坂西先生にお尋ねする

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2002年総会グループディスカッション
「坂西良彦先生にお尋ねする」 司会: 安孫子季久代
【白内障の再発】
 60歳の男性です。私は両眼とも網膜剥離の手術と白内障の手術を時間をおいて受けています。生まれつき強度の近視で、白内障の手術は、嚢外法というのか、嚢を残しておく方法でした。それで時間が経つとまた白内障になるのかが心配です。
 白内障の手術の仕方には嚢外法と嚢内法の二つがあります。

 嚢内法は、水晶体をそっくりそのまま取り出してしまう方法ですが、現在では特殊な例以外には行いません。目の水晶体の周りには薄い膜があって、嚢外法はその膜の後ろのほうを残して前のほうだけ取ってしまう方法です。

 この方法の特徴は、膜が一枚残っているために、目の中の安定性が良いことです。水晶体を取ってしまうと、水晶体の後ろの硝子体が目の動きにつれてふらふら動いてしまうのが、膜を一枚残しておくだけで硝子体の動きを抑え、目の中が安定します。

 このように嚢外法はとても良い方法にみえますが、欠点があります。残した水晶体の後ろの膜にほんの小さい水晶体の細胞が残ってしまうことです。そして日が経つにつれて、端から伸びて広がってしまい、折角手術したのに、白内障のように見えなくなってしまうことがあります。

 しかしこれは白内障が再発したのではなく、(医学的には後発白内障という名前がついていますが)白内障ではありません。
昔は目の中にメスを入れて濁った膜を切り開きましたが、今はヤグレーザーを用いて濁った膜をとります。ヤグレーザーは肉眼では見えないので透明なメスといわれていて、これで処置をすると、その日の夜にはもう見えるようになります。

 そして普通の方は特に問題ありませんが、網膜剥離を起こした方は、膜を取ることにより目の中の安定性が損なわれてしまい、網膜剥離が再発しやすいと言われています。

 しかし、実際私はこの処置を何人もの方に行いましが、網膜剥離が再発した方は一人もいません。このように理論的には剥離の再発の可能性があるといわれていますが、実際的にはほとんど心配はいりません。でも患者さんとしては剥離再発のリスクを説明すると悩む方が多いようです。けれど手術しなければ見えないわけですから、多くの方はリスクを承知の上でレーザー処置をうけます。

 万一網膜剥離が再発したらその時はその対応をすればいいのです。あなたは7年前に手術されて今は大丈夫ということですね。僕の経験では剥離の再発は最初の数年が多く、7年も経つとあまり起きないようです。

 一般的には後発白内障は若い人ほど起こりやすいようです。これは水晶体の細胞の増殖が活発だからです。年を取るにつれて起こる率は少なくなります。今不自由なければそのままにしておいて、たまたま後発白内障で、ヤグレーザーを受けたら、その後定期的に眼底検査を受けてチェックしていれば大丈夫と思います。

【 強い光の下でないと疲れる】
 去年網膜裂孔が見つかってレーザーで治療を受けました。その後、飛蚊症がひどくなったことと、強い蛍光灯の下でないと目が痛くて疲れるという状態です。床や空中に虹のようなものが見えたりします。どういうわけでしょうか。
 これは私のところでもよくきかれるのですが、レーザーをやったために飛蚊症が強くなるということはありません。

 飛蚊症とは目の中の硝子体が濁ってきて外から光が当たると影ができてちらちらするようになることをいうのです。硝子体が老化によって網膜から剥がれるときに。網膜を引張り、網膜に裂孔を生じ、この裂孔が原因で網膜剥離になることがあります。

 網膜剥離を防ぐためにレーザーでやくのですが、飛蚊症はそれと関係なく残ります。飛蚊症というのはほとんどの老人にあります。こういう僕にもあります。ただタイミングでレーザiを焼く時にちょうど硝子体が濁ってくるのと同時期になったといえます。したがってレーザーをかけたからといって飛蚊症がよくなるというわけではありません。

 次に暗いという点ですが、白内障があると、目の中に入る光の量が減るために暗く感じますので、白内障のためかもしれません。それから網膜は硝子体によって引っぱられると光を感じたり色を感じたりしますので、虹のようなものが見えるのかもしれません。

 これも飛蚊症と同じような原因でおこります。髪の毛があるとか、雲が飛んでいるなどという人もいます。丸い輪っかが見えるという人もいます。この輪っかは視神経部分の硝子体が丸くくっついるので、それが抜けたときに浮いてみえるのです。

 これはもう老化現象で、70歳過ぎのほとんどの人にあらわれます。しかし、硝子体がもっと縮んでくるとピントがずれて飛蚊症を自覚しなくなります。濁りはまたひとりでに吸収されることもあり、また一つは憤れということによって気にならなくなることもあります。だから飛蚊症が最初に出てきたときは驚いてそのことを口にしますが、だんだん言わなくなるし、気にしなくなるのです。今がピ−クでしょう。

【目を酷使したが?】
 今60歳ですけど、40代の後半からテレビを猛烈に見るようになりました。その影響はあるのでしょうか。
 関係ないと思われます。目というのは本当に疲れない臓器なんです。

