網膜剥離の多様性と治療法(1)

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《2005》東北懇話会講演
網膜剥離の多様性と治療法

   弘前大学医学部眼科講師 鈴木 幸彦先生

     
 今回で三回皆さんにお目にかかってお話させていただいています。今回は網膜剥離の多様性と治療法と題してお話します。
 
【網膜剥離のタイプ】
 網膜剥離のタイプには裂孔のあるタイプとないのとあります。手術治療はこの裂孔があり、網膜が剥がれてきた場合の裂孔原生網膜剥離が対象になるので、それについてのみお話します。

 網膜裂孔には二つの形があります。裂目が馬の蹄のような形の馬蹄型のタイプと、網膜が萎縮してそこに針でさした穴のような形の円孔型の二つの大きなタイプに分けることができます。

 馬蹄形裂孔について
この写真のように老化が進むと後部硝子体剥離ということがおこります。これが正常に剥離していけばいいのですが、その途中で、網膜を硝子体が引っ張って網膜に穴を開けてしまう場合があります。するとその穴から、硝子体の一部が老化により液化して、水のようになって網膜の裏側に入り込んで、網膜を浮かして、その働きを駄目にしてしまうのが、馬蹄形網膜剥離が発生する機序です。

 これに対して萎縮円孔というのは、網膜の周辺に薄いところが出来る、これを格子状変性といいますが、それがところどころにできて、中でも薄いところに穴が開いて、その穴を通して、水が裏側に回って網膜が剥がれてくるタイプで若い人に多いようです。

 馬蹄形のタイプは老化とともに硝子体剥離が起こってできるものですから、若い時にはありません。萎縮型円孔は若い人にできる場合が多いのです。
 
【治療について】
 網膜剥離の範囲がまだ広くなく裂孔だけの場合は光凝固で、それ以上の拡大を抑えることができます。しかし実際には剥離を発見した時にはもう剥がれてしかも広がっているときは、強膜内陥術(バックリング手術ともいう)と、硝子体手術のいずれかを選んで治療することになります。

 強膜内陥術(バックリング)はシリコンスポンジや、シリコンタイヤで眼球を窪ませて、剥がれた網膜を元の位置に戻して、冷凍凝固を併用して網膜の裂孔の周囲と網膜の外側の脈絡膜との癒着を作るということをします。

 この図は眼底をレンズでのぞきながら網膜の裂孔の場所を確認して、冷凍凝固をしているところです。網膜の剥がれている部分と脈絡膜と色素上皮とを冷凍させた後、癒着させている図式です。

 網膜の裏側に溜まった水を網膜の外側の脈絡膜と強膜という部分を針で刺して外へ出してしまう操作をしまして、最後にこのようなシリコンスポンジを眼球に締めつけるバンドのようにして、網膜とその外側の組織をくっつけるようにします。

 実際に使われるシリコンスポンジはこの白いもので、シリコンタイヤはこのように透明なものです、網膜の裂孔の大きさ、形によって使い分けます。この眼底写真では網膜の下方に円孔があり、下のほうから剥がれて来ている網膜剥離ですが、シリコンバンドを巻いてこのように外側から内側に押しつけるようにして、ここにある円孔を外側から内に押し込むような形にして、冷凍凝固で、癒着を作って二度と剥がれないようになっています。

 術後間もないので、網膜の裏側に水も残っていますが、これは時間とともに徐々に吸収されて治っていきます。次に硝子体手術を選択する場合です。

 この図のように眼内に明かりを入れて、一方で水(灌流液)を供給しながら、硝子体カッターで硝子体を切り取って取り除いていきます。その後、外側から冷凍凝固するのではなく、直接裂孔の周りをレーザーで光凝固します。

 ただ硝子体手術の場合は網膜を元に戻す(復位という)ために、ガスを眼内に入れますので、患者さんは術後一週間ほどうつぶせで寝なければならないという難点があります。しかし難しい網膜剥離の場合は、硝子体手術のほうが直接網膜に治療できるという利点がありますので、強膜内陥術(バックリング)よりもこちらを選択します。

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