15年総会「グループデスカッション」

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2015年総会
「グループディスカッション」
回答:オリンピア眼科病院副院長 西山 功一先生
 
【網膜裂孔のあとの白内障手術】
  右眼は裂孔でレーザーをしました。飛蚊症が夕方に見えます。何か起こるのではと心配で、白内障の手術も怖くて考えてしまいます。視力が落ちて眼が疲れやすいです。
 飛蚊症、光視症が出て、眼科に行かれたようですが、飛蚊症はよく起こる症状で、患者さんが飛蚊症で来られると、詳しく検査するため、瞳を拡げて眼底精密検査をします。飛蚊症のほとんどが、後部硝子体剥離という老化現象で起こります。60歳ぐらいになると、2人に1人が起こる症状で、眼の中の硝子体が、網膜面から剥がれるという状態が起こります。

 近視が強いと、30代、40代でも起こってきます。近視が無い方でも、60歳、70歳になると2人に1人は起こってきます。硝子体剥離が起こると、眼の中に線維が浮いて、ふわふわ眼の中で揺れるので、飛蚊症という虫のような物や、糸くずのような物、薄い膜が揺れているという方もいます。

 硝子体剥離が起こるときに、網膜面から硝子体がゆっくり剥がれて、端のほうで網膜を引っ張り、剥がれるときにキラキラと光ります。まだ硝子体剥離が進んでいる途中か、あるいは網膜が引っ張られている状態です。

 硝子体剥離が起こって、飛蚊症が出て、光視症が2〜3ヶ月で完全に無くなる人もいれば、しばらく出ている人もいます。光視症がある間は、時々網膜裂孔が無いか、出血が無いかということで受診してください。

 白内障があると、眼の周辺部を一生懸命見ても見えない場合がありますので、白内障が進んで視力が悪くなっているのであれば、白内障の手術を受けてください。

 白内障手術が安定していないころは、色々な術式がありました。水晶体を全部取っていたころは、手術の最中に、水晶体の袋の膜が破けてしまうという合併症が起こりやすい時代もありました。今は器械も、手術の手技も良くなりましたので、白内障の手術を考えたほうが良いです。

 網膜裂孔というのは、ほとんど赤道部という眼の端のほうにできます。真ん中が開くと黄斑円孔で、黄斑円孔にレーザーを当てると見えなくなってしまうので、当てません。周辺部の網膜裂孔が五分ぐらいのレーザーで終わったのであれば、小さい裂孔だと思われますので、視力には影響しません。

 孔が開いてレーザーをやったから視力が落ちたのでは無く、白内障が原因です。レーザーをやって白内障になりやすいということはありません。

 眼の中に空気やガス、シリコンオイルを入れるという手術をしていると、白内障は進みやすくなります。バックリングで眼の外側だけの手術で、気体が入っていなければ影響はありません。

 白内障は残念ながら薬では治りません。網膜剥離が怖いので、白内障の手術をしないでいると、水晶体の核が硬くなり、見えなくなってからやると、手術する側からすると、すごくやりにくくなります。

 水晶体の濁りを超音波で砕き、そこに2〜3mmの創を開いて、直径6mmぐらいの眼内レンズを折りたたんで入れます。

 核が硬くなると、普通は簡単に砕ける水晶体が、超音波の出力を上げて、砕かないと濁りが取れません。硬い核を砕くときに袋が破けて、濁りが眼の中に落ちて合併症を起こしやすくなります。
【シリコンオイル】
 妹のことですが、黄斑円孔の術後シリコンオイルを入れて、3ヶ月臥せて寝ていましたが、眼の中のシリコンオイルは濁るのでしょうか。
 個人差があり、ずっと濁らない人もたまにはいます。早い人は2〜3ヶ月で乳化してきます。ただ全部が乳化するわけではなく、小さな粒々になりますので、それが眼の上のほうに溜まります。術後は3日から1週間、長いと2週間俯せ、あるいは横向きで寝てくださいと言われます。シリコンオイルだけで3ヶ月俯せになるということはまず無いと思います。

 最初にガスを入れてうまくいかず、それでもう1回シリコンオイルを入れてということではないかと思います。シリコンオイルで数ヶ月というのは考えにくいです。

 昔20〜30年ぐらい前までは、黄斑円孔網膜剥離はなかなか治らないので、長期滞留型ガスを入れて、2ヶ月ぐらい上を向いて寝てはダメという時代もありました。病気の種類によって下向きの期間は変わってきますが、シリコンオイルが入って下向き3ヶ月というのは理解できません。ずっと下向きというのは、網膜がくっ付いていない可能性があって、上を向くとさらに悪くなるという状態かもしれません。

