2011年関西懇話会

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〈2011年関西懇話会〉
「質疑応答」
   
回答:大阪回生病院 佐藤文平先生
 現在47歳です。9年前に網膜剥離になって、近くの眼科医で、レーザーをしました。その後2〜3日して見えなくなって、他の病院を紹介され、そこでバックリング手術をしました。2〜3週間入院して、退院した次の日に剥離して、今度は硝子体手術をしました。そして、ガスを抜いた次の日に剥離して、シリコンを入れました。

 シリコンを入れて2年位経っていたのですが、「網膜剥離友の会」で池田先生を知り、受診したら、「シリコンは乳化しているので、抜いたほうがいい」と言われて、抜いていただきました。

 その時に白内障の手術もしました。視力は0.2位で、視野が狭いです。シリコンを抜いて6年経ちます。最近弟が網膜剥離になって、レーザー治療をしてもだめで、硝子体手術をしました。遺伝はあるのでしょうか。

  ご苦労されましたね。遺伝も時にはありますが、近視そのものが遺伝ですので、近視を介して網膜剥離も遺伝するということはあります。網膜格子状変性も網膜剥離の主な原因で、未だハッキリ遺伝形式はわかっていないのですが、比較的若年での変性は遺伝すると言えます。

 若い20代の網膜剥離は、近視で格子状変性が必ずあります。その二つは遺伝すると言われているので、若い人の網膜剥離は遺伝性があると思います。50〜60代の中高年は一番網膜剥離を起こすとされる年齢ですが、遺伝はありません。

 網膜剥離は20代に一つのピークがあり、そして50代に大きなピークがあります。その間の30代40代にはあまり起こりません。70代80代も起こりません。50代60代のピークで起こるのは、誰でも一生に一度は経験する、後部硝子体剥離(硝子体が委縮して網膜から離れる)という状態を伴って起こる網膜剥離です。

 遺伝にも近視にも全く関係ありません。むしろ近視でない方のほうが多く、遠視の方もいます。38歳の時に発症されていますが、剥離は起こりにくい年代で、恐らく格子状変性が軽くて、近視も軽いので、少し時期がずれたのだと思います。

 近視の強い方は若年齢期に網膜剥離にならなくても、50代60代の後部硝子体剥離が10年くらい早く起こるのです。だから40代の時に中高年型の網膜剥離を起こすことがあります。

 通常、網膜に孔が開いて大きな剥離が無ければ、レーザーを試してみて、それで治る場合もありますが、それも数年以内のことで、10年単位で見れば、後で発症する方は結構多いです。その後に後部硝子体剥離が起こって引っ張る力が強くなれば、レーザー治療したのが持たなくて剥離になってしまう方がけっこういます。

 レーザー治療した後に視野の下半分が見えなくなったようですが、進行が早い網膜剥離ですから、40歳前ですが、中高年型の網膜剥離に近いです。弟さんは44歳で発症したので、中高年型が、ちょっと早くなられたということで、遺伝とは関係無いでしょう。

 家族性滲出性硝子体網膜症の場合は遺伝します。これは網膜に詳しい眼科医が診たら直ぐにわかる非常に変わった眼底の血管走行や、特異な症状があります。これは兄弟にも高率で網膜剥離を発症する危険があるので調べます。でも症例は少ないです。

 中高年型網膜剥離でも、網膜に孔が開く場所に、元々格子状変性があったという人が多いので、格子状変性が遺伝するのであれば、兄弟が発症してもおかしくありません。格子状変性は全く無症状なので、眼科医が眼底検査をしないと、自分ではわかりません。

 眼科で「兄弟が網膜剥離になったので眼底検査して下さい」と言えば、していただけます。その先生が網膜剥離がわかる先生ならば、格子状変性も発見してくれると思います。
 私は74歳です。親兄弟とも近視が強く、遺伝性の強度近視だと思うのですが、出産の度に視力が落ち飛蚊症が酷くなるので、医師には、「網膜剥離になるから気をつけなさい」と言われていましたが、今まで剥離を起こしたことはありません。

 「網膜剥離友の会」に入会して、年2回池田先生に網膜を診ていただいています。3〜4年前に白内障の手術を清水先生にしていただきました。その時も「左の網膜が弱っているので、視力が出るといいけど」と心配していただき、両眼白内障の手術をしました。

 左眼は疲れてくると、ギザギザの稲光のような物が見えて、眼を閉じて休んでいると治ります。右眼は朝起きた時に墨を垂らしたようなものが見えますが、しばらくすると消えます。最近瞼が下がってきました。黄斑変性があるようなのです。
 ギザギザの稲光という症状ですが、原因は2種類あって、一つは光視症といい、網膜が引っ張られた時に神経の刺激が脳に伝わって稲光が見えるものです。その後、網膜に孔が開いて網膜剥離になる人が多いです。必ず剥離を起こすわけではありませんが、光視症は網膜に孔が開く前に出ることが多いです。しかし、あなたの場合は違うようです。

