《2005》総会グループディスカッション

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2005年総会グループディスカッション
防衛医科大学校眼科学教室 石田 政弘先生   

【若年の強度近視の心配】
 家族の一人が強度近視ですが、網膜剥離についてお尋ねします。
 今ご心配になっているご家族は、20代後半の強度近視の女性で、もうすでに網膜に裂孔があるといわれているのですね。裂孔か円孔かという問題もあるのですが、円孔なのですね。

 若年性の網膜剥離の場合、網膜に萎縮性の穴、円孔が開いて起こる場合が多いと思われます。そして剥離の進行はごくゆっくりです。裂孔は普通は中高年の方に起きるもので、網膜と硝子体の関係で、硝子体が網膜を引っ張るのですが、そのとき網膜と硝子体に異常癒着があると、裂け目を作って、馬の蹄のような形に裂けるのを馬蹄形裂孔とよんでいます。これが中高年に多く、開くと硝子体の変化が
強いので、網膜剥離も急速に進みます。

 ご相談者は20代、強度近視とのことですが、網膜に円孔は開いているけれども網膜剥離はないという状態と思えます。20代の後半でピークも過ぎていて若年性の網膜剥離も起きていないとすると、円孔からの網膜剥離は起きにくくなっていると思われます。ご心配になっている、近視が進むということはちょっと止めようがないですから、その時々で眼鏡やコンタクトが合わなくなったら度数を替えていく、強くしていくしか方法はないと思います。

 ただ、近視が強くなることイコール病気というわけではないのですから、替えた時点で視力が出ればいいわけです。それを一つやっていきます。心配なのは後部硝子体剥離が起きたときには、網膜剥離になる可能性があるわけで、それに対する予防措置はございません。レーザー光凝固で、異常な所は全部囲んで予防措置とするお考えの先生方もいらっしゃるのですが、周辺部に弱い層があっても、百人が百人必ず網膜裂孔が開いて、しかも全部が網膜剥離になるというわけではないのです。

 強度近視で網膜周辺に変性巣があったとしても網膜に裂孔が生じない、またちょっとした裂け目があっても網膜剥離に至らずに収まってしまう方というのもかなり多いのです。裂孔原性網膜剥離に行く確率は非常に低いのです。ですから見つけたら必ず光凝固で危険な箇所を囲んでしまうのはちょっとやりすぎだと思われます。

 光凝固をやったことで逆に眼の中の環境が変わることから、硝子体を引っ張る力が強まって、違うところに穴を開けてしまう、といったことがないわけではないのです。とりあえずそのままでいいでしょう。普通、近視の強くない方は後部硝子体剥離は、6・70代におきることが多いのです。しかし強度近視の場合では40代から起きてきますので、あと10年ほどしてその方に後部硝子体剥離が起きたときが一つの分かれ目となるでしょう。

 網膜に穴が開いてしまうか、開いたとしても止まっていれば、そこで光凝固をすればいい、症状のある裂孔には光凝固していますから。飛蚊症が急に増えたとか、何もしていないのに光の走るのが増えたとかの症状が急激に増えたりした時はすぐ眼科に行って、眼底検査をしてもらうのが大事になってきます。

 万が一網膜剥離になった場合は手術で治すしかありません。今では9割から9割5分までの方が1回の手術で復位することができます。そして黄斑のところにまで進む前に手術ができれば視力も良く保たれます。早く見つけて早く手術することですね。光が走るのは光視症といって、度々走る、目を開いていても走る、瞬きしても走るなど、人によってさまざまですが、こうした変化があったらすぐ眼科医で眼底検査を受けてください。

 視野が欠けてきた時はもっと緊急を要しますね。日曜祭日などでも緊急に受け付けるところを探して行ってください。もちろんすぐ手術できるとは限りませんが、安静にしてベッドにいて手術できる先生を待つことです。動き回るのは避けてください。

 近視が、半年に1度も進んだということですが、眼鏡販売店でなく、眼科医に正確に計ってもらってください。多分30代になればそろそろ止まると思います。もう一つ女性の強度近視では黄斑円孔網膜剥離という特殊な網膜剥離が心配です。でも現在視力があれば、黄斑に円孔はないと思えるのでびくびくすることはありません。

 40代・50代の黄斑円孔網膜剥離は1回の手術で8割ぐらいの復位率です。でもこの病気は非常に少ないし、たとえなっても手術ができれば、周辺視野が残るので、全く失明してしまうことにはなりません。強度近視はなにかにつけてご心配でしょうが、よく気をつけて何かあったら早めに対応していけば、視力を失うようなことにはならないと思います。
   
