鈴木・塚原・山本先生を囲んで

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2002年総会グループディスカッション 司会: 戸倉 英美
「鈴木岳彦、塚原逸郎、山本禎子先生を囲んで」          

【 網膜剥離の2つの手術法】
 手術の方法でバックリング手術とそうでない方法との選択があるようですが、どういった違いがあるのでしょうか。
 バックリング法は従来からの方法で、目の外側からの手術です。目の中は手をつけないで済みますから、目の中側への侵襲は軽度ですみます。冷凍凝固によって、炎症が生じるといった程度で済んでしまいます。そのため、もしうまく行かなくとも、同じ方法でもう1回、2回と試みることもできます。それでうまくいかない場合、最終的に目の中に入って行う硝子体手術があります。バツクリング法での大事なことは、網膜に開いている穴をすべて検出しないと手術は成功しないということです。

 1つでも見逃して放置していると、またそこから網膜剥離を起こしてしまうからです。ですから眼底をしっかり観察することが必要です。
もしくは穴は見えないが、ここにあるはずだと言えるくらいの診察が必要です。

 硝子体手術は目の中側から行う手術ですから、穴が不明であっても、手術中に見つけることができます。また手術中に網膜を完全にくっつけることができます。その方法は目の中に空気を入れて、水と空気を完全に置き換えるというもので、網膜はその場でくっついてしまい、その後レーザー光線で、穴をしっかり凝固することができます。ただ硝子体手術の大きな問題は、再剥離したら、増殖硝子体網膜症といって、網膜剥離のもっとひどい状態になってしまうことです。硝子体手術後の網膜剥離を2週間もそのままにしておくと、その後手術しても回復は6割にとどまってしまい、視力の回復もよくありません。

 ここでどちらがよいかをお答えするのは難しいです。ただ1つ言えるのはバックリング手術は、穴の位置がどこにあろうと問題ありません。硝子体手術では穴が目の下の方にある場合、ガスを長い間入れておかなくてはならないので、手術としてやりにくいのです。

 これまで硝子体手術は最終的な手段と思われていましたが、最近は割と早い段階でも行われています。理由としては手術時間が短いことと、患者の受ける痛みが少なくて済むことがあげられます。どちらを選択するか、私たちでも前日までいろいろ悩みます。私も昨日2つやりましたが、1つはバックリングで、1つは硝子体手術でした。診察の結果をみて最後まで考え、悩みました。安全性の点からいうと、まずバックリングでしょう。

 しかし術後の回復はここ2、3年、硝子体手術のほうがよいといわれています。
【 緑内障の眼圧について】
 長年眼科医に診てもらっていましたが、視野が狭くなっても何の処置もありませんでした。これからどんな治療をすれぱよいでしょうか。
 緑内障と思われますが、治療法は、目薬などを使って、眼圧を下げる方法です。その人によって適切な眼圧は、15であったり10であったりします。比較的視野が残っている段階、つまり初期の状態では眼圧を下げる治療をすると、そのまま視野の状態を安定させることができます。

 ところがさらに悪くなって視野が非常に狭くなっているときは、眼圧をかなり下げても、(これ以上下げられないというのが、10そこそこなんですが)、そこまで下げても、視野狭窄が止まらないというケースがあります。こうなると私たちにも打つ手がなくて、困ってしまいます。あなたの場合、視野狭窄が何時からあったのか、その早い段階に気がつけぱ、打つ手はあったと思いますが。

 視野検査は半年に一度づつしていました。
 網膜剥離の手術後には、視野に変化が起きることがあります。だから気づきにくかったのかもしれません。また眼圧が正常であっても起きる正常眼圧緑内障というケースがあります。ご家族に、緑内障の方がいらっしゃると、早めに緑内障を疑うことができたかもしれませんが。現実には、残念ながら欠けてきた視野を補うことはできません。進行を止める手立ては眼圧を下げることですが、それも10ぐらいが限度です。
 色の区別がつきにくくなってきました。
 物を見る機能はいろいろありますが、色を見分けることがもっとも高度な機能と位置づけされます。最初に気づくのが色が見分けにくくなったということです。
【 白内障について】
 現在68才ですが、45歳で網膜剥離になってバックリング手術を受けました。3年前から明かりが眩しく、新聞が読みづらくなりました。どんな状態なのでしょうか。
 お話からすると白内障ですね。網膜剥離から23年も経ってますから、網膜剥離再発とは考えられません。お年からしても、症状からしても白内障と考えられます。白内障の治療は手術しかありませんが、その場合、綱膜剥離に対応できる施設であればまず問題ありません。