 永遠に下向きというのは無理なので、残念ながら治らない人もいます。どんなに頑張っても網膜剥離が治らない方も、数は少ないのですがいます。そうなってしまったら、長い間下向きを続けているのは、本人も辛いですし、精神的にも良くないです。そういうときに、治らないのなら下向きはもういいですという方も出てきます。 

 シリコンオイルは、私たちはあまり使いたくないですが、使わないと治らないという症例はたくさんあります。大きく破れた巨大裂孔網膜剥離や増殖網膜症で、眼の中がくしやっとなった人に、ガスだけではうまくいかないときにシリコンオイルを入れます。ガスを入れると下を向かなければいけません。体の具合などで下を向けない方に、下向き期間が短くて済む
シリコンオイルを入れることはあります。

 シリコンオイルが入った状態で3ヶ月下向きは主治医の考え方もありますが、理解できません。
【眼の中に入れるガス】
 網膜剥離の手術のときの当て物が、飛び出てきて取ったのですが、また網膜剥離を起こしました。そのあとにガスを入れたりして、3回手術しました。
 バックリング手術をやってあって、結膜の裏側にバックルはありますから、それが結膜を破って顔を出すと、手術をして何ヶ月も何年も経っているのであれば、取っても大丈夫です。

 その後網膜剥離が再発したのですね。ガスの種類は3種類で、空気とスエフロ(SF6)、C3F8があります。そしてシリコンオイルがあります。C3F8というガスを入れると、1〜2ヶ月眼の中にガスが残る人もいます。

 人間は寝ている間に上を向いてしまいます。入院していても、24時間看護師さんが看ていてはくれません。眼科医もガスを入れた手術のあとは、とにかく下を向いて、または横を向いて寝てくださいと言います。上向きで寝ていれば、看護師さんが巡回して注意してくれます。絶対に上を向いて寝るなというのは拷問のようですが大切な事です。
【糖尿病網膜症と白内障】
 私は糖尿病で25年ぐらい薬を飲んでいます。HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)は6.3〜6.5で、眼科で眼底検査をしています。A0〜Alの間の0.5ぐらいと言われています。白内障が出てきたので、手術は早いほうがいいのでしょうか。
 A0は問題なしで、Alというのは、小さな血管の瘤ができているかなというところです。0.5というのは分類上無いのですが、ときどき診ると、小さな血管の瘤や小さな出血があり、次に診たときには消えているというぐらいだと思います。

 糖尿病が無い人でも、眼底検査で詳しく診て見ると小さな出血をしている方はいます。そういう出血は2〜3ヶ月診ていると、自然に引くことが多いのですが、糖尿病の方の眼を追いかけて、結果を見ていきますと、小さな血管の瘤がぽつぽつと現われて、それが増えてくればAlとなって、糖尿病網膜症ということになります。

 小さな出血や瘤1〜2個あった状態は、経過を診ます。HbA1c が6.3〜6.5だと、正常値が6.2ですから非常に良いコントロールだと思います。眼科医は糖尿病の患者さんに「HbA1cが7をゆっくり切る努力をしてください。可能であれば6.5を切りましょう」と言います。6.3〜6.5であれば、しっかり続けてください。

 白内障の手術は、早いほうがいいというわけではありません。網膜剥離の術後に、核が硬くなる形の白内障の方は、早めにやったほうがいいのですが、普通の白内障の方が、ちょっと出て来たから直ぐやりましょうとは言いません。

 糖尿病はコントロールが悪いと、合併症が多くなったり、出血しやすかったり、感染症を起こしやすかったり、術後の炎症が強くなったりします。しかし、今のコントロールであれば、手術はいつでも大丈夫だと思います。

 白内障の手術適応は、視力がいくつになったらしなければいけないということはありません。車の運転をする方は0.7を切ったらやりましょうということです。

 濁りの出かたによって色々な白内障があり、濁りが強くても、すき間が開いている人は、すき間から見えるので、慌てない人もいます。濁りが少なくても、眩しいところに行くと瞳が縮んで、縮んだところに濁りが少し掛かっただけでも、霞んで見えなくなるという方もいます。そういう方は手術しましょうということになります。
【核白内障】
 網膜剥離の手術をしたことのある人の自内障は何か問題があるのでしょうか。
 網膜剥離でガスが入った方が、手術のあとに出てくる白内障は、近視が強くなっていきます。半年、1年、2年と診ていくと、手元は見えても、遠くは見えないという白内障になってきます。

 核白内障といって核が硬くなるのが特徴で、あまり待たないほうが、手術が難しくならなくていいです。核白内障かどうかは、近視の度数が1年2年でどんどん強くなっているかということです。手元が見えないようですと、立派な白内障です。
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