《2005》関西懇話会

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2005年関西懇話会質疑応答
大阪医科大学眼科学教室植木 麻理先生にお尋ねする   

【パソコンの疲れ】
 私は片目ですが、パソコンをしていて眼が疲れるのですが、パソコンは良くないのでしょうか。
 網膜剥離の手術した後など、眼を使うのは、それは病気の進行とは全く関係ありません。ただ、見えるところを使って見ようとするので、普通の人よりはやはり疲れやすいのです。疲れたら休んでください。しかし病気の進行や視力の予後には影響はありません。

 ご自分のしたい事はなさってよろしいのです。ただ普通の人より見にくいわけですから、休み休みということが必要です。やりたいことと疲れることの度合いを計りながらなさってください。大事なことは、自分で体調を整えるということがすべての病気の管理に関して有効であるということです。

 何かあったときに修復する機能は自分がするわけで、体が弱っていると防護機能がうまく働かないと言うことが起こってくるでしょう。30分バソコンの画面を見続けたら10分休む、あるいは眼を使わない他のことをするなど工夫してやってみてください。
     
【近視性の黄斑変性で普段の注意は】
 右眼が近視性の黄斑変性で悩んでいるが、どのようにしたらいいでしょうか。
 脈絡膜という血管の膜が薄く悪い新生血管ができやすいと思います。ただ加齢の黄斑変性より予後がいいと言われています。すごく滲出液が増えて中心視力が全く失われてしまうというのは、近視性では少ないのです。ただ新生血管があるので液が出て腫れてくるといったことが起こります。

 その場合、近眼の方のPDTは成績がでていないのですが、どうも脈絡膜が萎縮しやすいので、PDTをするとその部分が加齢黄斑変性に比べ痛みやすい、というので、自然経過を診るということになっています。近眼の方は視野が狭くなるというのは(眼球が長く大きいので近眼なのですが)、端の血管が細くなり栄養不足になって見えなくなるわけですが、極端に進行して全く見えなくなるということにはならないので、できれば飲み薬で網膜の血液循環を良くすることで、機能を残して行くことです。

 それと言うのも正常眼圧緑内障(眼の中の血流が悪いので起こる)の場合、循環を良くする薬で結構視野が保たれているのです。10年でかなり結果が違ってきています。

 加齢黄斑変性の原因がはっきり分からないといわれるのも、なんらかの刺激を受けて、それによって酸化作用が起こってくる、その酸化作用に反応して起こってくるのが新生血管であるということで、有効なものとしては、抗酸化サプリメントですね。例えばオキバイトといったものが出ているのですが、そうしたものを内服することが新生血管が出てこないための予防といわれています。

 免疫機能がうまく働かなくて出てきている黄斑変性に関しては、体の調子を整えていくのが一番良い方法で、バランスよく栄養を取り、良く寝てストレスをため込まないようにして体が錆びていくのを防ぐといったことだと思います。

 眼が見えなくなる前にやりたいことをやると頑張って疲れるのも良くないし、眼が見えなくなってもできることはある、工夫していろいろやっておられる方もいらっしゃる。日常生活はできるのです。見えなくなるのを怖がるのは良くないかもしれません。
     
【剥離は突然にやってくる?】
 剥離は突然におこるのですか?
 突然に来ます。私も実はそうで、もともと近視が強いほうでした。両眼とも中等度近視です。眼科に入局して、自覚症状がなかったんですが、眼底を診る練習を同僚としてました。その時瞳孔を開いて診ていた相手に発見されて、今度は先生に診察してもらったら、円孔があってレーザー治療をしてもらいました。でも中に硝子体の牽引の強いところがあるから、ここにレーザーしたらすぐに進行する可能性が高いから、打たないでおこうといわれた点が両眼2ヶ所ずつあるんです。予防のレーザーも逆に剥離を起こしてしまうこともあるんです。

 レーザーが元で癒着を起こしてしまうのは、硝子体が引っ張る力と競争で、どっちが勝つか、正直結果を見ないと分からない。現在私は網膜剥離を起こさずに済んでいますが、50代60代になって硝子体が液化して、牽引が強くなった時は危険率が高いのですが、今の時点では予防の手立てがない、自分で始終チェックしているだけです。他にも眼科の先生が入局してきて眼底カメラで見て、何か写っているといって、実は網膜剥離で半分まで剥がれてきていて、気づかない、自覚症状がないんですね。この場合進行が緩やかなので夏休みになつて手術してもらったということがありました。