 あなたは現在は白内障で視力が落ちてるようですが、悩んでいないで、ぜひ1度受診されるようお勧めします。白内障には手遅れはないですが、進行すると手術はやりにくくなりますから。きちんと手術すれば、網膜剥離後の矯正視力に戻れます。
【 光視症について】
 子供の時から強度近視だったのですが、15歳のときに、球が目に当たって右目に網膜剥離を起こしました。すぐ手術して、さらに3ヵ月後にもう1度剥離して再手術しました。現在光視症が一旦200回ぐらいあります。寝ていても見え、手術してない左目にも光が現れたり消えたりするので心配です。
 なぜ光がそんな風に見えるかというと、眼球の中の硝子体が変化を起こしているからです。若いときには硝子体が目の中を一杯に満たしていますが、年を取るにつれ、少しずつ縮んできます。そして目の内側の壁と硝子体の間に隙間ができてきます。それも全体が少しずつ同じように縮むのではなくて、ある部分が中央部分にくっついてしまい、目を動かしたときに、目の玉の動きに少し遅れて硝子体が動くということが起きます。

 これは例えば味噌汁の椀をぐるっと回したときに「中の液体はあとから動く」という現象と同じです。するとこのとき、網膜が引っ張られて、光をピカッと感じます。または硝子体の揺れ返しに網膜が当たって光るといったこともあります。網膜というフィルムに、直接引っ張ったり押したりの刺激があると、それが私たちの頭には光として感じるのです。しかし光視症があるからといって、直ちに問題になるわけではありません。

 網膜剥離になるときは、網膜にびりっと裂けるような力が加わって裂け目ができ、剥離が起きるわけですが、網膜剥離の手術では、破けてできた穴を塞ぐことしかしていません。網膜が硝子体につながっている部分はそのままなんです。この網膜を引っ張っている力は残ったままでも大丈夫なので、穴を塞ぐことだけにしているのです。目の中には相変わらず引っ張る力が残っていますから、光を感じても不思議ではないわけです。

 でもそれがいつもとひどく違って感じたら、その時はチェックを受けるといいでしょう。今の時点で網膜に傷とか穴とか出血がなければ、特に処置する必要はありません。
 私の場合、あまりたびたびピカピカするので、どうしても気になります。またバックリングで囲んであるので大丈夫といわれますが、それでも心配です。
 大丈夫という意味は網膜剥離にならないから大丈夫といわれているのでしょう。目の中で硝子体と綱膜がどういう風にくっっいているかによって起こるので、何100回も光るからといっても、それだけで剥離を起こす心配はありません。硝子体手術でもすればなくなるのですが、自然にはなくなりませんが、検査を受けて問題なければあまり気にしないことです。光視症のためだけに硝子体手術をすることはありません。
【 視力について】
 視力検査の結果は1.2ということでしたが、実際生活していると見えにくいことが多く、そんなに視力があるとは思えないのですが。
 物を見るときは、外界のの光が瞳を通って眼底に映り像を結ぶわけですが、途中に邪魔物があると見えにくくなります。例えば、白内障は水晶体のレンズが濁って見えにくいのですが、この濁り方に問題があります。ひと口に濁ったといっても、一面に同じように濁るわけではなく、レンズが斑に濁ることがあります。例としてわかりやすいのは、白内障でこのレンズのまん中だけぼっんと濁るタィプです。レンズの正面とか裏側の中心部だけなのですが、明るいところに行くと瞳は自然と閉じますね。するとレンズの濁りの部分しか開いていないので、すごく見えにくくなります。視力検査の室内ではそんなに瞳を閉じることはないので、濁りの隙間からでも見え、検査の結果はよくなります。

