北海道懇話会 質疑応答

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《2008》北海道懇話会
「質疑応答」
   
回答:大塚眼科病院副院長 松下卓郎先生 
【必要なのは勇気】
  網膜剥離の手術で片目を失明しました。最近残った眼に緑内障と白内障が出てきて手術を勧められています。視力は矯正で0.5です。大いに迷っています。
  たった一つの残った眼はトラの子の一個です。気持ちはよくわかりますが、踏ん切りがつきませんよね。ところがこの残った方が悪くなると生活に大いに影響してくるのが困ります。

 矯正視力の0.5はあまりよく見えるとはいえないので、それが白内障によるものだとすると、相当の確率で視力が良くなります。というのは、白内障の手術がうまくいかない場合というのは、一万分の一くらいなのです。だから手術に踏ん切れないのは可能性よりも勇気の問題なのです。

 納得いくように担当の先生と話し合ったらどうでしょう。ただ緑内障もあるということで、それがどの程度関わっているのかということですが、白内障の影響が大きいのなら手術することに大きな期待が持たれますので、勇気をもって臨まれたらどうでしょう。
【硝子体手術を勧められて】
 8月に網膜剥離の手術を受けたのですが、その時、針が硝子体を傷つけて出血してしまいました。そのあと3週間経ちましたが、飛蚊症もひどく、出血が引かなければ硝子体手術が必要といわれています。このままだとリスクはありますか。
 私はかなり網膜剥離の手術をしています。5,000まではいかないと思いますが、4,000から5,000の間だと思います。そして硝子体出血を起こすことが残念ながら稀にあります。というのはバックリングといいまして、目の外側に物を縫い付けるのですが、その壁はペラペラに薄い、人によっては本当に薄くてよほどしっかり縫い付けないといけない。しかし針を深くしっかり刺すと、中を傷つけ出血することがあります。稀ですが。

 こうなると眼底が見えなくなるので、網膜剥離が完全に治っているかどうかの確認ができなくなります。手術後、網膜剥離が完全に治っているかが確認できれば、この出血はさほど重要ではありません。しかし出血は患者にとっては不愉快ですし、再発するのではないかとの不安をあおったりもします。それで硝子体手術が勧められます。二度の手術は嫌なものです。

 この手術は眼の中に道具を入れて硝子体とそれに付着しているものを丁寧に細かく切って外に吸い出してしまい、後にきれいな水を置き換えるという方法です。この場合硝子体の濁りを取るだけの割と単純な手術ですので、比較的容易です。多分1時間もかからず終わるでしょう。そのとき網膜剥離の再発の恐れが多少ありますが、最初からの網膜剥離手術よりはずっと安全です。ゆったり構えて今のままでは気分が悪いと思われたら手術を受けられたらどうでしょう。
【加齢黄斑変性の薬】
 加齢黄斑変性の治療についてお尋ねします。
 薬による治療では、日本ではアバスチンが使われています。海外ではすでに認可された薬剤がいろいろあります。最近ではマクジェンが日本でも紹介されていますが、他にもいろいろあります。

 アバスチンは大塚製薬で作られていますが、まだ保険適用になっていないので、当院では病院で購入して患者さんからは頂かないということにしています。

 マクジェンは最近薬価が決められたのですが、一本12万円で、しかしこれではとても患者さんには言えません。なかなか辛いものがあります。まあ昔と違って日本にも早目に新薬が導入されるのは良いことなのですが。しかるべき病院に相談していただければ早めに治療は受けられます。
【話題の新型万能細胞(IPS細胞)】
 新型万能細胞が話題になっていますがどんなものでしょう。
 確かにマスコミでもてはやされ、新聞見出しには大いに期待が膨らみます。私も期待は膨らんでいるのですが、ただそう簡単にはいかないことはわかっていただけると思います。この魔法の細胞が進化して目になるかもしれない、悪い神経をその細胞に置き換えるなんてという風になるといいのですが。とりあえず、細胞から網膜分化ができるのではといわれていますが、実用化のメドはたっていません。

 もう一つは人工網膜といいまして、入ってきた光をカメラのようなもので受けて、脳細胞に識別化して与えるという考え方もあります。どちらの方向も日本はかなり進んでいます。もっと人材と資金がたくさん与えられれば急速に進むことでしょう。
【網膜剥離になり易い行動】
 網膜剥離になり易い悪い行動は何でしょうか。
 私は、現在ではなり易い行動あるいは、悪い行動はないと思っています。何でも自由にやって結構だと思います。そのことで剥離になるリスクはないと考えています。かつては術後重いものを持つななんて言われましたが、やはり根拠はありません。
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