《2006》東北懇話会

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《2006》東北懇話会より
「質疑応答」
  
回答 伊野田クリニック 野田 繁先生 
【目が霞む】
 現在58歳の女性、強度近視です。20歳代のときに両眼とも光凝固をして現在に至っています。視力も水晶体もきれいだといわれていますが、今は 目が霞みます。これから網膜剥離のピークとされる60歳代を迎えので気をつけることを教えてくさい。
 ピークは確かにそうです。近視の強い方は早くから硝子が剥がれてきますので網膜剥離は、もっと早い時期に起こることも考えられます。

 レーザーをされて予防措置を受けられていると思わます。年に一回、レーザーを受たところ、あるいは、網膜剥離を専門にされているところで、定期的に検診を受けていればあまり心配をすることはないと思います。

 霞むということで不安があると思いますが、霞む理由はさまざまあります。近視であっても、老眼にはなりますから、例えば眼鏡があっていない場合、遠くが見えるような眼鏡をかけていて、その眼鏡で近くを見れば霞むこともあるし、多少の白内障があると手術するレベルではないが、逆光を浴びると (車のヘッドライト等)非常に眩しいとか、天気のいい日はかえってあたりが見ずらいとか、といったことがあります。霞むといっても一つの理由だけではないので、担当の先生に診てもらって、その診察の結果によると思います。

 実は強度近視の方は、網膜の中心部が痛みやすいのです。網脈絡膜変性といいますが、60代70代になっても近視は進むので、中心の黄斑部が薄くなって、網脈絡膜萎縮になりやすく、そこに新生血管がおきてきて、出血を起こすというよくない状態になりやすいので、十分チエックを受けることです。

     
【網膜剥離再発の危険】
 1993年、網膜剥離の手術を受けその後は安定しています。白内障の手術が必要になった場合、今76歳の私は網膜剥離再発の危険はありますか。
 大変ご心配のようですが、白内障の手術そのものは大変安定して、多くの方が安全に受けられています。10年前に比べてもレベルは上がっています。現在は安定しているので、そう深刻に考えなくともいいでしょう。

 手術を受ける先生に、以前網膜剥離をしたとおっしゃって、それを大事に受け止めて下さるようだったら心配ないと思います。
     
【正常眼圧緑内障】
 私は昭和59年、網膜剥離で手術しましたが、右眼失明、白内障手術を左眼にうけました。現在緑内障で点眼観察中、眼圧は16から17ぐらいです。正常眼圧緑内障が多いということで気がかりです。対処法をおききします。
 眼圧は網膜剥離の硝子体手術後は非常に上がりやすいので定期的に調べる必要があります。心配される正常眼圧緑内障は隠れて症状が出にくく、末期にならないとわからないこともあります。眼科で視野検査を受けるしかありません。

 初期の症状はといいますか、とにかく視野が少しずつ欠けてくる。上側が暗いなどと訴える方もありますが、自分で気がつくことは希で、自覚症状が出たら進行していることが多い。

 ですから緑内障が心配だったら視野検査を受けることです。視野検査は大学病院でなくとも普通の開業の先生のところで受けられます。年に一度ぐらいで結構です。

 ただ網膜剥離の手術を受けられた患者さんは、その場所の感度が下がってしまうことがあります。ですから眼底を診て網膜剥離の手術の有無がわかる先生のところで、視野検査もうけられたらいいと思います。

     
【白内障手術後の眼鏡】
 去年4月に両眼白内障の手術をしました。「白内障の手術後はよく見えるので眼鏡が要らなくなった」とよく聞きます。私の場合、眼鏡を掛けないと見えないのですが、どうしてでしょう。
 白内障というのは眼の中の水晶体が濁る病気です。水晶体を取って人エレンズを入れるのが白内障手術の大体の方法です。

 このレンズには度数があって、遠くの見えるレンズを入れると遠くがよく見えるはずなのです。眼鏡を掛けなくても見えるということは、そういうことです。しかし近くが見えたほうがいという人には近くにピントを合わせたレンズを入れて、近くがよく見える状態にします。本や新聞は読まない、遠くがはっきり見えたほうがいいという人には、そのようなレンズを入れます。

 私の経験では都内で手術していたときは近くが見えるほうがいいという人が殆どで、私もそう思っていました。ところが私が伊豆のほうに出張したとき、そのつもりで手術すると、手術してもぜんぜん見えないと文句が来ました。海の向こうの島の様子がよく見えていたのに、手術しても見えないじゃないかというのです。患者さんは眼鏡なしで見えるのを期待されるので、遠くを望むのか、近くを望むのかによって、入れるレンズの度数を変える必要があるのです。あなたの場合、先生がどの基準で度数を選ばれたかですね。

 もう一つは手術によって乱視が出てきます。乱視が出ないように気をつけていてもです。そして乱視は眼内レンズでの補正ができません。乱視を補正するためには眼鏡を掛けて下さいといわれます。

 眼内レンズを入れたからといって、それが要望通りであっても老眼は直りません。20歳代のころに戻るわけではありません。眼内レンズを遠くに合わせた方は近くを見るためには眼鏡が必要です。近くを望んだ方は遠くを見るには眼鏡が必要です。

