〈2010〉東北懇話会

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〈2010〉東北懇話会
「質疑応答」
   回答:
山田孝彦眼科病院院長 山田孝彦先生
【飛蚊症、レーザー光凝固、アイバンク】
 8月に飛蚊症が出てきました。孔が開いているといわれ、光凝固を2回受けましたが、眼の中のゴミのようなものは取れません。どうしてでしょうか。またこのような眼で、アイバンク登録はできるでしょうか。
 レーザー光凝固手術の目的は、網膜の剥がれた部分が広がらないようにすることで、飛蚊症を直すには役に立ちません。飛蚊症は後遺症ではなく、網膜に孔が開いた時に発生したものです。眼の中のゴミのようで邪魔にはなりますが、これがもとで見えなくなることはありません。孔が開いて剥がれた網膜を放置すれば、失明しますから、レーザー光凝固はそれを防ぐための治療です。

 飛蚊症は、眼の中で自然に吸収されますが、多少は残ります。飛蚊症が落ち着くには、半年から1年はかかります。その間、他の場所に孔が開くこともありますので、定期検診をして下さい。突然飛蚊症が増えたり、良い眼にも飛蚊症が現れたりしたら、直ぐ医師に相談してください。

 網膜剥離をされた眼でも角膜に異常が無ければ、アイバンクに登録することは可能です。ただ感染症等の病気で、出来ないこともあります。わからないことがあれば、主治医の先生に相談してください。
【視野検査装置の信頼性】
 以前網膜剥離の手術をしました。現在は眼圧が高いので、眼圧を下げる点眼薬を使用しています。年に1回眼科で視野検査をしていますが、測定中に光ったのかどうか判然としないし、レスポンスも遅く、装置の信頼性に疑問を持っています。
 視野検査には、現在殆ど「ハンフリー(Humphrey)」の自動視野計が使用されていますが、これはなかなか「優れもの」です。測定中エラーが出ると、器械が自動的に2回、3回と測定を繰り返し、正確な数値を出してくれます。

 何回も受診していれば、検査技師も、医師も、患者の状況を把握していて、正確な判断ができるはずです。測定結果については、まず信頼できるものと考えて下さい。(尚、こちらを参照して下さい)
【緑内障、光視症、複視】
 父・叔父・叔母が緑内障なので、私も緑内障を恐れていましたが、2年前に網膜剥離になりました。レーザーをして、半年後同じところが剥がれ、またレーザーをしました。運動すると眼に光が飛ぶことがあり、再発が心配です。眼圧は今のところ正常です。
 緑内障が心配でしたら視野検査をしてもらって下さい。原発性緑内障のかなりの部分は遺伝性なので、親族に緑内障の方がいるときは、眼圧が低くても、視野を測っておいた方が良いです。

 光が飛ぶのは、硝子体が網膜にくっ付いていて、硝子体が動く時に網膜を引っ張るからです。光が飛んでいるところには、ストレスがかかっており、強く引っ張ると、網膜に孔が開くことがあります。

 ジョギング程度の運動なら問題ありませんが、サッカーボール、バレーボール、野球のボール等が頭や目にぶつかると、網膜が剥がれることがあります。水泳は構いませんが、飛び込みはだめです。網膜剥離をされた方は、定期的に検診を受けることが大事です。

 交通事故にあって、斜視になモノが二重に見えるため、プリズムの入った眼鏡を使用しています。これを手術で治療できるでしょうか。視力が下がり、眼が疲れます。
 外傷による複視の手術は難しく、手術をしてかえって悪くなることもあります。疲れるかもしれませんが、プリズムでひとつに見えるのであれば、それが一番良い方法だと思います。
【QOL(生活の質)の向上】
 5年前に左目が網膜剥離になりました。手術してから生活の質の低下が著しく、忙しくすると眼が痛くなり、また頭痛もあり、午後3時から4時位になるともう眼は閉じざるを得ないという状況です。

 網膜剥離の患者さんは、皆さん私と同様なのでしょうか。矯正視力は右1.5、左0.02です。剥離後は、シリコンオイルを1年半入れておりました。なお担当医師に相談すると、もともと重症だったのだから、今の状況はやむを得ないといわれています。また白内障の手術も受けました。

