2012年総会グループディスカッション

ホーム お知らせ 友の会とは? Q&A 講演録 協力医訪問

2012年総会「グループデッィスカッション@」
   
 回答:オリンピア眼科病院副院長 西山功一先生
《網膜剥離後の白内障手術》
  28年前、右眼に網膜剥離の手術を何度もして、ひどい状態です。もう視力は出ないと諦めています。今は眼圧を下げる薬など4種類ぐらいを点眼して、カラーコンタクトを入れています。

 左眼は赤道部に変性があるので、光凝固をしました。左眼の白内障手術を勧められていますが、100%の成功はないと思うと恐いです。白内障の手術をする時期はどうやって決めるのですか。

  白内障手術の難易度は、近視の度数や白内障の濁り方によって変わってきます。一般の方は、白内障の手術は簡単だと思っていらっしゃるようですが、そういう考えの患者さんには、僕は「それは違いますよ」というお話をさせてもらいます。医師の中にも、白内障手術は簡単だと思われている方がいるかも知れませんが、この会に来られている先生は、恐らく誰もそういう話はされないと思います。

 網膜赤道部変性症があっても、光凝固してあっても、網膜剥離の手術をされていても、白内障の手術はできますが、100%の成功と言われると、我々は困ります。残念ながら医療に100%はありません。ある程度お歳を召されていて、元が近視で、ここ数年近視が進んできたというのは白内障が進行しているからです。

 それがどんどん進んでくると、水晶体の核が硬くなる「核白内障」という症状になり、硬くなればなるほど手術が難しくなります。今の手術は、超音波で核を砕いて取りますから、超音波の出力を上げないと核が砕けなくなってきます。日常生活に不自由が無ければ、様子を見ていてもかまいません。ただ、核白内障が出てきて、ある程度進んで行くと、将来的に手術が難しくなり、合併症も増えてきます。

 白内障は、この程度になったら手術しなさいという手術適用の基準はありません。ご本人の不自由さ加減と、「放っておかない方がいいな」という我々の判断でやっています。白内障専門でやっている先生方は、割りと簡単に適応を決めて「すぐ手術しましょう」という先生が沢山おられます。それは決して間違いだとは言いませんが、患者さんには、その人、その人のライフスタイルもあります。

 右眼で苦労されているのは分かります。もう残念ながら見えないだろうというのは、お話を聞けば理解できます。残った左眼に白内障手術をするときには、白内障だけがお上手な先生よりも、出来れば、白内障と網膜の両方が解る先生に、手術をしていただく方が良いのではないでしょうか。

 網膜剥離の手術をされた方は、よく再発が恐いとおっしゃいますが、これは交通事故に一回遭ったけど、また遭いますかと聞かれるのと同じです。あんまりそればかり気にしていると生活はつまらないじゃないですかという事です。

 光凝固している眼が、網膜剥離を起こすことは絶対無いですかと聞かれれば、「絶対」はありません。光凝固しても、剥がれる方はいますが、確率はすごく減ります。もし剥がれてしまっても、治療法はあります。全ての事をネガティブに、マイナスに捉えられるのは、よろしくないと思います。

《緑内障手術後の網膜剥離》
 緑内障で線維柱帯切除術をしていますが、15年前にバックリング手術を上手にして頂きました。再剥離した時、手術に影響はありますか。
 線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)は、結膜の下に通路を作り、そこから房水が流れるようにして眼圧の低下をはかる手術です。最近は緑内障手術も色々ありますが、線維柱帯切除術をしていると、網膜剥離手術のときは、なるべくその傷に触らないところからアプローチする必要が出てきます。

 この手術をすると、ブレーブ(filtration bleb)という水庖が、黒目の外周の白目の部分にポッコリできます。これは新しく作られた排出路を通って、房水が流れ込んでくるところで、「濾過胞」とも言います。

 通常は、上まぶた下側の白目の部分、黒目を時計に見立てると、12時の所に作るのですが、この濾過胞を切ってしまうと、また後から、緑内障の再手術が必要になる可能性があります。そこで濾過胞を避けて剥離の手術をするのですが、硝子体手術であれば、濾過胞を避けた所から眼の中に入って行く事が可能です。

 緑内障は、眼圧を下げるために目薬で治療して、だめだったら濾過手術をします。慢性の病気ですから、とにかく眼圧を下げることが大事です。

《術後の安静と全身麻酔》
 24・5年前、網膜剥離で手術をしましたが、1週間絶対安静で寝かされて、それからようやく手術でした。今はそういう事がありますか。今も全身麻酔で手術するのですか。
 絶対安静で寝ていると、浮腫が引きます。1〜2日寝ていますと、水が静かに引きますので、今は術前に安静にしている施設もあれば、しない施設もあり、これは施設によって違います。安静にしていたほうが手術はやり易く、動けば動くだけ、剥がれた網膜の下に、水が増えてしまいます。

 昔は網膜剥離の手術ができる先生が各大学に何人いるかという状態でした。各大学に20人、30人と眼科医がいる中で、皆さんが網膜剥離の手術をするわけではなく、順番を待つための絶対安静もあったと思います。25年くらい前は、まだ今のように復位率は良くありませんでした。

 ですから、昔の網膜剥離手術を経験された方が、今手術を受けると、進歩に驚きます。網膜剥離は、パーフルオロカーボンという特殊な液体が出てから、誰でも治せるようになりました。液体パーフルオロカーボンが無い時代、巨大裂孔網膜剥離を上手に治せる先生は、日本中で数えるほどしかいませんでした。

 網膜剥離手術を全身麻酔でするかは、施設によって違います。今でも全身麻酔でやっている所はあると思いますが、ほとんどは局所麻酔です。白内障手術は目薬数滴による麻酔です。
《眼内レンズとシリコンオイル》
 白内障手術の時に入れたレンズは何年ぐらい持つのでしょうか。硝子体手術のシリコンオイルは抜いたほうがよいのでしょうか。
 眼内レンズは「40〜50年は持ちます」と言っています。中には途中で調子が悪くなったレンズもありましたが、このようなレンズは間もなく手術で使えないようになりました。

 シリコンオイルには、いろいろな考え方が有ります。網膜剥離がもう治らない状態で、シリコンオイルが入っているのであれば、抜いてしまうと眼が萎んでしまいます。この場合は、抜かないほうが良いという考えが多いです。
《近視と網膜剥離》
 近視の方のほうが網膜剥離になり易いでしょうか。
 黄斑円孔は中年のご婦人で、強度近視の方がなり易い病気です。このように、強い近視特有の網膜剥離もありますが、印象からいえば、ちょっと軽い近視の方のほうが、網膜剥離になり易いように思います。
BACK


Copyright(C) 2001-2017 網膜剥離友の会 All rights reserved.