 網膜剥離は20歳前後と、50歳前後に多いのです。若い人の場合、硝子体の引っ張る力が強いというよりも、網膜自体に弱いところがあるので、円孔を形成しても、進行は緩やかといわれています。5、60代になると硝子体が液化して液体とゼリー状のものとに分離してくるのです。

 眼科のある先生で、手術を続けて50代になられた、ある朝、白内障の患者の手術していて「あれ、黒い点が見える」と・・・そのうち二人三人と手術を続けていて、「あれ、だんだん下から影があがってきた」昼から網膜剥離患者の手術をしようとしたら「片方が見えない」とここで急遽、患者になって診てもらったら、網膜剥離ということで、その日最後に手術をうけるほうになったという話があります。それほど剥離は急激に進むのです。眼科医にも平等に剥離はやってくるようです。

     
【中心が見えにくい】
 私はもともと肋膜炎で入院していました。1週間して本を読んでいたら紙面が真っ黒になって眼科に行きましたら、「即手術です」といわれ、飛蚊症もないのに・・・。でも中心まで剥がれてきているというので全身麻酔でやりました。5年前にドックで加齢性の黄斑変性ということで、いいほうの眼に出血の疑いがあるということでしたが、なんとかそのままできています。中心が見にくいので、ちょっと膜をずらすとかうまい方法はないのでしょうか。
 黄斑変性は脈絡膜の病気なんです。網膜じゃないんです。脈絡膜から新生血管が出て滲出液があり、腫れて見えにくくなった、だから網膜が元気なうちに、元気な脈絡膜に網膜を移してやると見えるようになるんですが、あなたは網膜の病気もあるのですから、してもだめなんです。片方だけ見える方で、この病気になると中心内孤視というのがあります。

 人間はちょうど真ん中で物を見ているのですが、ここが病気になるとちょっと外れて物を見るということができるようになってくるのです。ある程度練習すると早くできるのですが、特に練習しなくても自分で経験的に探ってみると「こうやると見える」とだんだん見え方を捜して、歩けなかった方も歩けるようになるんです。

 ところが未だ一方が見えるという方はその必要がないのでできない。まあ片方を眼帯してその方だけ使って練習でもするなら別ですけど、今必要でないから、まだ覚えなくてもいいというところだと思います。方法としてロービジョンケアといって見えにくい方のために、残っている力をなるべく有効に使って訓練し、生活するアドバイスをやっているところがあります。そういうところを利用します。時計を使って何時の方向が見えにくいか、それを解って訓練する、ということもできます。

     
【後部硝子体剥離で】
 自分の事務所で仕事していたら、目の前に黒くチラチラするものがある。翌日から少し増えたような気がし、閃光も見える、近所の医師は飛蚊症というのでひと月ほどして行ったら後部硝子体剥離だといいます。どう違うんですか。
 網膜剥離で自覚症状のある方は30%くらい、70%の人は突如起こる。自覚症状のない人のほうが多い。眼の中というのはカメラと同じで空気の入っている箱の部分に硝子体という透明なゼリー状のものがあります。人間歳を取ると肌から水分が抜けるように、ゼリーが縮んで水の部分が分離していきます。これを液化現象と呼んでいます。すると眼の中の箱いっぱいになっていたゼリーの嵩が減って、揺らすと中でぐるぐる揺れるようになる。

 硝子体は硝子体基底部といって黒目の付近にくっついているのが、そこを引っ張って動くのです。ピッビッと神経を引っ張る形になるので閃光がひらめくように感じられるのです。これを光視症とよんでいます。普通、こうして硝子体が縮んでいくと癒着の強いのが硝子体基底部と黄斑部と視神経のところなのですが、そこからボコンと外れてしまうのです。それが後部硝子体剥離です。これは加齢に拠る自然の変化です。これはほうっておいてもよろしいのです。

 ただ眼の中のゼリーがすごく揺れているので、眼の環境としては変わってくるので、それが起こって3ヶ月くらいは硝子体の牽引の強い時期になりますから、その間は比較的注意が必要で、何か変わったことがあったら眼科に行ったほうがいいと思います。3ヶ月たつと眼は安定してきて、殆ど何も起こさなくなります。
     
