2012年総会グループディスカッション

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2012年総会「グループデッィスカッションA」
   
 回答:伊野田眼科クリニック院長 清水由花先生
《左右で物の大きさが違う》
  現在48才、10年前、左眼に網膜剥離の手術をしました。近視が強かったので、眼内レンズを入れ、右眼はコンタクトレンズを入れていました。眼内レンズを入れたほうが、物が小さく見えました。

 今は白内障で右眼も眼内レンズを入れて、屈折率は合わせたのですが、左眼は物が小さく見えるのでバランスが取れません。車の運転ができず、精神的に辛いです。何年か経てば慣れると言われたのですが、慣れるというのはどういうことか分かりません。

  お話を伺うと、不同視ではないでしょうか。近くは老眼鏡を使われているのですね。元々は左右同じくらいの近視だったのが、網膜剥離の術後、左眼に眼内レンズを入れて、マイナス9の近視が無くなって、右眼は白内障の眼内レンズで左右の屈折率を合わせたようですね。

 物の大きさの違いは網膜剥離の手術の影響なのでしょうが、それは手術などで治すのは難しいのです。だんだん脳が順応していく可能性があるので、慣れていくしかないと思います。

 両眼を使わないと、片眼でしか見ていない状態になってしまいます。斜視になると、ダブって見えますが、完全にずれてしまうと、片眼でしか見ないようなことになってしまいます。運転がお仕事だと、遠近感が必要ですね。それには両眼を使って見ることが必要です。一度斜視外来を受診されると良いと思います。

《網膜剥離後の角膜炎と白内障》
 今年の4月、左眼に網膜剥離の手術をしました。私は膠原病縁疾患で、シェーグレン症候群ドライァイなので、糸状角膜炎ができるのですが、術後退院して現在までの2ヶ月間に、2回角膜の表面がベロンと剥がれてしまいました。

 角膜感染症の専門医によれば、硝子体手術のときに角膜を剥がすことがあるということでしたが、その影響でしょうか。今は右眼の白内障の手術をするか迷っています。

 硝子体手術のときには、コンタクトレンズを乗せてやるのですが、なるべく角膜を傷付けないように、潤滑剤を乗せて、その上にコンタクトレンズを乗せて手術します。また、コンタクトレンズを使わず、離れたレンズでやることもありますが、その場合、乾燥しないように、助手が水を掛けながらやります。ただ手術時間が長くなると、角膜が濁って見えなくなることがあります。そうすると手術が続けられなくなりますので、真ん中をわざと抜いてしまうことがあります。

 術後の点眼薬には防腐剤が入っています。何種類も目薬をつけると、その防腐剤の影響で、角膜が傷つけられることがありす。

 再発性の角膜ビランは、結構ある病気で、手術以外でも、例えば何かで傷付けてしまったところが、1回治った後に、また何かの拍子でベロっと剥れることがあります。朝起きて眼を開けた瞬間に、同じところが剥がれてしまって痛くなるというのはよくあることです。こうすれば必ず大丈夫というのはありませんので、防腐剤の入っていない目薬(ソフトサンティア)や、ヒアルロン酸が入っている目薬(ヒアレインミニ)を点眼して頂くしかありません。そうやって気をつけていても、剥れてしまうこともあります。

 角膜専門の先生の治療法としては、剥がれやすくなっている範囲を、注射針でわざと傷付けるという方法があります。角膜の一番表面の角膜上皮という膜がズルズル剥がれないように、針でツンツン刺すのです。ただこの治療は、深く刺さないと効果がないので、例えば角膜の真ん中辺だと、針を刺した時の濁りが残ってしまい、程度問題ですが、かえって見えづらくなるという合併症があります。

自己血清は傷の治療を早めるという作用があります。軟膏を付けても、コンタクトレンズを乗せても、ヒアルロン酸の目薬を点してもどうしても治らない場合に、最終的に自己血清を使うことがあります。特に糖尿病のある方ですと、なかなか角膜上皮が回復せず、いつまで経っても傷が治らないことがあります。自己血清はこういう時に使うもので、普通の点眼薬と同じように出すことは無いと思います。

 右眼に白内障があって、それを取れば視力が良くなる可能性があるのでしたら、白内障手術をされたほうが良いと思います。0.01ではかなり見えにくく、大体0・1ぐらいが、自分で自分の身の回りのことができる視力、0.5が、字が読める視力と言われています。今左眼が0.5だとぎりぎり字が読める状態だと思います。白内障の手術は超音波でやれば十五分ぐらいの時間で終わります。