【眼底出血と黄斑変性】
   50代前半に光の見える光視症になり、裂孔が見つかって光凝固をしてもらいました。その後10年ほど前から、健康診断で緑内障が見つかりました。右は下半分が見えず、視力検査でも一番上しか見えません。眼鏡をかけて0.1、左は眼鏡をかけて0.7弱あります。3月にちょっと眼底出血して、アドナという薬を貰い、5月には出血は止まりました。左は左の外側が見えず、右は右の外側が見えないのですが、まあ何となく助け合ってみえている状況です。
   
   現在眼圧が15以下ということですし、3ヶ月ごとの視野検査もそれ以上悪くなっていないようですから、いま処方されている目薬をしっかり使って、現在の状態を保っていくことがとても大事なことだと思います。

 緑内障で大事なのは視野検査です。視野が欠けてくるのが緑内障の悪いところですが、視野が欠けなければいいのです。欠けた部分を復活するのは現在の医学では無理なので、この目薬をしっかり使ってコントロールして行くことですね。一つ大事なことは光視症があって、検査したら裂孔が見つかって光凝固して網膜剥離にならなかった、つまりこの見つかったときが大事なのです。症状があって弁状裂孔が見つかったときは光凝固してもらっていいのです。

 次に黄斑変性があるということですが、この黄斑変性は現在増えている病気のひとつです。まあ、一時出血があって、薬でそれが引いて視力を保っているということは非常に良好だと言えます。

 この黄斑変性は大きく分けて2種類、一つは加齢黄斑変性と強度近視による黄斑変性があります。黄斑変性とは網膜の後ろの脈絡膜、ここは血管が集中しているところですが、ここから新生血管が生えてくる病気で、これが網膜で一番大事な黄斑に出てくる、黄斑の真下とか周囲にです。その血管は破れやすく、何かの拍子に破れて出血したのが眼底出血で、これが物を見る中心にかかれば邪魔になって見にくくなるわけです。強度近視による黄斑変性の場合は、この時の血の塊が小さいという特徴があります。出血したとしても引いてくれるか、塊が中央にかからなければ視力は保たれます。

 今の貴方の場合、加齢の結果もあるでしょうが、強度近視による黄斑変性の特徴があると思えます。今後再出血がなければ大丈夫、押さえられていくと思われます。

 アドナというのは出血を押さえる止血剤てす。強度近視の場合は比較的出血が少なく済む場合が多いので、よかったのではないかと思います。できることは眼圧をしっかりコントロールしていくことで、ミケランというその目薬を続けていくことですね。網膜剥離に関しては急に光視症が出たりすれば、急いで診てもらう必要がありますが、多分落ち着いていると思いますよ。
   
【ルテインについて】
   ルテインを補うのにはどうすればよいですか。
   
   黄斑変性の予防に関しては食事のほかにルテインを補うのがよく、オキュバイトというサブリメントがあります。これはアメリ力で科学的実験データが出て効果が証明されています。サプリメントなので処方箋がなくて、求められるので、薬局に行って求めてください。他にもあるでしょうが、価格も適正だと思われます。

 ただ、喫煙者は肺癌などのリスクが高まるというので、それの成分を押さえた種類のものも発売されているようなので、薬局で尋ねて下さい。
   
【強度近視と緑内障】
   先生のお話で、強度近視が緑内障に関係していると聞いて驚いていますが。
   
   緑内障は、視神経乳頭の形の変化でまず発見されます。視神経乳頭は赤くてオレンジ色に近い、だ円形のもので、真ん中が少し凹んでいるのが普通ですが、この凹みがだんだん大きくなることがある、昔は眼圧が高くなってその圧力で視神経がいたんで起きるといわれましたが、凹みが大きくなり、それが網膜の端まで来てそこの網膜がいたんで、視野が欠けてくるのが緑内障という病気なのです。

 強度近視の方の場合、この凹みが大きく、一見緑内障に見える形の方が多いのです。この場合、それがそのまま緑内障になるかどうかはわからないのです。そこで視野検査をやって緑内障に特徴的な視野の変化がある場合は、もう緑内障が発症しているということで、目薬をつけてもらって眼圧を押さえていくということが必要です。
   
