに散瞳薬にアレルギーをおこす人がいるので、そのためにはれるということは考えられます。

 予防的なレーザー治療についてですが、綱膜に穴があいても全部が剥離になるわけではありません。その確率は10人に1人という数字もあって、私自身は穴があるからすぐレーザーということはありません。特に若い人の場合は強度近視などは別にして硝子体がしっかりしていますから剥離に発展することは少ないと思っています。

 剥離に発展する心配のある眼として(1)穴が大きい(2)穴が上にある(3)硝子体の変性が強い(4)近視が強い(5)網膜の変性巣の中に穴がある等があります。またこの条件にあてはまるからすぐレーザーをするわけでもなくて、(5)の場合など広範囲に変性があるとレーザーによる悪影響も考えられるのでしないこともあります。

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