 どっちにしろ眼鏡はどうしても必要なのです。だからあなたの手術は失敗だったと考えないほうがいいのです。お見受けしたところ眼鏡はそんなに分厚いものでもなさそうですし。

 近視の強い方の場合、眼鏡なしでは不安だという方は多い。少し近くにピントが合うようにした場合の方が日常生活は楽だと思うので、私は患者さんと相談してきめます。

     
【眼内レンズの入れ替え】
 眼内レンズの入れ替えはできないのですか。
 入れ替えはできます。しかし改めて手術をすることになり、リスクが出てきます。できたら入れ替えはやらないことをおすすめします。眼鏡の補正でなんとかなるのならそれをおすすめします。

 また老眼にも適応したレンズもアメリカやドイツには既にできているようですが、日本ではまだちょっという状態です。

     
【眼内レンズも濁る】
 この眼内レンズが濁るということはありませんか。
 あります。それは後発白内障という病気です。

 白内障手術では(水晶体が)入った袋だけは残すのです。薄饅頭の中身は食べて薄い皮だけ残すようなもので、この薄皮のころに眼内レンズを入れるので。

 薄い皮は透明なのですが、そ透明な部分が濁るということがおきるのです。水晶体上皮細胞が、袋の中に残っていてそれが増殖し濁る原因となるのです。

 その時はしかし、簡単に外来で濁りを取ることができます。ヤグレーザーというので簡単に濁りを取ることができます。だから眼内レンズは全く濁らないかというとそうではないのです。

     
【網膜剥離再発の心配】
 網膜剥離の再発はありますか。
 再発はないという保証はありません。しかし私の経験では2,000例程普通の網膜剥離手術をやった中では、ある程度の年月がたってからの再発は殆ど無いのです。

 家族性滲出性硝子体網膜症の方は別ですが、この場合特別の手術方法を取っていますから、やはり再発は少ないです。あんまり心配なさらないほうがいいのです。

     
【激しい運動と再剥離】
 網膜剥離の手術を受けた21歳の者ですが、ボクシングのような激しい運動をしてもいいでしょうか。
 避けていただきたいのは眼球に直接打撃となるようなことです。頭を激しくぶつけることもです。これはリスクが高い。ボクシングは殴り合いですから、目が殴られないで済むとは思われずやめていただきたい。

 それ以外の重労働など、例えば土木作業とか、重いものを持ち上げる事等も構いません。以前は重いものを持ち上げると再剥離するなどといわれていたのですけれど、そんなことでは再剥離はしません。

     
【剥離手術後の悩み】
 去年10月に網膜剥離の手術を2回、初回はバックリングで、2回目は硝子体手術でした。あとの手術の時は水晶体を取って人エレンズを入れました。現在物が二重に見え、歪んでみえます。視力も0.4か5しかありません。
 最初のバックリング手術で筋肉を障害させてしまったのでしょう。そういう時、物が二重に見えるのは実はよくあることです。

 しかし殆どは3ヶ月以内に治ります。希にずれているのが続く場合があります。その時は、ずれを治す手術を行います。1年近く続くようなら担当の先生にお聞きになったらどうでしょうか。

 歪んで見えるというのはあなたを診て見ないとわからないのですが、一番多いのは網膜に皺ができているためです。網膜剥離の手術後、網膜を復位させたが、その上に黄斑上膜等の膜ができてくる場合があります。つまり網膜はスクリーンみたいなものですから、膜の所為で 皺がよって、歪んだり、波打って見えるのです。これは再度の手術で治すことができます。

 私の最近の経験ですが、某大学病院で網膜剥離の硝子体手術して0,1しか視力が出ないという40歳代の女性が来ました。手術で黄斑上膜を取り除き、視力は0.6か7まで回復しました。ですから担当の先生によく原因を聞いてみましょう。

 次に視力の回復が0.4しか出ないということですが、これは矯正して、眼鏡のレンズを入れてどの程度かを計っていますから、眼鏡店さんで解決する問題ではありません。

 黄斑部が剥がれてからの網膜剥離の手術では、網膜の大事な部分が一度ダメージを受けているのですから、視力の回復は大体0.4位が平均です。もちろん若い元気な人の場合は、剥がれた方でも1.0近くいく方もいます。

 しかし年とった方の場合は0.4まで行かない方もいます。あくまでも平均です。手術する前の視力が0.1以下だったのに、術後の視力が0.4から上が出ているのでしたら、手術はそれなりに成功しているのではないかと思います。

 現在一番辛いのは二重に見えることでしょう。時期的に自然に治る限界が過ぎているようですから、担当の先生にお聞きになってください。片方の眼が寄ってくるということですが、斜視の手術という方法があります。

 見えにくいのは眼内レンズの所為と思っているようですが、眼内レンズはちゃんと入っていれば、斜視の原因にはなりません。網膜剥離になる方は両眼近視の方が多いのです。

 私の場合、剥離の手術と同時に眼内レンズを入れるときには、度数を選ぶ場合、もう片方の目(近視)に合わせて入れてしまうと、いずれはそのほうも眼内レンズを入れることになるわけですから、現在は片方より少し弱い度数のレンズを選んでいれて、しばらくは眼鏡で左右の視力のずれを矯正するようにしています。そこのところをよく先生と話し合われたらどうでしょうか。

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