【緑内障と眼圧】
   その場合眼圧が上がっているのですね。
   
   それが問題なのです。正常な眼圧は、10から20が正常といわれています。あくまで統計的なもので、人によっても違い、23でも平気な人はいます。視神経乳頭もきれいで、視野も欠けていない、それで23あっても全く問題ないわけです。でも正常といわれる18でも視神経乳頭の形が緑内障の形になっていて、視野を計ると欠けている、明らかに緑内障になっているという人もいます。

 眼圧20以下で明らかに緑内障の症状が出ている人は、正常眼圧緑内障という病名がつきます。この形は日本人に非常に多いのです。近視の人も日本人は多いので、どうやら関係があるのではないかと思われますが、まだはっきりしません。また遺伝ということもいわれています。

 とにかく正常眼圧緑内障は日本人に多い。今までは眼圧だけ診て貴方は大丈夫と言っていたらしいのですが、今は必ず眼底を診ます。視神経乳頭を診て、その形で判断できます。ところが近視の方は視神経乳頭に同じように出るものですから視野検査での判断も必要となり両方大事です。
   
【眼圧のコントロール】
   近視ということはいろいろ心配なことがありますね。
   
   そうです。そして眼圧が高くなくとも、少しでも下げるために眼圧を下げる薬でコントロールしていく必要があります。この点眼薬には眼の中の循環が良くなる作用があって、その効果の出方が人によって異なります。自分にあったものを選んでもらうことも大切です。眼圧が現在より1度さがっただけでも効果があるし、眼の中の循環が良くなるので、さらなる悪化が防げます。
   
【麻酔について】
   13年ぐらい前、20代後半なのですが、増殖性網膜剥離ということで診てもらった病院では「初めてでここまで悪くした患者はいない」などと言われて4時間もかかって手術を受けました。途中で麻酔も切れてきてひどく痛かったのですが、麻酔が途中で切れるなんてことがあるのですか。
   
   麻酔は痛いんですよね。下瞼のところから針を入れて眼の後ろに麻酔薬を注射する、一本は少し離したところにもう一本です。顔面神経をブロックするのと、球後麻酔といって眼の後ろの神経をブロックするの二通りですね。今は顔面をブロックするのはあまりやっていません。貴方の場合、明らかに増殖性硝子体網膜症ですから、そんなときは手術の時間は4時間、5時間かかることは多いわけで、今でもそれぐらいかかる場合があります。薬の種類によってもちがいますが、麻酔の保つ時間は5時間が限界です。そういう場合は途中で球後麻酔を追加します。

 私がかかわった手術で一番長かったのは11時間です。局所麻酔です。途中で2回ほど追加しました。もう15年ぐらい前の患者さんですが、いまだに私の外来にみえています。

 貴方のケースですが、担当の先生が気がつかなかっただけで、剥離はじわじわ進行していたのでしょう。26歳だったのですね。若年性の場合は進行が遅いので、気がつかないことがよくあるのです。長い間網膜剥離をそのままにしておくと、網膜の下に増殖を作ってしまうなどの大変重篤な症状になってしまって、治そうとすると今でも手術に4・5時間はかかってしまいます。現在でもそうですから、以前だったらなおのことです。
   
   
    【目の疲れ】
 年をとってテレビを長く見るのは眼に悪いでしょうか。
 眼を使って疲れたため、例えば網膜剥離になるとか、白内障になるとかということはないと思っていいでしょう。ただ疲れることはありましょう。肩こりとか、眼精疲労とかいいますね。だからそこまで見なければいいのです。今あなたに出来る範囲で、本を読む、テレビを見るなんてことは一向に構いません。どんどんやっていいでしょう。ただ疲れたら眼を休めればいいのです。何時間もじっと見続けないで、1時間の間に2・3度、画面から眼を離して休めるといったことを忘れないようにね。
【白内障手術の時期】
 私は片目で、残った眼に白内障がでて、手術が怖いんですが。
 大事な眼ですからね。白内障は手遅れということはないのです。網膜剥離とか黄斑変性は治療を早くしないといけない。早く始めればそれだけ結果がいいのですが、白内障は別で、いつやってもいい。だからどこまで自分が我慢できるかで決まります。大事な自分の眼ですから、例えば新聞が読みにくいとか、日常の生活がしにくくなったら手術すればいいと思います。現在視力は0.7なのですね。新聞を読むには0.5あればいいと言われていますからね。

 それまではいいでしょう。網膜剥離があるので慎重になるのでしょうが、いくら慎重にしても起きてしまうことはある、そのときは剥離の手術を受けるつもりでやるという選択は十分あります。
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