第7回中国四国懇話会「質疑応答」

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2014年第7回中国四国懇話会
「質疑応答」
回答:みなもと眼科病院長 皆本敦先生
【注入するガスについて】
 硝子体にガスを注入するそうですが、これは空気ですか。害はないのでしょうか。
  硝子体に注入するガスは、空気の場合比較的短期間に抜けてしまいます。長期間滞留して網膜を押し付ける効果のあるものは、SF-6(6フッ化硫黄)というものです。20%ぐらいの濃度で、フィルターを通した滅菌状態のものを使います。量にもよりますが、硝子体を全て取って眼内に充填させますと、大体1週間から2週間の間、眼内に滞留しています、

 このガスは、副作用や毒性はあまりありません。ただ、人によっては吸収が悪く、長い間滞留し過ぎて、社会復帰が難しいことがあります。また20%以下の濃度なら膨張しないのですが、本来膨張性の性質を持っていますので、眼圧を上昇させてしまうことがあります。そうすると神
経が圧迫されて、視機能が損なわれますから、そのときは、直ちにガスの一部を抜きます。それが合併症と言えるかもしれません。
【白内障のレンズ交換】
 眼内レンズに単焦点、多焦点があると聞きました。一度レンズを入れた後で、多焦点レンズに入れ替えることはできるのでしょうか。
 レンズ交換することもあります。レンズは水晶体の袋の中に入れますが、術後早期であれば、まだ癒着はありません。しかし、あまり時間がたつと癒着が起こっています。そうなると引き離すときに、何か合併症を起こす可能性があります。それで、眼科医はあまり入れ替えたくはありません。ただ癒着している部分は残して、レンズの部分だけを取り入れ替えることもあります。度が合わないときは、2枚目のレンズを入れることもあります。

 絶対に交換が必要なのは、支えている靭帯が弱いため、袋ごと眼の中に落ちてしまうという場合です。選択の余地が無く、眼内レンズを入れ替えることになります。この場合は、袋の中に入れることができないので、眼内レンズの把手の部分に糸を掛けて、眼の中に直接縫い付けるという方法をとります。古いレンズを摘出して入れ替えることもありますが、一定の確率で合併症が生じるので相談して選択してください。
【眼の中の濁りを取る】
 元々、強度近視で、網膜剥離も白内障もやっています。最近眼が霞むようになり、1月の健診で今よりも視力が悪くなったら、硝予体の濁りを取る手術があると言われました。その手術で、瞳の奥を傷つけることがあるが、まだその時期では無いということでした。硝子体の濁りを取るとは、どういう手術なのでしょうか。その手術で失明することはありますか。
 眼の中に器具を入れて濁りを取る硝子体手術です。器具自体は注射針のように細いもので、その細い筒の中を刃が行ったり来たりして、硝子体の濁った部分を切り取ると同時に吸いこんでいきます。濁りを醤り取るというイメージです。硝子体手術自体、今は一般的で安全な手術になっています。

 元の病気が何かによりますが、手術で網膜の中心部分に傷がつけば、黄斑変性と同じように中心の視力が悪くなる可能性はあります。しかしこれは失明とは別です。

【ドライアイについて】
 15〜6年前に網膜剥離の手術、白内障の手術をしました,昨年ドライアイになりましたが、それまでドライアイという病気を知りませんでした。ドライアイはしつこくて、現在点眼液ムコスタンと軟膏をつけています。ドライアイから網膜剥離の再発はありますか。ムコスタンを長いこと便っても間題は無いでしょうか。
 ドライアイは日本語で乾いた眼ということになりますが、涙の量が減って眼が乾燥し、眼の表面の潤いが欠ける状態です。治療には、眼の表面に潤いを与える薬を使います。もう1つは、涙の質が変化したために、眼の表面に涙を保持しておく力が弱まり乾燥するという状態が考えられます。人間は瞬きをしますが、瞬きの度に涙が交換されて、眼の表面に潤いが保持されます。

