東北懇話会 質疑応答

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《2009》東北懇話会
「質疑応答」
   
回答:山田眼科院長 山田孝彦先生 
司会  先ず、山田先生から「網膜剥離について」のお話がございます。
     
山田先生  眼に入った光は硝子体を通過して網膜に入ります。網膜自体は厚さ0.2o程度の薄膜ですが、10層からなる大変複雑な構造です。

 大別して最上層に神経細胞群が、中間に視細胞群が、最下層に色素上皮細胞が存在します。光は透明な上側9層をまず通過して、黒くて光に不透明な色素上皮細胞まで到達します。ここまでを網膜と呼びますが、更に下には網膜に酸素と栄養を供給する源である脈絡膜があり、更に下の強膜へと続きます。

 色素上皮細胞には脈絡膜から網膜へ供給される栄養物質の内、有害なものは通過させないバリアー機能があります。視細胞の外節にはロドプシンと呼ばれる物質があって、光を吸収して、電気的信号に変換する役割があります。得られた電気信号は入射した光とは逆方向に進んで、上層の神経細胞に伝わり、視神経を経て最終的には、脳にまで伝達されて視覚を認識することになります。

 ところで色素上皮細胞には消化酵素(ライソゾーム)があって、上層の視細胞外節を常時貧食消化しており、約10日間で視細胞外節をすべて消化するほどの能力があります。従って正常に機能していれば、視細胞は常に再生され新鮮な状態に維持されています。ところがそうでなければ、この色素上皮細胞と視細胞との境界は弱められ、結果的に網膜剥離をこの場所で発生させる素因となります。

 網膜剥離の直接原因の一つにボクシングなど眼の強打による外傷から発生する場合がありますが、軽傷であっても後年になってから発症する場合もあり、油断できません。また他の合併症に由来するものとして腎不全、妊娠中毒、高血圧、糖尿病があります。アトピー性皮膚炎の患者が眼を強くこすって発症する場合もあります。

 また網膜剥離と関連した病気として、加齢黄斑変性があります。これは色素上皮細胞下部に老廃物が蓄積されることが原因となります。欧米人には多いのですが、日本人の発症は比較的に少ないといわれていましたが、近年ふえているようです。また生まれつき髪の白い「白子症」と呼ばれる病気があります。

 この場合色素上皮細胞も色素不足で、光を網膜で十分捕捉できず結果的に視力低下をもたらします。網膜は大変複雑なシステムであり、まだまだ未解明な部分も多く残されています。
     
司会  それでは、質疑応答に移ります。
     
【高血圧の薬と眼圧の関係】
  私は7月24日に網膜剥離の手術を受け、8月4日に再度手術を受けガスも入れました。そして眼内に現在もガスが入った状態です。20日に外来診察を受けた所、眼圧は40ohgだと告げられました。

 そこで眼圧を下げる点滴治療と緑内障予防用の薬も服用しております。私は高血圧ですので、そのための薬も服用しています。高血圧の薬は眼圧と関係するのでしょうか。また眼圧を下げるための新たな手術を追加すべきでしょうか。

  高血圧の薬とは関係ないと思います。現在眼内にガスが入っているために眼圧が高くなっていると思われます。ガスは網膜剥離抑制用ですが、他方では緑内障を合併する危険があります。しかしガスを注入してからまだ充分時間経過していないこと、そして現在緑内障予防用の薬と眼圧を下げるための点滴で対処されているとの事ですから、しばらくはまず網膜剥離の治療状況や視力回復のようすをみることにして、新たな手術をすることは控えたほうが良いように思われます。
【シリコンオイルの劣化】
 私は20年前に網膜剥離の手術をして、15年程前にシリコンオイルを注入して現在に至っています。現在眼圧は正常ですが、視力が0.4〜0.5位と良くありません。シリコンオイルが劣化したため視力が落ちているのでしょうか。そしてオイル交換すれば視力は良くなるのでしょうか。
 オイルの劣化には個人差があります。オイルが濁っていなければ、オイル交換しても多分視力は向上しないでしょう。なお、オイル交換のための手術時間は50分程度ですが、二泊三日程度入院することが必要です。
【眼が痛い】
 私は8年前に右眼を、レーザー光凝固による網膜剥離の手術を受けました。しかし3ヶ月前から右眼が痛いのです。主治医に相談したら炎症を起こしているとの事で薬を頂きましたが良くなりません。どう対処すべきでしょうか。なお私は瞳孔を広げるための散瞳剤を使用すると、眼が真っ赤になりますので眼底検査はできない事情があります。そしてどこで炎症が生じているのかは主治医から聞いておりません。
 炎症の場所が不明ですと私にも判りません。散瞳剤が使用できないということから、或いは結膜炎とアレルギーが関連しているのかも知れません。
【レーザー光凝固について】
 私は3年前に網膜剥離でバックリング手術をしました。今年8月にはレーザー光凝固手術をしました。レーザー光凝固は剥離予防に有効な手段なのでしょうか。そしてレーザー光凝固はこれからも何度もしなければならないのでしょうか。また私は家でもパソコンで仕事をしていますが、眼が痛くなったり頭痛がします。何とかならないでしょうか。
 有効な手段です。経験的にレーザー光凝固は3回位でおしまいになると思います。新しい網膜裂孔が発生したらレーザーの追加が必要になりますが、剥離予防ですから、正常な部分まではレーザー光凝固しないからです。

 ただレーザー光で網膜が固着されるまでには1週間位を要しますので、その間に剥離が進行発生すれば防止はできません。バックリング手術されたのですから、眼球移動などで引っ張られて、多少の痛みはでるかも知れません。休養や痛み止め薬で対処されたら如何でしょうか。但し注意すべきは原因が眼ではなく、脳に由来する可能性もありますから、そちらの診察による確認も必要になるでしょう。
【出血の原因】
 5年前に両親の介護をしている際に網膜剥離を発症しました。しかし重要な病気と認識せず、介護終了後病院で検査をして頂いたら即手術となり、1ヵ月入院しました。退院1週間後には0.01oの孔が発見されて、ガス注入の治療を受けました。空を見るとストローの切り口のようなものが見えていましたが、約1週間でなくなりました。所が先月の診察で裂孔が発見され、さらにその周辺に出血が認められ、来月には光凝固治療を予定しています。出血の原因は何でしょうか。また去年位までは咳をすると眼にギザギザ光が見えましたが、これは何でしょうか。
 網膜裂孔ができる時に血管が破れて出血したと考えられます。ギザギザ光が無くなったのは網膜が安定してきたからでしょう。
【ステロイドと網膜剥離の関係】
 2005年12月にチャーグ・ストラウス症候群を発症して、ステロイドを2年間服用してきました。昨年5月軽い網膜剥離があるとの事でレーザー光凝固手術を受けました。ステロイドと網膜剥離発症とは関係あるでしょうか。
 関係ないと思います。ステロイドの副作用には個人差もあり、白内障や緑内障とは関係するといわれています。
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