2016年総会「グループデスカッション」

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2016年総会
「グループディスカッション」
回答:オリンピア眼科病院 西山功一先生
【硝子体手術後見えないところが】
 3ヶ月前に網膜剥離で硝子体手術をしたのですが、剥離部分とは関係ないところに、術後見えにくい部分が出ました。手術した先生は「網膜は全く問題ない」と言われて、何件か病院を受診して、ある病院で「硝子体手術のときに、剥離ではなく分離症があって、そこに空気を当てたことによって、そこがだめになったのではないか」ということでした。
 網膜剥離の手術のあとに、剥がれたところと関係ないところに視野異常が出る方はたまに居るようです。

 硝子体手術というのは、小さな穴を三つ開けて、一つの穴から眼の中に水を入れながら、一つの穴からライトガイドという眼の中を照らす光を、もう一つの穴から硝子体を切ったり、網膜の膜を取ったりという操作をします。最終的に硝子体手術のときに、眼の中に空気、ガスを入れて終わりにします。

 眼の中に水を入れたり、空気を入れたりするときに、空気や水が勢いよく入りますので、空気の当たる網膜の感度が落ちるという報告があります。ですから「何でここが見えないの」と言う方もたまにいるのも事実です。

 あとは眼圧が上がったり、下がったりするので、術中に血流障害が起こったということも考えられます。あってはいけないのですが、眼の中で動かしていた器械(カッター、ライトガイド)などが網膜に触れたというのも絶対に無いわけでは無く、あっておかしくない合併症ではあると思います。

 その部分が恒久的に残っているのであれば、復活する可能性は少ないかもしれません。その部分が拡がっているのであれば、別の病気、例えば緑内障などを考えなければいけません。視野検査を定期的にしないとわかりません。

 日本人は40才を過ぎると20人に一人が緑内障を持っているので、年を取ってくると、視野が狭くなってくる方はたくさんいます術後三ヵ月なので、もう少し様子を見てもいいと思います。

 網膜剥離も急に進行して剥がれたものは、ある程度回復するのですが、そこからはあまり変わりません。長い間剥がれたままだった網膜剥離は、剥離は治っても視野がすぐ元に戻るということはないです。網膜自体が弱くなっているので、くっ付いたからといって、完全には元に戻ることはありません。
【白内障手術のタイミング】
 現在70才で、35年前に左眼を網膜剥離になり、半年の間に4回全身麻酔の手術をやりました。それ以降網膜剥離はやっていません。光はわかりますが、文字はわかりません。4〜5年前から右眼の白内障が進んで、家族性角膜変性症なのですが、白内障の手術はいつやったらよいのか、右目は0.5(矯正)です。
 右眼0.5は近視が強いですね。どんどん近視が強くなるようであれば、核白内障という近視が強い方の特徴的白内障が、恐らく進んでいて、水晶体の核がどんどん硬くなっていく形の白内障です。これは手術する我々からすると、進めば進むほど、手術の手技は難しく、やり難くなります。

 2〜3年で近視がどんどん強くなっているのであれば、手術を考えていい時期だと思います。待っていて、本当に見え難くなってからだと、もう少し早く来れば、もう少しスムーズな手術で終わるのに、ここまで来ると大変だという方もいます。核が硬くなる前に手術を受けたほうがいいです。

 角膜変性症があると、視力はやってみないとわからないということもあります。
【黄斑前膜と白内障】
 10年前に左眼網膜剥離で硝子体手術をやって、3ヶ月後黄斑パッカーで手術して、それから一年後、同じ左眼の違う場所が網膜剥離になり、手術しました。3回目の手術以降視力は0.1(矯正)で、白内障手術もやりました。左眼はあまり役にたっていません。

 右眼は1.0(矯正)あるので見えますが、昨年から白内障と緑内障が出て、黄斑前膜があると言われ、最近夜は、特に眼が霞みます。白内障手術と黄斑前膜の手術を一緒にやるか、別々にやるのがいいのか悩んでいます。
 左の眼は3回手術を受けて、0.1で役に立たないということですが、仮定の話ですが、事故に遭って、右眼が一瞬にして潰れたというときに、左眼が見えてくる方もいますので、左眼は良く見えないからと言って、ないがしろにしないで大事にしてください。