 ふつう一日中走っているとかなり疲れますよね。しかし目は起きたときから一日中使っていても痛まない。基本的に目の病気について言えば、目を使っても使わなくても起きるものは起きてしまいます。安静にして毎日寝ていても病気になりますし、毎日使っていても病気にならない人はならないのてす。

 ただ白内障などは、強い太陽光線などを長時間浴びるとなりやすいとされていますので避けたほうがいいでしょう。しかし室内で普通に目を使っている分には大丈夫です。疲れというのは一つのアラームサインですから、目を使って目が疲れたと感じたら休むということは大切です。また体全体の疲労も関係ありますから、体の疲れを取ることも大事てす。

【老眼鏡について】
 老眼鏡を作ったのですが、かけなくても見えるのです。掛かり付けの先生は老眼鏡をかけないと三倍疲れるといわれましたが。
 本当です。目が一番疲れるのは近くを見る時です。この時使うのが目の毛様体筋ですが、長い間近くを見続けていると、この筋肉が疲労してきます。老眼鏡の凸レンズは、この筋肉をあまり使わないで済むためにあります。

 全力疾走では疲れるが、車に乗ると楽ですよね。それと同じことなのです。正視の方でも40歳になると老眼が起きてきます。それを我慢していると、眼精疲労を起こします。つまり近くを見るときに疲れるのが老眼の始まりてす。疲れを感じるようなら眼鏡をかけて毛様体筋の緊張を和らげてやりましょう。

【 暗いと見えにくいのは?】
 暗いところで見えにくいのはどういうことでしょうか。
 目のピントが合わないと見にくくなり、暗いところではピントが合わせ難いので見にくくなります。また暗いところで見えない場合、自内障の疑いがあります。とにかく目が楽に見えるように眼鏡はかけたほうがいいでしょう。

 また目が疲れたときは蒸しタオルで蒸すといいですよ。蒸すことによって血管が拡張して血の循環が良くなりますから。目の回りを押すだけでも血の循環を促します。この場合眼球自体は決して押してはいけません。

【 コンタクトの長年使用は?】
 私は18年前に剥離になり右はバックリングの手術、左は穴があるということでレーザー光線で治療しました。今まで別に異常はなかったのですが、実は手術の翌年フランスにいて、友達の手が目に当たって、激しい飛蚊症になり、翌日は黒い点がひろがってきたので驚いてフランスのお医者さんにレーザー治療をしてもらいました。早い対応で剥離にはならなかったようです。

 昨年またフランスに半年行くことになり、向こうで体調を崩しました。すると右目の耳側に黒い点々がいっぱい出てきました。これはそのお医者さんによると前からあったもので、体調が悪くなってはっきりでできたのだと言われました。私はもともと高度近視で、0.04くらいなので、コンタクトを使用しています。18歳のときから50歳の今に至るまでずっと続けています。コンタクトを長く続けるのは角膜に悪いということですが、近視が強いので、コンタクトが一番都合がいいのですが、このままでいいでしょうか。

 まずフランスのレーザーは優秀ですよ。だからフランスでそうなられたのは幸運だったと思います。ヨーロッパは網膜剥離の先進国ですから。網膜剥離の手術を初めて手がけた人もヨーロッパ人ですし。

 コンタクトと眼鏡の一番の違いは、眼鏡が目から離れている分だけ物の大きさが変わってしまうことです。近視が強くなればなるほど小さく見えてしまう。コンタクトは目に直接くっついているので像の大きさがあまり変わらないのです。近視の強い人にとっては眼鏡では限界があるのです。

 ところで角膜と水晶体との間には水があります。その角膜の一番内側に角膜内皮細胞というのがあって、この水が角膜内に入るのを阻んでいます。この細胞が弱くなると水が角膜内に入りこんで角膜が厚くなってきます。

 コンタクトを長く使っていると確かに角膜が障害されて厚くなるという報告はあります。しかし、良いコンタクトレンズをきちんと検査を受けながら使えば普通の人では致命的なダメージにならないと思います。

 一番のお勧めは2日使い捨てLのコンタクトです。あなたは乱視があるそうですから、乱視の使い捨て一週問タイプというのがありますから、それをお使いになるといいでしょう。使い捨ては確かにコストはかかりますが、目の安全のためには仕方ないと思います。強度近視の方は確かにコンタクトがいいようです。レーザーによる近視の手術もおこなっておりますが、ただ網膜剥離をやった方にはお勧めできません。

【 人工レンズのいらない場合】
 強度近視の場合白内障手術しても人エレンズはいらないのですか。
 それは近視の度の場合によります。

 作家の曾野綾子さんは白内障手術してもレンズは入れなかったと書いておられます。それは相当強い近視、マイナス20Dぐらいのものだったと思います。本来水晶体は強い凸レンズですが、白内障手術によりこの水晶体をとってしまうと強い遠視になってしまいます。ところが強い近視の方はちょうど打ち消しあって、人工レンズを入れなくとも見えるようになります。しかし最近は人工レンズを入れる必要のない人でも目の安定性の問題で度のないレンズを入れたほうがいいという先生もいます。

以上

 ◎坂西眼科医院
  茨城県竜ケ崎市馴馬町2976-1 電話:0297-64-2355
  ホームページ : http://www.sakanishiganka.com/

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  佐貫という駅でおりてタクシーで10分位、または電車を乗り換えて2つ目の
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