東北懇話会質疑応答

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【第8回】東北懇話会より
「質疑応答」
   
回答:伊野田眼科クリニック 伊野田繁先生、清水由花先生 

 平成19年9月30日に開かれた東北懇話会では講演は行わず、初の試みとして、最初から最後まで質応答の会にしました。

緑内障の心配
  2年前から網膜剥離、続いて増殖硝子体網膜症になり、手術時にオイルを入れ1年9ヶ月ぶりにオイルを抜きましたが、眼圧が高めに推移してミケランLAとキサラタンを点眼しています。これから先、緑内障になっていく確率は高いのでしょうか。
  (清水先生)眼内にシリコンオイルが長期間入っていたということですが、オイルは網膜剥離を治すため入れるのですが、長期間、網膜を眼内から押さえておきたいときに(オイルを)使います。長い間入っていたオイルは、乳化といって油の細かい粒に変化しています。 これを抜くときは取り残しの無いよう注意するのですが、細かくなったオイルは、どうしても眼内のいろいろなところに残ってしまいます 。これがために眼圧があがってしまうことがあります。

 現在点眼されている薬は、緑内障の薬で眼圧が上がらないように処方された薬です。そして視野検査や眼圧の測定を続けていって、眼圧が安定しているかどうかを調べます。眼圧のコントロールが効かないようなら、点眼薬をもう1種か2種増やすとか、飲み薬で補うこともあり ます。ただ、飲み薬は副作用もありますので、コントロールのつかないときは、緑内症の濾過手術をすることになると思います。
【緑内障の決定は】
 オイルを抜いて1ヶ月目に眼圧が44になっていて、その時は点滴で下げてもらいましたが、緑内障になる確率は高いのでしょうか。
 現在眼圧が上がっているので病名としては緑内障となりますが、視野がまだ傷んでいないようなので、そうとも言えません。視野が傷んできたら緑内障とはっきり言える状態だということです。
【正常眼圧緑内障について】
 正常眼圧緑内障というのはどんな病気でしょうか。私も眼圧が16で薬をもらっていますが。
 緑内障は日本人に多い病気といわれています。昔は眼圧が21までは正常なので、それ以上高い場合を緑内障といっていました。正常眼圧緑内障は眼圧が正常範囲にもかかわらず、緑内障のような症状を示す病気です。緑内障は視野が欠けてきて初めてそういう診断を下すのですが、進行すると視野がどんどん欠けていって遂には見えなくなるという病気です。

 それは目の神経が痩せていくためで、眼底を見ると一本の太い視神経が脳のほうに出ていますが、出口のところは丸い月のような形をしていて、真ん中に窪みがあります。視神経乳頭陥没といいまして、真ん中が凹んでいます。窪みは正常な場合で40%ぐらいなのですが、神経が痩せてくると窪みが広がってきます。

 人間ドックなどの眼底写真で発見されることが多く、自覚症状での発見は少ないようです。心配なときは定期的に検診を受けてください。最近は製薬会社でも自己チェックシートなどを作って出しているようで。40歳以上の日本人の約20数%に見られるということですから 、その年齢になったら検査を受けてみてください。
【バックリング手術後の悩み】
 シリコンで穴を塞ぐ手術をしてから、飛蚊症が多くなり、痛くなったり、涙が多かったりします。この不調の改善はどうしたらいいでしょう。
 この方はバックリング手術即ち、眼球の外側に固いシリコンを縫いつけて穴をふさぐ手術をされたのですね。私の経験でも、この手術後痛いという方、何も言われない方など様々です。しかし異物が縫いつけられているので、季節の変わり目に痛んだり、また触ったとき気になるという方もおられるようです。

 手術後、時間が経つにつれ症状も取れてきます。あまり症状がひどいときはステロイドの目薬など使うこともあります。しかし時間が経つ と気にならなくなると思います。
 (伊野田先生)飛蚊症ですが、よく見える目になったので見えるのです。治ったからですね。眼底に問題がない場合は飛蚊症は気にしないことです。治らなければ飛蚊症も見えませんから。

 穴が開いているのも、場所やタイプによってレーザーするかしないか判断が分かれま す。亡くなった人の目を解剖してみますと、網膜に穴が開いていても剥離になっていないというデータがあります。

 穴が開いていても網膜剥離になる可能性は10人に1人ぐらい、穴があるから必ず網膜剥離になるわけではありません。発病するのは10%くらいです。

 現実に生きている人の網膜に穴があったとき、手術したほうがいいかどうかという判断は、確率は10%だから手術は不要とはいえません。より確実な方法を選ぶことになります。

 例えば、若い30歳前ぐらい迄の人の下方にある円孔などは、様子を見ていてもいいかもしれません。 しかし50代を越している人の、上方の裂隙型裂孔の場合はレーザー手術したほうがいいということになります。しかしタイプはこれ以外にさまざまです。孔の数、位置とか、硝子体の様子だとか、身体全体の健康状態などによって左右されます。
【再発について】
 バックリング手術の後に再発はあるのでしょうか。
 (伊野田先生)必ず再発しないとはいえませんが、今までの経験では基本的にはバックリング手術してから1年以上たっているわけで 、眼底に何も問題が起きていなければ大丈夫と言えます。僕の経験や故清水昊幸先生のなさった手術の後の経過でも、スポンジやバックリン グ材料を外した後に再発したという記憶はありません。危ないということ、取れないということはありますが、大丈夫と判断したもので再発はなかったと思います。