 白内障が進み過ぎてしまうと、レンズが硬くなりすぎて超音波で削れなくなってしまいます。その場合、計画的嚢外摘出法と言いまして、レンズを丸ごと出さなくてはなりません。傷口を10ミリぐらい開けて硬くなったレンズを取り出し、眼内レンズを入れ、その後を縫うことになります。髪の毛より細いナイロン糸で縫いますので、合わせて40分以上掛かります。は0.7ぐらいの視力で手術をすることもあります。運転免許を取れる視力が0.7だからです。
《ローピジョン外来》
 手術しても良くならず、このまま眼が見えなくなってしまったらと思うと心配です。
 最近はロービジョン外来というのがありまして、眼の見えない人のために、どういう器具を使ったらよいか、お一人お一人に合わせて考えてくれます。拡大読書器という物もありますし、触ればしゃべってくれる時計など、色々なものがあります。

 音声で読み上げてくれるので、目が見えなくとも使えるパソコンもあります。最終的に見えなくなっても、そういう研究が広まってきていますので、そんなに悲観しなくてもよいと思います。眼は両眼が見えなくならないと障害者にはなりません。片方が失明しても、片方が見える人は障害者の扱いは受けません。

《目の使いすぎは駄目?》
 私は67才で、小学生の時から中程度の近眼でした。15年前に黄斑円孔の網膜剥離になりました。現在はコンタクトをして、眼鏡を掛けています。大学病院の主治医の先生が、自宅から1時間半くらい掛かる所に開業され、通院しているのですが、散瞳した後帰宅するのが不安です。最近視力が落ちてきたのは、眼を酷使したせいなのでしょうか。
 掛かり付けの先生のお知り合いの病院が、お宅の近くにあれば、紹介してもらうのが一番良いのですが。眼を酷使するのは良くないですが、あまり制限する必要もありません。コンタクトレンズの素材もいろいろあって、素材が違うと酸素の透過性も違います。目の疲れを感じる場合は、こうしたこともお考えになるとよいと思います。
《退院後の生活》
 退院の時にこういう事はやらないでという注意の紙を貰いますが、いつ頃まで守ればよいのか気になります。例えば重いものを持ったり、飛行機に乗ったりするのはいけないという制限は、いつ頃まででしょうか。
 3ヶ月ぐらいじゃないでしょうか。少なくとも、眼の中にガスが残っている間は、飛行機はだめです。気圧が低くなると、眼の中のガスが膨張して眼圧が上がってしまうからです。網膜剥離になったときは、動けば動くほど水が網膜の後ろに回ってしまい、網膜剥離が拡がってしまうので、なるべく安静にして、上を向いて寝ているのがよいです。頭を動かすのはだめです。
《眼の中に空気を入れるのは》
 竹内先生のお話に、ガスやシリコンオイルではなく、空気を入れるということがありましたが、その違いは?
 眼の中に空気を入れるのは、ガスよりも消えるまでの時間が短いからです。竹内先生がおっしゃったのは、そんなに長い間押さえつけなくても大丈夫だから、空気を使われているということです。

 眼科の治療に使われているガスは、SF6というものとC3F8というもので、C3F8は特に長い間残るので、それだけ患者さんは、長期間うつ伏せ状態で辛い思いをしなくてはいけませんでした。竹内先生は患者さんの負担をなるべく少なくするように、空気を使われているということです。

《術後の安静と全身麻酔》
 私は、術後3時間はうつ伏せで絶対安静でしたが、以前の絶対安静はどのくらいでしたか。看護師さんのお話では、全身麻酔の手術は、術後の管理が大変だとのことでしたが。
 昔は砂嚢で頭が動かないようにして、1ヶ月安静ということもありました。トイレは勿論行けませんので、付添いさんが付いてお世話していました。1ヶ月経って起き上がるときは、全身の筋肉が落ちていますし、目眩がして、全く起き上がれない状態でした。今思えば相当無理なことをしていたと思います。私が入局したときも、1週間絶対安静で、トイレのときだけ車椅子で行くという状態でした。

 全身麻酔を掛けますと、麻酔科の医者もいなくてはいけませんし、導入と覚醒に時間が掛かりますので、手術も沢山できません。日本の医療事情もありまして、局所麻酔で行われることが多いのです。もっと沢山医者がいて、時間が取れるのであれば、全身麻酔の方が患者さん自身は楽かもしれません。

 手術の最後にレーザーを打つのですが、局所麻酔だと、麻酔が切れていて、痛かったと言われることがあります。なかなか麻酔の追加ができないので「ちょっと我慢してね」と言ってやることもあります。硝子体手術ですと、全身麻酔の方が患者さんの負担は少ないと思います。

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