13年総会「グループディスカッション」

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2013年総会
「グループディスカッション」
回答 大阪医科大学眼科教授 池田恒彦先生
【片方が眼内レンズ】
 私は62歳で、1年前に網膜剥離の手術と一緒に白内障の手術をしました。左右の見え方が違うため、なかなか慣れず、眼が疲れます。これを解決するには、よい方の眼に人工レンズを入れるしかないですか。
  網膜剥離の手術のときに、なぜ白内障手術を一緒にやるかといいますと、硝子体手術だけやると、白内障がすぐ進行するからです。50歳を越えて硝子体手術をすると、半年から1年で、また白内障の手術をしなければいけなくなりますので、一緒にやってしまいます。レンズはそのときの視力に合わせて入れます。

 片眼が眼内レンズで、片眼は元々の水晶体という状態は、少しバランスが悪いです。眼内レンズは調節力が無く、どこか1ヶ所にピントが合ったら、あとは眼鏡が必要です。人工レンズは、元々の水晶体のレンズと違って調節力がなくなっていますので、慣れるのに時間が掛かります。よい方の眼が白内障になって、手術を受けると同じ条件で見られるので、かなり楽になると思います。
【ドライアイの白内障手術】
 現在50歳、昨年4月に左眼の網膜剥離で、硝子体手術をしました。退院して2回角膜上皮が剥がれ、主治医の先生に聞くと、膠原病で、ドライアイなので、手術のときに角膜を剥がした、そのため角膜が弱くなっているからとのことです。その後まともに物が見られなくなり、パソコンは380%拡大しないと見えない状態です。

 右眼も視力が0.0いくつで白内障も出ており、バランスが悪いので白内障の手術をしたいのですが、近所の医者にドライアイで角膜が傷だらけだから、手術は無理だと言われました。

 今は、血清点眼(自分の血液を採取し、血球成分を除去した後の血清を、5倍程度に薄めて点眼するもの)で治療しています。緑内障も心配で、これからどうしたらいいでしょうか。昨年のグループディスカションでは、ロービジョン外来に行きなさいとアドバイスをいただきました。
 近視の強い方は、近視を減らす度数の眼内レンズを入れているので、左右の度数がかなり違うと思います。右眼は白内障が強くて視力が落ちているのか、近視の変化で落ちているのか。

 白内障が強くて落ちているのであれば、ドライアイがあるというのは問題です。ドライアイはなかなか治り難い病気で、白内障の手術ができないというのは相当酷いドライアイだと思います。白内障手術をやると危ないぐらい角膜に傷があるということです

 ドライアイの治療の基本は点眼で、色々新しい点眼薬が出ています。点眼でよくならない場合は涙点プラグといって、涙が流れ出る口にプラグ(栓)を挿し込む手術をします。それでもよくならないというのは、相当悪いということです。ドライアイがある程度あっても、白内障手術ができることは多いので、まずドライアイをしっかり治してください。

 強度近視がありますと、いろいろな病気が起ってくる可能性があります。緑内障も近視の方は頻度が高いので、トータルで診ていかないといけない状況です。緑内障は視野検査、眼圧測定を定期的にやっていくことが大事です。

 シーグレン症候群(Sjogren's Syndrome)は膠原病の一種で、かなり涙液が足りなくなります。膠原病は治り難い病気なので、専門の先生とよく相談してやっていくしかないです。プレドニン(ステロイド剤)は副作用があるので、使用は難しいです。

 視力が出ない場合、ロービジョン外来で相談するのはよいことだと思います。日本の障害者手帳は、視野も関係しますが、片眼が0.02以下で、もう片方も0.6以下の視力ですと、6級というのが取れます。

 障害者に認定されれば、例えば拡大読書器を補助で購入することができます。ロービジョングッズを利用して、少しでも見やすくなるように工夫することができます。ドライアイには、とにかく点眼をこまめにしてください。点眼薬もいろいろなものが出ています。
【ドライアイと涙点の閉鎖】
 涙点プラグが右眼に入っているのですが、左眼は肉芽があって涙点プラグが使えません。そこで液状プラグといって、アテロコラーゲンという液体を注入し、涙の流出を防ぐという治療をしています。それでもあまり効果がないので、レーザーで焼いて流出口を塞いでしまおうと言われています。