 実をいうと、今行われているスポンジ、シリコンのタイヤ、ロッドと呼ばれているもう少し硬いものを使う外側からのバックリング手術は、1960年代のスケペンスという偉大な網膜剥離の医者が始めたことに因っています。

 それに対し、リンコフという先生たちは、縫いつける必要があるのかということで、風船の様なものを目の外側において、裂孔を冷凍凝固 して、ある程度くっついたら外してしまう、テンポラリイなバックリング手術を提唱したりしました。それでもよく治ったので、バックリ ングが永続的になくてはならないということはありません。だからバックリングをそのままにしておく不快感、合併症などの弊害を考える とドイツでは、今またリンコフに似た方法をやる人も出てきているということです。
【瞼が下がる】
 私の場合はバックリングした後、目が痛く目脂が出てたまりませんでした。それでバックリングを外して入れ直したりしました。何回か手術して、もともと細い目が細くなり視力検査で0.4だったのですが、目尻を無理にあげると0.9まで見えるので、瞼をあげる手術をしようかと思いますが。どうでしょう。
 (伊野田先生)視力が瞼が下がった状態で0.4しか出なくて、瞼をあげれば0.9迄見えるのであれば、手術されたほうがいいでしょう。瞼が瞳孔にかかるようであればですね。かからないのなら手術の適応はないでしょう。外側に縫いつけるシリコンのバックルは異物なので、そこから感染すると痛みや目脂の原因になります。

 頻度としては1%くらいの割合でしょう。この場合一番良いのは異物、すなわちシリコンを抜くことです。勿論必要があって入れている物ですから、術後半年、1年の間は辛くても我慢していただくことになるかもしれません。1年経てば抜くことになるでしょう。瞼はそこまで下がってしまうことはまずないと思います。多少下がる方は多いのですが、あなたの場合は希な例でしょうね。
【網膜脈絡膜変性について】
 網膜脈絡膜変性の治療法と予防法を教えてください。
   (伊野田先生)強度近視で黄斑円孔網膜剥離になる方は圧倒的に女性が多く、男性は稀です。発症にはなんらかのホルモンが関与しているかもしれませんが、原因は分かっていません。強度近視で、近視が強くなると、眼球の真後ろの部分が飛び出たような形になります。眼球の前後の距離が長く伸びます。正常の値は24ミリぐらいなのですが、それが30とか、32ミリくらいまでになる場合があります。30ミリとしても普通より6ミリ長いわけです。

 これくらい伸びると網膜は追いつかない、脈絡膜も無理に伸ばされてしまう、ちょうど風船をいっぱいに膨らましたような状態で、血管も伸ばされているためで循環も悪くなり、組織が萎縮するのであろうといわれています。膜がいっぱいに伸びている状態なので、治療は現段階ではできないのです。

 こうした症状のために視力も落ちてきますが、対処はできません。網膜が剥がれていなくて解剖学的に正常なら、今のところ手術の適応はないし治療は行われません。なぜならそれによって視力が落ちるといっても、0.1以上の視力は保たれているからです。今現在機械を使った視力でも0.1はとても得られないからです。将来できてくるかもわかりませんが、今はまだわかりません。予防というのも特別ありません。

 多くの先生は遺伝的な要因が大きいと考えていて、環境的な因子は関係ないのではないかと思います。

 眼球が前方向に伸びるので、内側の網膜も一緒に伸びていかなくてはならないが、10層から成り立っている網膜は一緒に伸びていくことができなくて、剥がれてしまう網膜分離という状態になりますが、硝子体はなかなか網膜から剥がれなくて却って悪さの元になってしまうことが解ってきました。残った硝子体とか、網膜の伸展の悪さが原因で、黄斑円孔の状態を招くことになります。こういうことには手術の適応があります。視力の低下があるので自覚もされます。

 黄斑円孔という黄斑に孔のあく病気は圧倒的に女性が多く、手術以外の治療はありません。手術で孔が塞がると0.1の視力は戻ります。普通よく見えている方にとっては0.1の視力じゃ嬉しくないと思われるかもしれないが、0.1でも治しておく理由は、反対の目がいつまで視力が保てるかということによるのです。

 反対の目が視力がよければそれで生活は保てます。ところが強度近視の方の場合、頼りにした目がいつ具合が悪くなるか解りません。その時0.1の視力が反対の目にあれば、ずいぶん違います。買い物や料理はできます。新聞は読めない、車の運転は無理ですが、日常の生活は殆ど人に頼らずできます。だから0.1じゃ仕方ないと思わずに治せるチャンスがあったら治療しておくべきだと思います。
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