11年中国四国懇話会「質疑応答」

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2011年中国四国懇話会
「質疑応答」
回答:みなもと眼科病院長 皆本敦先生
【白内障について】
 白内障と言われて10年ぐらい経ちます。運転もしますし、生活に支障はないのですが、歳を取るとリスクはあるのでしょうか。手術の時期について悩んでいます。眼内レンズは10年、20年と経ったら交換は必要ですか。手術前よりも悪くなったという方もいますが。
  白内障の手術は15〜25分で終わる簡単なもので、身体的負担はそんなにありません。歯医者さんで歯の治療を受ける時の身体的ストレスと、そんなに違わないと思います。

 もちろんリスクもあり、一定の危険性はあります。白内障が進むと水晶体は濁るだけでは無く、硬くなります。硬くなると、技術的に難しくなります。手術する側が難しいと感じるということは、患者さんにとって多少リスクが高くなります。

 早期なら手術する側にとってストレスが少なくなり、患者さんにとっても安全性が高くなります。そのように考えていただければ、早期に治療することは決して悪いことはありません。眼内レンズ自体は交換の必要性はありません。

 手術して悪くなったと言うのは、例えば遠くにピントを合わせたレンズを入れたので近くが見え難くなったことを、前より悪くなったと感じたのでしょう。

 白内障手術は若い頃の状態に戻すわけではないので、手術前の説明をよく聞いていただければと思います。現在0・7の視力でしたら、手術を受けていただければ、もっと安心して運転できると思います。
【物が二重に見えます】
 10年ぐらい前に網膜裂孔を固定したのですが、昨年の10月頃から視力が落ち、物が二重に見えます。また、昨年から白目が盛り上がり、黒目の方に伸びてきました。最近二重に見えるのは治りました。
 黒目の方に白目が入ってくるということについては、一番考えられるのは、翼状片といって白目の結膜が黒目に入っていく状態です。翼状片になると、角膜に牽引がかかるので乱視を惹き起こすことがあります。

物が ダブって見える原因はこの他に二つ考えられます。一つは白内障です。もう一つは昔網膜裂孔をレーザー凝固したことで、網膜が二次的に変化して、裂孔が元で網膜の黄斑部の上にオブラートのような薄い膜が張ってくる黄斑上膜。網膜剥離、網膜裂孔になった方、或は治療された方の中に黄斑上膜ができることがあります。

 いずれの可能性もあるので、眼科を受診して検査を受けてください。原因が分れば経過観察でよいのか、治療が必要なのか、アドバイスがあると思います。

 翼状片は鼻側から起こります。真ん中に延びてくると視力障害が起きますので、そのときは手術して取ります。原因は紫外線を浴びることと関係していて、屋外で活動する時間の長い人に多く、比較的漁村に多かった病気です。

 外から入ってくる紫外線が、角膜で屈折しつづけて、鼻側で集中し、その影響で角膜内側の細胞が障害されて白い粘膜が角膜に入ってきます。

 離れて二重に見える場合、眼球運動障害かもしれません。眼を動かす筋肉は、それぞれの眼に六本付いていて共同して働いているのですが、その連係が上手くいかなくなると悪くなります。

 例えば高血圧があって、動脈硬化のリスク要因があると、血流の変化によって眼球運動障害が起きます。正常なら右を見るときに右眼は耳側に行って、左眼は鼻側に動きます。それぞれ働く筋肉を支配している神経は違うのですが、共同してうまくバランスをとって同じ方向に動くのです。

 軽い血流障害で一過性にバランスが悪くなり、そして数週間の経過のうちに良くなるということもあります。その要因には高血圧、糖尿病があります。

 バランスが悪い状態が数ヶ月に渡って起こっても、半年ぐらい経って治ってしまうという自然治癒傾向のある眼球運動異常は、50代、60代から上の方に見られます。二重に見えるのが治ったというお話を聞くと、先ほどの三つの可能性より、今の眼球運動障害が考えられます。
【加齢黄斑変性の治療】
 1年ぐらい前にドライアイで近所の眼科で診てもらっていました。ある日左眼で障子の桟を見たらガタガタに歪んで見えたので、驚いて眼科で診てもらうと、「黄斑変性ですが、今は大丈夫です」と言われ、2ヶ月に一回通院しています。薬も治療もしていません。このまま進行して中心部が見えなくなるのではと心配です。
 加齢黄斑変性には、ウエットタイプという、血管から水分が漏れたり、出血を起こす滲出型と、もう一つはドライタイプという萎縮型があります。

 ドライタイプの加齢黄斑変性は殆ど病状が動かないので経過観察のみでいいのですが、それでも歪みの症状が出ることがありますからドライタイプの加齢黄斑変性の可能性があります。その場合は出血が起こったり、網膜が浮いたりする変化は殆ど起こりません。

 その他の病気でも黄斑変性という言葉を使って説明することが、稀にあります。黄斑変性がどのタイプかは分かりかねますが、ドライタイプは非常に病状の安定したタイプの黄斑変性です。
【後発白内障】
 白内障の手術をしても再発はありますか。
 白内障の手術をするときは外側の袋状の膜を残して手術します。水晶体を全部取ってしまうわけではないので、手術後しばらくすると袋に沿って細胞が増殖して、濁って視力が落ちてきます。

 手術後に濁りが出ることはよくあります。これは後発白内障と言いますが、白内障が再発するのではありません。レーザー治療で対処が可能です。レーザー光線で焦点を合わせ、濁りの部分に穴を開ければ、濁りが飛んで光が通り、視力が回復します。
【老人環】
 黒目の周りが白いのですが、だんだん真ん中のほうまで入ってくるのではないかと心配です。
 黒目の周辺が環状に白くなるのは、老人環と言って、年齢によって角膜の周辺が濁ってくるからです。

 若い人にもあって、若年環と言います。若年環は高脂血症でコレステロール値の高い人に多いです。年齢の高い人にできる環は加齢によるもので治療対象にはなりません。環は円周方向には進行しますが、中には入ってきませんし、視力にも関係ありません。
【反射性の流涙】
 2年ぐらい前から特に寒い朝に涙が出るのですが。
 1日のリズムの中には朝に涙が出やすいこともあります。寒いときに起きるのは反射性の流涙と言って、寒さの刺激によって人間の体の自然な反応として出ます。自転車を漕いでいて風が顔に当たると涙が出ますが、そういう機械的な刺激や寒さの刺激で涙が出るのは正常なことです。朝出やすい方もいれば、夕方出る方もいて、個人差があります。

 目頭の上下には涙点があって、そこから涙嚢という袋に向かって小さな管を通って涙が流れていって溜まります。瞬きをしたり、表情筋を使うたびに涙嚢が受動的に動いてポンプ作用が働き、涙が涙嚢から鼻の鼻腔に向かって押し出されて行くのです。

 涙嚢のポンプ作用は年齢と共に落ちてきますし、管が細くなって閉塞してしまうことがあります。そうなるとチューブを挿入して管を広げる方法と、手術をして管を再建する治療とがあります。どの程度詰まってしまっているか、通水検査で水を通して、状態によって考えます。
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