質問に答えて

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2003年東北懇話会より
質問に答えて    

伊野田繁先生(伊野田眼科クリニック)・鈴木幸彦先生(弘前大学講師)

【縁内障が心配】
 昭和59年11月に、右目の裂孔原性網膜剥離を手術、結果失明しました。平成2年、左目の光凝固を受けましたが、その4ヵ月後に網膜剥離が発病、手術して現在治癒しています。7年後の平成9年に眼底出血をおこし、治療、現在眼圧が高くて、視力は0.7です。緑内障が心配で、生活上の注意を知りたいです。
 裂孔原性硝子体出血という病名を皆さんお聞きになったことがありますか。網膜剥離をバックリング手術で行ってその時は、裂孔にかかる硝子体を引っ張る力はとりあえず治ったのに、別のところに同じ力が働いて出血を起こしてしまうことがよくあります。

 治療は止血剤で治まったということですね。それで眼底出血の心配ですが、今後また起きないとはいえません。ただし、網膜剥離のことを大変心配しておられますが、以前と違ってよく治る病気と思って頂いていいと思います。きちんと眼科の先生に診てもらって、何かあやしい点がなければ心配いりません。

 また、幸いといっていいか左目しか見ていないので、何か異常があればすぐ気がつきます。両眼見えている人のほうが異常に気づきにくいのです。私は
5,000程の目を診ていますが、片目の人ほど異常に早く気がつきます。そのうち治るなんて考えないで、眼の異常があればすぐ診てもらうと大事に至らないで済むと思います。

 緑内障は別です。何かの手術を受けた方で眼圧が高くなるということはあります。強膜内陥術でも硝子体手術でもそうです。網膜が痛んだ上に、眼圧が高いということは、著しく悪くする恐れがありますので、適切な治療を受ける必要があります。一つは眼圧を計ること、また眼圧が高くなくとも視野の検査を年一回は受けることが必要です。

 眼圧が20ということで正常値に近いので、薬を使わない先生もおられると思いますが、この方のように何度も手術を受けている方だったら薬を使って早めにコントロールした方がいいと思います。
【二重視について】
 昭和59年から平成2年の間に硝子体混濁が両眼にでて、左目は網膜剥離、両目とも白内障の手術をしました。数年前から物が二重に見えるようになり、医師からサンコバをもらい点眼しています。他に治療法はないのでしょうか。
 硝子体手術のときに完全に硝子体が取り切れていないで、強膜創の近辺の裂孔というのがかなりあるのでしょう。僕の症例でも5,000眼のうち10例くらいあると思います。若い先生の教育例としてやらせる手術で、ある程度手術の合併症ですね。強膜創はある程度上のほうにできるので、ガスを入れても短時間のうつ伏せで治すことができますね。多分そういったことで孔が開いたのではないか
と思います。白内障は大概50歳以上の場合は同時手術をしています。

 さて問題の二重視ですが、両方ともきちんと白内障の手術、網膜剥離の手術が行われていれば、起こらないはずです。考えにくいです。クモ膜下出血の影響か、またどういうときにそう見えるのか、すべてが二重に見えるのか、検査しないとわからないのですが、片目では一つに見えるのですね。

 とにかく15年前の手術ということで、バックリングしてなお硝子体もとってしまったとすると、やはりバックリングがきつくて、その後の眼球運動に制限が来て、疲れたときに二重に見える可能性は否定できないですね。眼球運動がどれだけ可能なのか、眼鏡の調整などでも左右の視力の差がどれくらいあるとか、まず調べてみることですね。もし斜視が原因で固定的なものであれば、手術したほうが
いいし、担当の先生にお願いしてもう少し検査し、斜視の手術についてもお聞きになったらいいと思います。

 視力は0.8あれば手術は可能でしょう。ブリズムレンズなどを眼鏡にいれてみるのも一つの方法かもしれません。
【眼鏡が合わない】
 網膜剥離手術は過去3回受け、白内障手術は片目だけ、合わない眼鏡にどうしたらいいか迷っています。
 もともと左目に強い近視があり、左目を2回手術した、後のは硝子体手術だった、黄斑部に孔が開いていたということで、視力の改善は難しい状態と思われます。

 今眼内レンズが入って強度近視の状態ではなくなっているので、右側の白内障手術をお勧めします。そうすると二重に見えるとか、光が眩しいとかはなくなります。白内障手術によって右眼の網膜剥離が再発する可能性もあります。しかし以前の手術が強膜バックリングで、輪状締結といって鉢巻き状の締結を受けていると、白内障手術がトラブルなくできれば、まず網膜剥離のリスクは殆どありません。そうでないときは、その手術もしたほうがいいと思います。