 もう一つは閃輝性暗点症と言って、普通の健康人でも眼を押していると眼の前にキラキラしたものが見えてきます。眼球内の後ろから網膜に血液が来ますが、押していると眼圧が上がり、網膜に来る血液が減ってギザギザが見えます。何も押していないのにギザギザが見えるのは女の方に多いです。

 これは血管のスパズム(れん縮)と言いまして、頸動脈から目に来る眼動脈のどこかで、血管が痙攣することが原因で起こると言われています。それは一時的なもので、必ず治ります。痙撃を起こしている時だけ稲光が飛んで、ひどい時は吐き気がしたり、頭痛がしたりして、かなりきつい症状をきたす人もいます。ご質問はこの症状の軽いものだと思われます。

 墨汁のようなものは、上を向いて寝ている間に硝子体混濁が(眼の中は流動的なので)黄斑部の付近に集まります。起き上がった時に、混濁が下に移動するのですが、それが、墨の流れのように見える場合があるのだと思います。

 恐らく飛蚊症の一つで、加齢によるものでは無く、近視性の黄斑変性でしょう。これは近視によって眼球内に栄養障害が起こって網膜が萎縮していくものです。

 瞼が下がることについては、網膜剥離手術後には眼球の容積が減るので下がる方がいますが、手術されていないのであれば、それは眼瞼の筋肉が弱っているのか、皮膚が緩んで余っているのかどちらかで、両方とも手術治療可能です。基本的には、眼を使うことで病気になることはありません。しかし74歳で近視が強いということなので、休憩を取りながら眼を使うとよいでしょう。
 現在68歳で子供の頃から強度近視です。20歳の時からコンタクトレンズになって1.5位視力が出たのですが、25歳の時に事故で顔面を強打してコンタクトレンズが割れて右眼が網膜剥離になり、手術して3ヶ月入院しました。その時はコンタクトレンズで0.7位の視力でした。

 その後妊娠したら左眼の黄斑部が萎縮していると言われ、出産後すぐ黄斑部を手術して、2ヶ月半入院しました。左眼は黄斑部だったので、手術しても視力が出ず、周囲は見えるのですが見ようとするところは見えません。

 7〜8年前から光が眩しく、モヤっとしているので、眼科に行きましたら白内障と言われました。両眼白内障手術をして眼内レンズを入れましたが、モヤは取れませんでした。

 その後左側は眼内レンズを取りました。「網膜剥離友の会」の池田先生に診ていただいたら、「袋が濁っています」と言われ、2年前にレーザー手術をしていただき0.4位出ました。

 モヤはまだあり、暗いところでは良く見えないのです。すっきリモヤが取れないでしょうか。池田先生は「網膜が強度近視で傷んでいるからです」と、おっしゃいます。時々くしゃみや咳をすると赤い光が見えます。

 赤い光が見えるのは、くしゃみで頭が強く振れると眼内の硝子体が揺れるので、そういう力が網膜に伝わるのだと思います。白内障を手術した方は、術後数
年経つと2割の方に後発白内障と言いまして、残した水晶体の膜が濁ってきます。

 モヤが取れないのは、恐らく網膜の萎縮のせいだと思います。私も、強度近視の方で網膜に萎縮がある方に白内障手術をする時は、視力が出るかどうか分からないので悩みます。

 白内瞳手術してもモヤが取れないというのは、白内障の濁りを取って、眼内に光がたくさん入るようになっても、肝心の形を捉える網膜の黄斑部が駄目になっているので、モヤが取れないということです。それが、黄斑円孔という病気です。右も剥離の手術をした時は萎縮していなかったのですが、40年経つと、その間に網膜が萎縮してきているのだと思います。

 強度近視の黄斑変性は、加齢黄斑変性のように血管が原因で起こってくる黄斑変性と、強度近視の栄養障害で萎縮が進んでくるタイプと二つあります。血管が原因で起こってくる場合は若い人でも多いです。30〜50代でも近視性の黄斑変性の原因が新生血管の場合は、加齢黄斑変性(新生血管が原因で見えなくなる)と同じ治療をすることが多いです。

 新生血管が無くて、強度近視で徐々に長い時間が経つうちに網膜が萎縮してきた場合は、レーザーは関係なく、手術も出来ません。出血を伴う加齢董斑変性、近視性の黄斑変性は、ベルテポルフィン(Verteporfin)を注射してその色素が黄斑部に集まって来たところを特殊なレーザーをします。そうすると、新生血管だけが焼け、そして退縮して病気が止まります。この治療を過去5〜10年よくしました。

 最近は、硝子体の中にサイトカインVEGF(血管内皮増殖因子)と言う、新生血管の原因になるホルモンをやっつける薬ができたので、直接硝子体の中に注射するのが今は主流です。近視性の新生血管を伴わない黄斑変性の場合は、現在治療法はありません.網膜剥離と加齢黄斑変性は、直接は関係ないです。
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