 涙を眼の表面に保持しておくためには、単純に水だけでは保持できず、涙の中に幾つかの成分が必要になってきます。涙の1番表面には油分があり、涙が過剰に蒸発するのを防いでいます。表面に油膜が張っていて、その後ろに水分があり、もっと眼の近くにはムチンという粘液層があります。

 この粘液層がきれいに張っていないと、水が眼の表面にうまく乗ってくれません。ムチンを産生する細胞は結膜にあります。その細胞の働きが弱まってムチンが不足したときに、ムコスタンという薬を使います。今までの話でお分かりのように、ドライアイと網膜剥離は、ほとんど関係ありません。

 ムコスタンには、視力を下げるような強い副作用もありません。ムコスタンは、一回で使い捨てなので、保存料・防腐剤は使っていません。そこでこのような物質が及ぼす副作用も心配ありません。
【緑内障の進行】
 3年前に白内障の手術をしました。そのとき緑内障があると言われ、3ヶ月に1回視野の検査をしています。緑内障は治らないのでしょうか。学生の頃ソフトボールが顔に当たったので、その頃から鼻側が黒くなって見えません。
 眼には網膜があり、網膜には多数の神経線維があって、その神経線維が一つの束になり、脳に繋がっています。

 その視神経の線維が衰えて脱落していくのが緑内障です。見た物を脳に伝えるたくさんの電線があると思ってください。その電線の束の中の細い線が減っていくのが緑内障です。神経線維が死んでいく病気です。健康で正常な人でも、神経線維は死んでいきます。正常と言われるスビードを上回り、どんどん死んでいくのが緑内障です。放っておくと、全身の寿命より眼の寿命が先に来てしまいます。

 怪我をすると、神経線維の脱落が一気に起こってしまう可能性があります。しかしそれは、視神経の障害ではありますが、緑内障ではありません。緑内障は、徐々に神経が変性して、慢性的に、病的なスピードで脱落していく状態です。緑内障は治るということがなく、減ってしまった神経線維が元に戻ることはありません。

 出来るのは、進行のス.ビードを緩め、視力を維持することだけです。そのためには幾つかの工夫がありますが、眼圧を下げることは意味のある治療法として確立しています。

 しかし眼圧が高い人が眼圧を下げれば、進行を遅らせることが出来ますが、眼圧が低いのに、緑内障が進行する人がいます。日本には、このタイプの緑内障が非常に多いということが最近分かってきました。眼圧が低い方の場合も、更に眼圧を下げることを目標にします。

 しかし、眼圧が低いのに緑内障が進む方には、眼圧を下げるだけでは治療が難しいです。神経を保護するためにはどういうことが必要か、かなり研究が進んではいますが、決定打といえるものはまだありません。

【涙道が詰まって】
 涙腺が詰まって1年ぐらい前に手術しました。そのときにシリコンを入れました。今は朝夕涙が溜まります。また病院に行ったほうがよいでしょうか。予防法はありませんか。
 詰まりにくくするという予防法はありません。涙腺というより、涙道が詰まっているのだと思います。涙腺というのは、土瞼の外側、耳側の奥にあり、ここで涙液が作られ眼の表面に涙が分泌されます。瞬きによって眼の表面にまんべんなく分布していきますので、瞬きが必要です。一部は蒸発します。

 瞼の内側、鼻側上下に二つの涙点があり、そこから涙小管を通って、涙は涙嚢という袋に溜まります。それから鼻涙管という管を通り、鼻に行きます。この涙の通り道を涙道といいます。シリコンチューブを入れたのは、涙道のどこかが詰まったからです。シリコンチューブを留置しておくと、それによって涙道が開通し、涙が通るようになります。

 再閉塞する可能性は否定できません。あまり自覚症状が無ければよいのですが、再閉塞してしまったら、また通しましょうということになります。またチューブを通すのは気が進まないのであれば、そうなる前に定期的に診てもらうのが良いと思います。自身の努力で再閉塞を防ぐことは難しいです。
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