【飛蚊症】
 飛蚊症とは?
 硝子体の視神経にくっついているところがちょっと普通より濃いのです。それがボコンと前にとびたすと、これが影になって写るんです。それが飛蚊症で、これは動き回りますし、ゼリーにくっついて、動き回りいろいろな形に見えます。こうなると心配はいりませんし、平等に両眼に老化はやってきますから、まず片目に起こり、半年、1年後には、片方にも起こる事が多いのです。

 最初は網膜に近いところなのでくっきりしていますが、だんだん前にいくと影がぼやけてきます。特に中心に影が落としにくくなると自分でも気がつかなくなります。シミですから取れないんですと患者さんによくいうんです。美白効果のあるクリームが眼の中に使えるといいんですがね。(笑い)
     
【視力について】
 視力って何でしょうか。
 視力というのは2つの点を2つの点として認識できる最小のものと定義されています。360度あるものの1度が離れていると認識できたら1.0と一応決められています。近くの視力と遠くの視力は一致しているはずです。あなたは新聞のルビが見えるというのですから、0.5以上ありますから、遠くも眼鏡さえ調整すれば見えるはずです。それが大切です。

 人間の見る力は視力だけではなく、さっき言った2点を認識するのは視力、見える範囲を視野、あと黄色など色を認識するのがコントラストです。これがうまく混じって人間の見る機能を判定します。原理上、数字に表しやすいのが視力なので、それを中心に話してしまうのですが。昔は視力ばかり基準に判定されたのが、視野や色の事も判断しましょうということで、今度やっと視野も判断基準に入ってきたのです。

 視力が落ちてきた場合、ものをどんどん拡大して見る事ができるのですが、視力はあって視野がせまばってくると、今度は縮小レンズを使って読むと字がたくざん読めるといったことをするのが、ロービジョンの中にあるのです。ライトハウスでは毎週水曜日に、こうした相談にのるようにしているようです。ここでは便利な器械やグッズがおいてあるので、「私はこういうことがしたいが、眼が見えなくて」と言うといろいろアドバイスをしてくれると思います。
     
【網膜剥離の白内障への影響は】
 私は両眼とも網膜剥離で、片方は手術で、片方はレーザーを何百発とやって貰い、今は何とか免許もとれていますが、もし白内障になったら何か影響が出ますか。
 網膜剥離の手術はバックリングでやられているので、ほとんど影響はありません。白内障の手術では濁った水晶体をはずすのが、これがかなりボリュームのあるものなのです。かわりに人工のレンズを入れると、眼の中の容量が少なくなって、硝子体が上のほうに少し移動するということがあります。前に移動した場合、後部硝子体剥離が関係していて、硝子体を引っ張る機能が無くなっていたとしたらあまり心配はありません。

 ただ後部硝子体剥離が起こっていなくて、ひっばる力が残っているときには、わずかな硝子体の前方移動が網膜剥離を誘発する可能性はゼロではありません。昔水晶体を丸ごととってしまう手術だった場合は、前方移動が多かったので網膜剥離の発生が白内障手術後結構ありました。

 今は水晶体の入っている袋を残して眼内レンズを入れるので、硝子体の前方移動を防ぎますので、あまり心配はいりません。もし硝子体の手術後白内障が出てきたら、硝子体は水になっているので、前に落ちてきたりするので、こういう方は硝子体手術のできる病院でなさったほうが安全です。

 でもバックリング手術なら硝子体はそのままあるので、心配はいらないと思います。あなたは後部硝子体剥離をしているので、あまり硝子体も動かないから心配ありません。もう10年もたっているのですから、普通に白内障の手術してもらっても大丈夫でしょう。

 白内障手術は今、日帰りで行われていますが、もし糖尿病、高血圧など全身的な合併症ある場合は、ストレスや血糖の変動など心配がありますから1泊したほうが安全でしょう。それに日帰りしても翌日から2・3日毎日通院しなくてはならないので入院したほうが楽かも知れません。でも家族に面倒を見なくてはならない人がいたら日帰りしなければならないでしょうし。ケースバイケースですね。
     
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