 右眼は、白内障と網膜前膜があるということですが、右眼が歪んでいなければ、私でしたらまず白内障があれば、白内障の手術をまずやります。そうすると、薄い網膜前膜であれば、あまり悪さをしていない可能性があります。

 そこに膜があると、直ぐ取りましょうという先生はたくさんいますが、わずかな膜は取ってもあまり視力に影響しません。ですから、薄い膜が黄斑部に張っていて、白内障で見にくくなって、歪みが無いのであれば、そんなに悪さをしていない膜だと思います。霞んで見えなければ、まず白内障手術をやって、シャープに見えて、歪みがよく見えてくるようならば、二次的に膜を外す手術は可能です。

 50才以上であれば、硝子体手術と白内障手術を同時にやることが多くなってきていますが、私は白内障が進んでいない限り、あまり同時手術はやりません。まず網膜剥離を治した後から、白内障が出てきたら、二次的に白内障手術をすることも割合多いです。1.0見えていて歪みが無いのであれば慌てることはないと思います。
【両眼バックリング手術】
 バックリング手術を両眼しました。片眼は35才、そして反対の眼は37才です。両眼なったので心配で色々調べたのですが、バックリングを、良しとしない先生がたくさんいるようなので、心配になったのですが、先生はどう思われますか。術後元の開業医の先生のところに戻されました。白内障も心配です。
 昔はバックリング手術しかなかったので、バックルメインで、それから硝子体手術が出てきて、硝子体手術の黎明期は合併症がたくさんあって、それをだんだん乗り越え、器械も手技も良くなり、成績は昔に比べると大幅に良くなってきています。

 網膜剥離は二峰性で、20代でひと山、5・60代でもうひと山あるのですが、5・60代の網膜剥離は裂孔が大きく破れて、急速に進む形の網膜剥離が多いです。20代の網膜剥離は、大きな裂孔ができて急速に進む形と、小さな萎縮円孔と言って、小さな孔が開いて、そこからゆっくり進んでいくタイプがあります。

 網膜変性症がたくさんある人、少ない人がいて、視野が欠けた自覚が無い網膜剥離は、推測ですが、萎縮円孔からきた、若い20代に起こりやすい網膜剥離の可能性があります。

 よく眼底を調べると、色々なところに変性巣や、小さな孔が開いている可能性があります。ただ孔が開いても、必ず網膜剥離になるわけではありません。

 片眼網膜剥離になると、もう片眼がなる可能性はあるのですが、もちろん両眼なる人も結構います。どちらかと言うと若い近視の方は、片眼網膜剥離で手術ということになって、もう片眼を診ると、小さな網膜剥離があることがあります。網膜剥離の手術をするときに、眼の中は360度あるので、今ある網膜剥離は治しますが、他のところに孔が開く可能性は皆さん持っています。

 我々眼科医が言えるのは、網膜剥離の手術をしたら、定期的に眼底検査をしてください。小さな網膜剥離のときには、レーザーで固めます。またある程度進行していたら、早めにバックリング手術をすれば抑えられますので、両眼なって心配だと思わないで、手術後半年経って問題が無ければ、もうあまり気にしなくてもいいと思います。気持ちの問題で、両眼きちんと治っていれば、それを受け入れて定期検査を受けてください。

 開業している先生の中には、網膜剥離の手術経験をしている先生はたくさんいないと思いますが、検査のときにはきちんと散瞳して、周辺部まで診ているか、眼を動かして調べてくれている先生だといいのですが、真ん中だけ診ている先生だと、網膜剥離が周辺部に起こっていても見逃す先生もいます。

 大学病院も長く診てくれる大学の先生もいれば、大学の教育方針や、教授の考えで、良くなったら紹介してくれた先生にすぐ返して、また悪くなったら来てもらいなさいという施設もたくさんあります。今の先生にしっかり診てもらえばいいと思います。

 バックリング手術で白内障が進むということはあまりありません。硝子体手術は白内障が進みますので、ある程度ご高齢の方は同時にやってしまう。あるいはまず網膜剥離を治して、それから白内障の手術をするということもあります。今は白内障のことを考えなくてもいいでしょう。
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