2014年関西懇話会「質疑応答」 

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2014年関西懇話会
「質疑応答」
回答:大阪回生病院 佐藤文平先生
【黄斑円孔@】
 黄斑円孔で、黄斑部に孔が掛かっています。視力は両眼0.4ぐらいですが、今は治療法が無いと言われています。
  網膜の中心を黄斑、その中心の部分を中心窩と言います。
黄斑の直径は500ミクロンで、1ミリの半分ぐらいです。中心窩は150ミクロンで、この小さな部分が網膜で一番大事なところです。

 字が読めるのは、この黄斑部のわずか500ミクロンの範囲だけで、網膜の他の部分には字を読む細胞がありません。大まかな景色が見えたり、明暗がわかったりするだけです。

 視力が1.0ある方は、この黄斑部の部分が健康です。黄斑部の網膜が障害されると、視力は0.1以下になります。もちろん障害の程度によっては、0.4ぐらいの視力を維持される方もいます。

 黄斑部には色々な障害が起こります。黄斑変性もその一つです。黄斑変性は、中心窩の網膜の裏側から、悪い血管が生えてきます。

 黄斑円孔は、ここに孔が開いて、網膜が無くなってしまう病気です。強度近視が原因になることもありますが、ぜんぜん近視がない方にも起こります。

 強度近視の方は、年齢が比較的若くても黄斑円孔が起こり、強度近視ではなく黄斑円孔が起こる方は、だいたい70〜80才の高齢者の方が多いです。

 症状も少し違っていて、強度近視のない方は、黄斑に孔が開いても、それ以上特別悪いことは起きず、そこで止まります。視力は個人差がありますが、0.1〜0.5ぐらいで、字は読みにくくなりますが、それ以上進行せず、失明することはありません。

 ところが強度近視の方の場合は、同じように黄斑円孔が起こっても、さらに病気が進行して、黄斑部の剥離が進み、完全な網膜剥離になる場合があります。

 黄斑円孔の治療は、硝子体というゼリー状の組織を取り除き、代わりに膨張性のガスを入れます。術後4〜5日は傭せになってもらいます。そうすると、ガスが網膜を内側から圧迫してくれます。ガスは眼球の中で浮きますので、傭せをすると、孔の部分にガスが圧力を加えます。

 その圧力の作用と、孔の部分の網膜を4〜5日乾かすことによって、グリア細胞が出来てきて、網膜の孔を閉鎖します。黄斑円孔の人は全員、この手術の適応になります。手術すると、10人中9人半、95%の人で黄斑円孔が閉じて、ある程度視力が改善します。

 ただし、視力が0.4ということですと、円孔も小さく、中心窩まで行っていないと思います。手術をしても、これ以上視力が改善するか、微妙なところですので、治療法が無いと言われたのだと思います。

 黄斑円孔が閉じても、視力が良くなりにくいという方もいます。これは元々近視の方は、網膜と脈絡膜が弱いということがべースにあるからです。循環をよくすれば、ある程度機能が保持され、悪くなるのを予防する可能性がありますので、循環改善剤などを長期間飲んでもらいますが、科学的根拠ははっきりしていません。

 網膜のサプリメントなどはお金が掛かります。慎重な施設では、近視の方の黄斑円孔には、合併症などを考えて対応しています。

【黄斑円孔A】
 現在70才です。25才の時に、事故で右眼に網膜剥離を起こしました。網膜剥離は治ったのですが、出産でお腹が大きい時に、左眼がおかしくなり、萎縮しているということで入院しました。

 様子を見ていたのですが、中心が萎縮していると言われ、焼き付けました。周りは見ているのですが、中心は見えません。強度近視で、10年ぐらい前に両眼白内障の手術をしました。

 その後、眼内レンズを入れた右眼がよく見えないので、眼内レンズを外しました。右眼は矯正視力0.7ぐらい出ていたのですが、今は眼鏡を掛けて0.3ぐらいです。

 左眼はレンズが入っていますが、中心は見えません。焼き付けたというのは、どういうことでしょう。見えるようにはならないでしょうか。

 右眼の網膜剥離は周辺部からくる網膜剥離で、これは多分外側からシリコンバックルをあてる手術で治療したのだと思います。左眼は強度近視の黄斑円孔だと思います。黄斑円孔だけでなく、網膜剥離も起こしていたので、手術されたのだと思います。

 今はそういう手術はしないのですが、40年前には、中心の黄斑部を焼いていました。黄斑部の細胞はだめになってしまうのですが、凝固することで、黄斑円孔を閉鎖して、網膜剥離を治すという手術です。今は硝子体手術で硝子体を取り除き、ガスを入れ、傭せになる手術をします。

 黄斑部をいじらないので、黄斑部の孔がきれいに閉じて網膜剥離も治り、かなりの視力が残ります。当時はこのような方法がなく、冷凍凝固か電気凝固で黄斑部を焼き、強制的に孔を閉じさせるというのが常識的な手術でした。30年ほど前から手術が変わりました。

 出産のときにホルモンのバランスが崩れ、黄斑部に孔が開いてしまうということは実際にあるようです。昔から黄斑円孔は女の人に多いようで、強度近視の場合は別ですが、近視の無い方の黄斑円孔は、女性と男性の割合が10対1ぐらいです。

 ほとんどが女性で、何かホルモンに関係があるのだろうと言われています。閉経以降に起こりますので、閉経後のホルモンの変動によるものだろうと言われた時期もありました。強度近視の場合は、男女差はありません。

 白内障の手術の際には、レンズの度数を決める検査を行います。強度近視の方の場合、この検査が難しく、誤差が生じやすいです。手術後どの辺にピントを合わせたらよいかを聞き、希望のピントに合うレンズを入れるのですが、強度近視の方はずれてしまうことが多いです。恐らく誤差が生じるのだと思います。

 眼内レンズは入れた方がよいです。レンズのある方が、眼の中の状態はより望ましい形になります。もう一度検査をされてはどうでしょうか。
【緑内障の点眼】
 現在77才です。32才で左眼の網膜剥離になり、バックリングをしました。40才のとき隅のほうだったので、レーザーをしました。結膜炎で通院していた主治医から、右眼に緑内障が出ていると言われ、眼圧を下げる目薬を処方されました。眼圧は14で、4種類点眼しています。今は右眼に、黒いお椀のようなものが見えています。
 平均余命が10年以内ですと、視野欠損が多少あっても、失明することは無いという判断で、点眼だけで治療することも考えます。

 50才で視野が欠けてきた場合、点眼薬を4種類も使って14という眼圧は決して良い状態ではありません。手術適応です。

 100才まで生きると考えたら、4種類の点眼で視野が欠けているという状態は、決して安心できません。視野欠損がさらに進行するようですと、ちょっと具合が悪いです。(会報241号から転載)

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