《2010 関西懇話会》

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《2010関西懇話会》
「グループディスカッション」
   回答:大阪医科大学 池田恒彦先生 
【外傷でものが見づらい】
 左眼をテニスボールが直撃して網膜剥離になり、レーザーをして硝子体手術を2回(2年前)しました。そのとき増殖性硝子体網膜症と言われ、左眼に水晶体が入っていない状態です。現在安定していますが、歪みがあり見づらい(視力0.4)です。右眼に裂孔が見つかり飛蚊症があります。
 網膜剥離は、黄斑部という物を見る中心部分まで剥がれてしまうと、その後手術でくっ付くいても、どうしても歪みが残ることがあります。

 何で歪むかというと、網膜に皺が残る場合と、皺が無くても網膜に光を感じる細胞があって、その配列が乱れるわけですね。それで歪んで見えるという状態が残ってしまうことがあります。
 
 網膜の前に皺を作る膜が張っている場合なら、その膜を取る手術をやることもあるのですが、落ち着いているということであれば、多分膜は無いのだと思います。剥がれてくっ付いたとき に網膜の細胞自体が傷んでしまったのではないかと思われます。

 これは治療の限界なんですね。特に増殖硝子体網膜症は、網膜剥離の中でも重症であるため、黄斑部が傷んで歪みが残ったのだと思います。時間が経てばゆっくりと良くなって来ることはありますが、2年経って残っていると難しいかもしれません。

 飛蚊症は、硝子体が年齢の変化で収縮して濁りが出てくるものです。混濁は手術で取ることは出来るのですが、飛蚊症を取るだけの手術は普通はやりません。飛蚊症によって濁りが強くなって、視力が落ちるようなことが起きたらやる場合もあるかもしれません。1.0くらいの視力があったらやりません。
【免許の視力は】
 網膜剥離を3年前にやり、現在、白内障手術をしようと思っています。見ようとする所が砂を撒いたように見え、「つ」の字のようなものが見えます。白内障の手術を受けた後に網膜の病気が見つかったら、何か影響があるのでしょうか。
 眼の中に見える変なものは、眼を動かしたときに、動くか動かないかがポイントで、動くときは硝子体の濁り、動かないときは網膜の問題です。

 白内障の濁りがいびつに出てくることがあり、白内障かもしれません。白内障の手術後、網膜の病気が見つかっても影響ありません。

 普通免許は両眼で0.7以上、片眼どちらかが0.7あれば大丈夫です。大型・第二種は両眼の視力が要求されます。
【シリコンオイルが出ている】
 13年前にバックリング手術を2回して、その後硝子体手術を5回しました。シリコンオイルが入っていて、0.05しか見えません。オイルが前に出てきてしまうのですが、また手術しなければいけないのでしょうか。
 かなり難しい網膜剥離です。シリコンオイルを使うこと自体難しい網膜剥離で、普通はガスを入れます。

 なぜシリコンオイルを使うかというと、網膜が非常に弱っていて、網膜自体に接着力が無いのです。気体は2週間でなくなってしまい、その間にまた網膜が浮いてきてしまいます。シリコンオイルはずっと押さえてくれるので、このような場合に使います。

 ただシリコンの乳化現象だと思うのですが、泡のように白い濁りが出てきます。シリコンオイルは大体半年くらいで、抜けるなら抜いたほうが良いということになっているのですが、抜くと剥がれる危険性が高いときは入れておくことがあります。

 入れておくと乳化する他に、シリコンは水より軽いので、上を向いて寝ていると前に来ることがあり、角膜という黒目の表面の膜の内側に接することがあります。すると、角膜の透明性を維持している内皮細胞が、傷んで減勺てくるという弊害が起きてきます。

 出来たら抜きたいのですが、抜くと、網膜自体に接着力が無いために、シリコンの界面張力で何とかくっ付いている網膜がまた浮いてしまいます。そういう事をくり返すと網膜が剥がれてしまい、最終的に眼球癆といって、眼球が萎縮してしまいます。

 シリコンオイルは気体(ガス)より押さえる力は弱いです。むしろ、界面張力によって押さえています。現在はそのままにしておくしかないですね。

 網膜剥離の手術も3回くらいまでで完治させないと、それ以上になってくると厳しいです。回数が増えるとだんだん眼が弱っていきます。
【サプリメントについて】
 コラーゲンのサプリメントは眼に良いのでしょうか。
 エビデンス(根拠・証拠)は全くありません。
コラーゲンにも色々なタイプがありまして、コラーゲンが無くなるわけではなく、コラーゲンの構造が加齢により崩れてくるために、さまざまな症状が起こります。サプリメントでコラーゲンを摂取しても、それが起こらないことはあり得ません。あまリサプリメントに頼らないほうが良いでしょう。
【再生医療の将来】
 30年前に網膜剥離の手術をしました。中心部分まで剥がれたようで、治っているようですが字が読めません。周辺はわかるのですが、中心のところは0.05くらいです。そういう状態で30年きていますが、少しでも良くならないでしょうか。
 網膜は中枢神経で脳の一部です。
網膜自体は.再生することはなく、傷んだ網膜は戻らないというのが、一般的見解です。最近の再生医療の研究で、傷んだ網膜を再生させる治療が進歩していくと思われますが、まだ10年くらいは難しいと予測されます。

 それよりも早く出来るのが人工網膜ですね。
網膜が傷んでいるなら人工的に網膜を作って、それを脳に刺激を与えるものにする治療が、大阪大学で国家プロジェクトとして行われています。それは失明された方のための治療で、まだ手を振っているのが見えるとか、指の数がやっと見える程度ですが、これから進歩していけば、将来は可能性があります。治療法としては、再生医療と人工網膜の二本柱です。
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