 眼の痛みや頭痛があるため、緑内障の疑いも考えられますが、眼圧は正常、視野については左目で線がまっすぐに見えません。まぶたも垂れ下がっていますし、逆さ睫毛もあります。

 視力の回復が十分でないのは、多分黄斑部に剥離があったためと思われます。黄斑部が剥がれてしまうと、手術をしても視力は0.1程度しか出ないことが普通です。ただ黄斑部まで剥がれても早く手術が出来れば、視力が1.0になる人もいて、ケースバイケースです。

 シリコンオイルを入れたというのは、網膜剥離が相当重症だったということです。このような場合、網膜は復位しても、網膜の感度が上がらないと、緑内障と似たような視野の欠け方をすることがあります。剥がれた網膜に雛がより、歪みが残ってしまうこともあります。矯正視力は右1.5、左0.02とのことですが、左右の視力が極端に違う場合には、眼鏡よりもコンタクトレンズが良いかもしれません。かえってショボショボしてしまうかもしれませんが。

 辛いとは思いますが、神経質にならずに、現在の状態を受け入れて、QOL(生活の質)を上げる生活を心掛けて下さい。眼のことを気にしだすと、脳にも色々な症状が起きます。目の悩みにはストップをかけて、ポジティブなことを考えて下さい。瞼が垂れていても瞳孔が隠れなければ大丈夫です。逆さ睫毛は角膜を傷つけるので、眼科で抜いて下さい。まずは正常な右目を大切にして下さい。
【加齢黄斑変性】
 強度近視で両眼網膜剥離をやり、片眼は見えません。見える方も加齢黄斑変性で、眼鏡をかけても視力は0.01くらいです。治療による改善の見込みはないでしょうか。姉が眼圧が高いのですが、遺伝の可能性はありますか。
 加齢黄斑変性については、病気のメカニズムが解っています。網膜の下に新生血管が発生し、これが悪さをしますので、私達は東北大で、この黄斑部の病巣を取る手術を、日本で最初に行いました。

 ところが、これを取ってもあまり視力は上がらないことが解りました。今は、弱いレーザー光線をかけて、新生血管を焼いてしまうPDT(光線力学療法)という治療が行われています。さらに血管新生を阻害する「抗VEGF抗体」を眼球に注射する方法が一番新しい治療です。ただし何例か経験があるのですが、網膜剥離と合併した黄斑変性は大変手強いです。

 一般に、抗VEGF抗体を注射するのは、視力0.1から0.2の人で、それを0.3にしようというのが、この治療です。0.01まで下がってしまうと、この注射をしても症状があまり改善されない可能性がありますので、一度専門の眼科医か、今の主治医の先生にご相談されると良いでしょう。

 眼圧が高かったようですが、その影響もあり、網膜剥離の影響が悪さをしている可能性もあります。さらに強度近視の場合、レーザーはかえって悪化させる場合があります。強度近視も剥離も緑内障も合併している黄斑変性には、レーザーはやらない方が良いと思います。片眼が見えていれば抗VEGF抗体も出来るのですが、直接眼球に注射するのは危険性もありま
すので、片眼が見えないのなら、止めておいたほうが良いでしょう。

 緑内障は遺伝の可能性は有りますが、今は良い薬が色々出ています。(尚、加齢黄斑変性については、こちらを参照して下さい)
【シリコンオイルの影響】
 網膜剥離手術後シリコンオイルを注入し、1年8ヶ月後に抜きました。オイルを入れたままですと、どんな悪影響がありますか。また緑内障発症と関係しますか。
 シリコンオイルは使い始めてから約20年の実績があります。パーフルオロカーボンと違い、シリコンオイルにはそんなに害はありません。悪さをするのは、乳化して白くなったオイルです。若い人で、オイルを入れたら、2〜3ヶ月で真っ白になる人もいます。

 そういう場合は早めに抜いたり、新しいのに入れ替えたりします。手術後網膜を支えるためにオイルを入れますが、必要が無くなったら抜くようにしています。オイルを入れたことによって、緑内障になり易くなることもありません。心配は無用です。
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