 前の主治医からは、完全に上下の涙点を閉じると、角膜に傷があるので、感染症の危険があると反対されましたが、今の主治医は完全に焼いてしまおうと言っています。

 今はアテロコラーゲンが保険適応になったので、何とか3ヶ月ごとに入れて凌いでいます。できれば涙点を焼きたくないのですが。半永久的に閉じることになりますし、その後の経過も心配です。
 難しいですね、どちらを取るかです。普段困っているドライアイの改善を取るか、頻度は少ないと思うのですが、アカントアメーバ角膜炎など感染症のリスクを避けるか。目の前のドライアイを何とか治したいということでしたら、やった方がよいと思うのですが、難しいです。

 あとで感染症が起ったら後悔することになります。アテロコラーゲンは一般的ではないのですが、比較的効果があると思うので、まずそれを続けるのがよいかと思います。
【予防のレーザー】
 40代後半です。半年前、左眼に網膜剥離の手術をして、経過は順調なのですが、原因がわからず、年齢的なものでしょうと言われました。網膜に薄いところがあって、そこが破れたということで、バックリング手術をしました。右眼にも網膜の薄いところがあり、いずれ破れるかもしれないので、予防的な処置として、レーザーを勧められましたが、レーザーにはリスクもあると言われ、迷っています。
 片眼に網膜剥離をして、もう片方の眼に弱いところがあると基本はレーザー治療をやるべきであるといわれています。弱いというのはどういう変化なのか、正確には診てみないとわかりませんが、網膜剥離が一番多く起こるのは、格子状変性というところです。

 眼球の赤道部に、網膜の薄いところが円周状にできて、そこに孔が開きます。薄くなるところは格子状変性以外にもあります。左眼にも同じように、網膜に薄いところがあれば、レーザー治療をやった方がいいです。

 ただし、格子状変性があっても網膜剥離が起る頻度は少ないです。網膜剥離は5・6千人〜1万人に一人起る病気なのですが、100人眼底検査をしたら、格子状変性を持っている方は、必ず数人はいます。100分の5が変性を持っていても、ほとんどの方は持ちこたえて、網膜剥離を起こしません。確率は非常に低いです。

 左眼に網膜剥離をして、右眼に同じような薄いところを持っている方を、普通の方と比べると、10倍ぐらいリスクが高いと言われています。つまり1万人に1人から、千人に1人ぐらいの割合になってしまいます。それでも千人に1人なので、それが多いか少ないかという問題ですが、ただレーザーをやったとしても、絶対に網膜剥離が起らないとは限りません。

 統計があって、レーザーをやると網膜剥離が起こる確率を4分の1ぐらいに減らせるといわれています。右眼に将来起きる確立千分の1が、レーザーをやることによって4千分の1にできると考えて頂ければよいです。

 レーザーは、格子状変性をぐるりと取り巻くようにやります。広い範囲に格子状変性がある方はたくさん打たないといけないのですが、打ち過ぎると、眼の中の硝子体に熱が加わり収縮して、また網膜剥離を誘発したり、黄斑上膜(黄斑の上に膜が張って、物が歪んで見える)を誘発し
たりするリスクが少しあります。

 だから非常に広い範囲に格子状変性を持っている方には、我々は少し躊躇します。でも今のレーザーは非常に性能がよいので、1回にたくさん打たず、分けて打てばまず大丈夫です。基本は片眼網膜剥離で、もう片眼に弱いところがあれば、レーザーをやった方がよいというのが大原則
です。

 網膜剥離の原因がわからないということですが、40歳でも網膜剥離になる方はいます。網膜剥離の好発年齢は2峰性と言われ、20歳代と5・60歳代にピークがありますが、その中間では全く起らないということではなく、3・40代でなる人もいます。多分普通の網膜剥離だったのだと思います。
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