 また逆光や車のヘッドライトを浴びたときなどは、水晶体の濁っているところで光が散乱して、白くぼやける、という風に、その場の状況で見えにくくなることがあります。視力検査の部屋では1.0なんだけど、実はもっと見えにくいという人はいっぱいおられます。

 患者さんの状態ば目を見れぱわかります。施設によってはわざと散乱光を浴びせて視力を計るといった機械もあります。実際の視力もだいたいわかると思います。
【 白内障手術の時期】
 私は家族の皆が強度近視で、9年前に網膜剥離を手術してもらいました。視力は、手術しないほうは1.O、したほうはO.2、コンタクトで矯正してもここまでです。白板にブルーで書いた字などほとんど読めません。白内障ということですが、何時手術したらよいでしよう。
 自分で不自由を感じられたらおやりになるという考え方でよいと思います。視力がたとえ1.0あっても手術することはあります。白内障の一つのタイプに、水晶体が万遍なく一面に変色していくというものがあります。「この年になって何でどんどん近眼が進んでいくのだろう」と不思議がっているとこのタイプの白内障だったということがあるわけです。これは濃い茶色のサングラスをかけて見ているのと同じで、しかもだんだん色が濃くなっていくからで、ご自分では気がつかないのです。

 こういう方が手術なさると、突然透明のレンズに取り替えられるので、白く見えたのが実は青かったんだなどと感歎されます。
【 二重に見える】
 最近網膜剥離の手術をした弟が、術後、ものが二重に見えるというのですが。
 ものが二重に見えるのにはいくつかの理由があります。1つは従来のバックリング手術では、網膜に開いた穴の後ろにシリコンを縫いつけるのですが、何かのはずみで目を動かす筋肉のバランスが崩れて二重に見えるという症状が起こることがあります。手術直後から現れる人もあるし、手術が終わってしばらくして出てくることもあります。

 もう1つは物を見る中心まで剥離が及んでいた場合、手術の際に何かの理由で綱膜の中心にゆがみが生じ、右目と左目の視野がずれてくるケースです。

 筋肉の異常が原因の場合は、両眼で見たときに二重に見える現象がおきます。これは目の筋肉の位置を正す手術をしてあげればよくなります。片方の目を塞いで、片方の目だけでもゆがんで見えるのは眼底の皺(しわ)が原因です。この場合は手術しても元通りにするのは難しいとおもいます。
飛蚊症の原因】
 網膜剥離の手術後、飛蚊症が増えたように思いますが。
 飛蚊症は、目の中に何かの濁りがあり、それが網膜に影を落として起きる現象です。網膜剥離があるときは、その影を綱膜が感じていないからわからない。網膜がくっついて初めて飛蚊症を感じるのです。それで急に増えたような気がするのですが、最初から飛蚊症が存在していて、気がつかなかったというケースがあります。

 もう1つは手術のときに、硝子体に触って変性が進み、それによって起きることがあります。目の中の変化はすべて飛蚊症という形でみえるのです。検査を受けて問題なければそんなに心配する必要はありません。
【後部硝子体剥離】
 一昨年、急に硝子体剥離を起こしました。網膜剥離を心配しなくてもよいでしょうか。
 硝子体剥離を起こしてもう2年も経過していますから、網膜剥離の心配はありません。付随して起こった飛蚊症も、それによって視力が落ちるということはありません。減ることもありませんが、日が経つにつれてだんだん気にならなくなります。
 私も一昨年、手術を受けていない目に後部硝子体剥離が起こりました。黒い輸がたくさんでてきて、光も一杯見えました。網膜剥離をした人は後部硝子体剥離が早く起こるのでしょうか。
 高齢で起こる網膜剥離では後部硝子体剥離が、ほとんど同時に起こっています。若年性剥離の場合、その時はまだ硝子体剥離は起こしていません。後年に起こります。若年性網膜剥離の方は近視が強いので、普通より早く起こります。また手術のときの操作によって後部硝子体剥離を早める可能性もあります。
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