 先ほども言いましたように網膜剥離の手術は良くなっていますから、不自由を我慢する事はないと思います。剥離になる可能性が50パーセントだとしても網膜剥離の治癒率が98パーセントですから、気軽に考えられたらどうでしょう。

 網膜剥離の手術について強膜内陥術と硝子体手術のどちらがよいかですが、私の場合は100人のうち80人は強膜内陥術で治します。この方法は術者による大きな差はありません。しかし、硝子体手術は、私の場合は初回復位率は98パーセント、ところが別のドクターでは復位率8割となってしまう、術者によってかなり差が出ます。

 強膜内陥術のほうが復位率も99パーセントあり、たいていはこの方法でしますが、どうしても、深い孔だとか、時間のたってしまったものは硝子体手術をやるしかないわけです。しかしとにかく早い時期にやれば治りますから、くよくよせずにやったらどうでしょう。
【黄斑前膜について】
 網膜剥離手術の結果、黄斑に膜が出る人と、出ない人があるのはどうしてですか。
 黄斑の前にできる膜は網膜が伸び切らないうちにくっついてしまったからと言うこともあるかもしれませんが、それだけではなく、硝子体の中に散らばった網膜色素の細胞が、網膜の表面に付着して残り、膜になるので、網膜裂孔か大きいとか、裂孔の数がいくつもあったとか、また必要以上の冷凍凝固を行った場合など、通常より大きい手術を行った場合に出てきやすいと思われます。

 黄斑パッカー(黄斑上膜)を作るもともとの原因は、孔がある事です。網膜の赤道部変性は孔はありません。ただ孔は開きやすいのでやはりリスクはあります。手術が原因でなったとは断定は出来ません。2パーセントくらいの頻度でそういったことが起こります。しかし網膜剥離は基本的に手術をしないと失明する病気です。

 膜も薄い方や厚い場合などさまざまです。黄斑上膜が出来てしまって、物が歪んで見えてしまって、鋸の歯のようにしかみえないなんてとてもお辛いと思います。これには手術で膜をとるのが最良の治療法です。しかしとれば元のようになるかということが、最大の問題です、結論は、とっても元にもどりません。網膜に雛ができてしまっているので、完全に伸ばすことは出来ません。そうならないた
めに安全な手術、侵襲の少ない手術、あるいは薬が使われています。

 網膜に膜が出来るのは、細胞がちらばることのほかに炎症の間題があります。炎症を防ぐためにステロイドが使われています。出来てしまわないために冷凍凝固は避けて光凝固にするか、あるいは冷凍凝固も過度にならないようにする事など、安全をめざしてやっています。

 現実に膜ができてお困りの方には僕は診察して手術してとる、しかし結果を100パーセント望まれるとちょつとつらいので、こういった事情を、こ理解頂きたいと思います。

 視力が0.02まで落ちた方を手術して0.3まで回復したとします。これは良くなったと喜んでもらえると思っていたのが、患者さんの中には1.0でなければ嬉しくないという方もおられます。0.02になったのは、最初にちゃんと治さなかったからとおっしゃる方もいます。勿論手術方法もこの10年間でどんどん改良されています。硝子体手術が普及してきた一つの理由はより良い術後視力をめざしてなのです。しかし未だ発展途上ではあります。0.02が0.3まで上がれば、それで十分と言われる方も多くいらっしゃいますが。

 手術前に診察すれば、術後の視力がどのくらい出るかは申し上げられます。
これは今までの術例をデータベースにまとめているのでお話できるわけです。1.0あった人も手術すればO.98に下がります。殆ど同じと言えば同じですが、0.02は下がるのです。それは合併症のためなのです。

 黄斑前膜もとれば視力は上がるし歪みも減ります。ところが白内障の手術をした方は経験があるかもしれませんが、視力回復して鏡を見たらびっくりするほど老けていたなんて、怒られる、部屋の中のゴミもよく見えてなんて。よく見えるようになると細かいことまで見えてくる、それと同じく黄斑前膜をとるとよく見える、と同時に細かい歪みまで気になってくる、こういう方はたくさんおられます。だから手術を受ける前にいろいろ相談されてはどうかと思います。

 またセカンドオピニオンも大切で、今の先生が2回も3回も手術するのはザラだなどいわれるようなら、別の医師の診断を受けてみたらどうでしょう。セカンドオピニオンは今や医学の常識ですから。

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